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【2013夏スマホ特集 国産スマホメーカーに訊く!-第3回-】

使いやすさを追求した「MEDIAS X」に込めたメッセージとは!? NECカシオインタビュー

文●mobileASCII編集部

2013年06月20日 22時50分

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 国産スマートフォンを製造しているメーカーに、2013年夏モデルの訴求ポイントを聞くと同時に、これまでのスマートフォン開発の歴史を振り返ってもらうインタビュー特集。

 第3回目は、MEDIASシリーズを展開するNECカシオモバイルコミュニケーションズのモバイル事業本部とソフトウェア商品開発本部の担当者に、夏モデルの「MEDIAS X」に込めた思いを語ってもらった。

NECカシオモバイルコミュニケーションズ
NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社
モバイル事業本部
商品企画部 
エキスパート

神尾 宗久

モバイル事業本部
商品企画部 エキスパート

上久保 雅規

クリエイティブスタジオ
クリエイティブマネージャー

迎 義孝

ソフトウェア商品開発部
仕様開発部 主任

蓮井 亮二

 


使いやすさと性能の両立を目指した
新しい「MEDIAS X」の特徴とは?


編集部 : まず最初に、今回の「MEDIAS X」に関してお伺いします。これまでの「MEDIAS X」シリーズと比較したとき、この夏モデルのポイントとなる部分を教えてください。

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神尾: 我々には、“Nケータイ”からの流れをくむ「エレガントスリム」というラインがあるのですが、それに則ってサイズ感や使い勝手といった部分にこだわっています。通常、ユーザビリティを前面に押し出したモデルでは、スペックがないがしろにされる傾向がありますが、新しい「MEDIAS X」では、スペックを犠牲にすることなく、使いやすさと性能の両立を目指しました。

編集部 : これまで「MEDIAS」シリーズというと、大きなものや小さなもの、薄かったり、そうでもないものまで多くのタイプのモデルがありましたが、今回の「MEDIAS X」の位置付けとしては「NECカシオのフラッグシップ機」という認識でいいのでしょうか?

神尾: 例えば、2画面の「MEDIAS W」のような大画面を活かした端末を展開するという方向もあり得たと思いますが、今回はスマートフォンを初めて使われるお客様や、すでに使ってるユーザー様が「もう少し使いやすい端末を!」という、ご要望に応えて開発しました。なので、今までの「MEDIAS X」のハイスペックイメージを継承しつつも、「使いやすさ」方向にもシフトさせたモデルになっていると思います。たとえば「くさび形デザイン」とすることで、持ちやすさを追求したり、「LIFE UX」のような新しいホーム画面を採用したことなどが挙げられると思います。

編集部 : 2013年夏モデルは、どこのメーカーも「使いやすさ」ということを前面に出してアピールしてきています。それはスマートフォンのスペック競争が頭打ちになって“横並び”になってきているということだと思うのですが、今回の「MEDIAS X」もスペックより「使いやすさ」に優先順位をおいた端末だということなのでしょうか?

神尾: スペック競争が頭打ちになっているというのは、その通りだと思います。チップセットやカメラの画素数、バッテリーの容量など、ある程度一段落したタイミングでもありますので。ただ、冒頭にも申し上げたように「使いやすさとハイスペックの両立」を目指して開発を行いましたので、どっちが優先ということではありません。

編集部 : この夏スマホでは、CPUにQualcomm社の「Snapdragon 600」を採用したモデルが大半です。「GALAXY S4」だけが1.9GHzのクロックアップ版で、そのほかは足並みを揃えたように1.7GHzですが、その経緯について教えてください。

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▲2013年夏モデルのほぼ全てに採用されたQualcomm社の「Snapdragon 600」。従来の「Snapdragon S4 Pro」と比較して、40%の性能向上を果たしている。

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蓮井氏 : 私どもはこれまでにもQualcomm社のCPUを採用していますので、今回の「MEDIAS X」にも、開発時点で選択しうる最良のものを使うことは必然でした。もちろん他社製のスマートフォンも、おそらく1.7GHzクアッドコアの「Snapdragon 600」という同じCPUを搭載してくるであろうことは推測できましたが…。

編集部 : 夏スマホのCPUスペックが、見事なまでに、“横並び”になりました。これからはCPU性能での差別化は難しくなっていきますね。

神尾 : CPUの選択肢が、以前よりも少なくなってきていますので、この傾向は続くかもしれません。今はあまりあちこち浮気するより、決まったチップセットベンダーのロードマップを見ながら端末を開発していく方が、良いものができるように思います。

編集部 : この夏モデルの「MEDIAS X」にはCPUの熱対策として「ヒートパイプ」が搭載されています。これによって他社との違いをアピールするという思惑はあったのでしょうか?

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「MEDIAS X」には、CPUの冷却効果を狙って「ヒートパイプ」が採用されている。「ヒートパイプ」は、真空にしたパイプの中に封じ込められた純水が、高温部で水蒸気となって低温部に熱を運び、そこで再び液体に凝集して高温部に戻るというサイクルを繰り返し、高温部の熱を拡散する仕組み。PCでは古くから使われている技術だ。

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▲「ヒートパイプ」の効果を分かりやすく示した概念図。局所的に熱がこもらないので、CPUの安定動作に役立っている。

神尾 : それは当然あります。先ほどからCPU性能が“横並び”になってきたというお話が出てますが、CPUは他メーカーのスマートフォンと一緒でも、MEDIASはこんな工夫を加えています、というポイントのひとつと受け取っていただければと思っています。もちろんCPUの安定動作にもかなり役立つ仕組みとなっています。

編集部 : この「ヒートパイプ」は、他社にはない「MEDIAS X」だけの“オンリーワン”なテクノロジーになっています。開発時には「ここでは絶対に1番になる!」といった、具体的な目標みたいなものを掲げているのでしょうか??

神尾 : もちろん「ヒートパイプ」も売りのひとつですが、端末の中に組み込まれていて、手に触れたり、目で見たりすることができる機能ではないので、その効果を訴求するのはなかなか難しいかなと考えています。ただ、メディアの方々が「こう書きたい」とか「こうだったら書ける」というポイントも必要だと考えていますので、モバイルアスキーさんの読者のようなテクノロジーに詳しい方々には、ぜひ興味を持っていただければと思います。


「MEDIAS X」がデザイン上で
目指したポイントとは?


編集部 : デザインのお話に移ります。一般的に「MEDIAS」シリーズといえば“薄型”というイメージが強いと思うのですが、開発段階から、やはり“薄さ”にこだわってデザインをされているのでしょうか?

神尾: フィーチャーフォン時代のように、薄さ7mmを狙うとか、6mmを狙うといった“薄さありき”な開発は、スマートフォンではないですね。あまり薄くすると、バッテリー容量が確保できなくなってしまいますので、そこはバランスをとって判断します。ただ、あまりにも厚いボディでは、店頭でお客様に手にとっていただけませんので、手に持ちやすい最適な薄さというところは意識しています。

編集部 : ボディ正面に「ウェイクアップ・キー」を配置したり、カラーパターンが増えた「LEDイルミネーション」を搭載するなど、新しい装備がありますね。

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ディスプレイの下に配置された「ウェイクアップ・キー」が外観上の特徴。この「ウェイクアップ・キー」の両隣にはイルミネーション用のLEDが埋め込まれている。

神尾 : 今までスマートフォンを買っていた、流行に敏感な「イノベーター」や「アーリーアダプター」という層だけじゃなく、これからスマートフォンに買い換えようという「マジョリティ」層にもアピールするよう、ハイスペック+αの価値を提供したいという思いを込めました。

編集部 :「ウェイクアップ・キー」や「LEDイルミネーション」の採用を決めたのは、ユーザーからの要望があったりしたのでしょうか?

神尾 : そうですね。スリープ解除に、いちいち電源キーを押すのが面倒だという声は多く寄せられていましたので、ディスプレイの下に専用の「ウェイクアップ・キー」を設けました。また、NECはフィーチャーフォン時代から「オーロライルミネーション」など、光る演出にはこだわってきていますので、「スマートフォンにもイルミネーションが欲しい」という旧来からのお客様は多いんです。今回、イヤフォンジャックにキャップのない防水タイプを採用したことによって、その内側にもLEDを配置することができました。

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▲防水イヤホンジャックの内側にLEDを埋め込んである。写真のように透明なスマホピアスを挿せば、光の拡散を楽しむことができる。

編集部 : イヤフォンジャックの内側が光るというのは新鮮ですね。

上久保氏 : スマートフォンに対する不満のひとつに「着信に気付きづらい」というものがあります。ポケットやカバンに入れているとき、イヤホンジャックが光って着信を知らせてくれれば、すぐに気付くことができるので便利だと思います。

編集部 :「ウェイクアップ・キー」は、「ホーム・キー」も兼ねているのかと思ってましたが、スリープの解除/開始に特化したキーなんですね。

蓮井氏 :「MEDIAS X」はソフトウェア・キーが採用されていますので、「ウェイクアップ・キー」には「ホーム・キー」の機能は持たせていません。ただ、開発段階ではいろいろな意見があったりしました。たとえば長押ししたときに何か機能を持たせようなどという議論はあったのですが、最終的にはシンプルにスリープの解除/開始と、電源キーとの同時押しでスクリーンキャプチャーが撮れるような機能だけにしたという経緯があります。

編集部 : スクリーンキャプチャーが楽に撮れるのは、我々のようなメディアにとっては非常に助かります(笑)。

神尾 : 一般のお客様からも、画面をキャプチャーして保存しておきたいという声が多く寄せられていたんです。たとえば乗り換え経路や時刻表などを、サッとメモする感覚でキャプチャーできると利便性が高まりますよね。もちろんAndroidの作法として、電源キーとボリューム・キーの同時押しでもキャプチャーができる機能は残しています。

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