日本でも昨年Kindleによる電子書籍の販売が始まり、日本でも本格的な電子書籍普及の契機になりそうです。米西海岸から東京に戻ってきて地下鉄の中を眺めてみると、スマートフォンでは、パズドラ、パズドラ、2ちゃんまとめアプリ、電子書籍、マンガといった感じで時間を使っている様子が見えてきます。
特に海外に住んでいると、電子書籍でリリースされればすぐに購入できるため、とても重宝しています。ただ、電子書籍のありがたみは新しい本を買うことだけでありません。すでに読んだ本の保存にも重宝するはずです。第10回でご紹介しましたが(関連記事)、海外引っ越し時に処分せざるを得なかった大量の本がデジタルだったら、と今でも悔やまれます。
電子書籍には、ここにもう1つ新しい魅力が加わっています。それは本を読む立場ではなく、本を書く立場です。KindleやiBooksなどの電子書籍プラットホームは、個人が自分で本を発行することができる機能も備えています。Kindleでは、「Kindle Direct Publishing(KDP)」と呼ばれ、有料で配信する場合は印税を得ることができます。
Kindle Direct Publishingで出版を初体験
前回(関連記事)でも紹介した米国西海岸のコーヒー文化について、コーヒーユニット「茶太郎豆央」としてまとめた本「サードウェーブ!サンフランシスコ周辺で体験した最新コーヒーカルチャー」(http://l.ta6.me/thirdwavebook、以下「コーヒー本」)は、AmazonのKDPでKindle向けに発売した書籍です。私自身何冊か紙の書籍は書かせていただいた経験がありましたが、電子書籍向けにゼロから本を作ったのは初めての経験でした。
電子書籍だからといって、本というコンテンツを1冊にまとめる作業は紙の本と大きく違いませんでした。作業は前後しますが、大まかなプロセスとしては、
●本の企画を考える
●タイトル・章立て、目次を作る
●文章を書く
●ページデザインや体裁
●図版や写真を集める
●校正をする
●ゲラチェック
●カバーデザイン
という工程があります。出版社と一緒に本を出す場合、担当の編集者と議論をしながら全編を見ていき、ページのデザインや構成、カバーデザインなどはその道のプロにお願いすることになります。しかしコーヒー本の場合、カバーデザインはロサンゼルス在住のイラストレーター、高橋杏奈さん(http://www.annatakahashi.com/)にお願いしましたが、それ以外の作業はすべて自分たちで行なわなければなりません。
特に、文章を書き始める前の目次作りはとても大切な時間となりました。本全体に含める情報やメッセージ、ストーリーの設計図となる部分だからです。書きながら、あるいは取材を進めながら変更したり、順序を入れ替えたりすることはありましたが、始めに設計図を固めることはポイントだったと思います。