Android iPhone 特集・連載

【2014年LTEインタビュー-第3回-】

プラチナバンド800MHz帯を軸に、3つの周波数で展開! auのLTE戦略を聞く

文●mobileASCII編集部

2014年01月28日 21時00分

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 プラチナバンドといわれる800MHzを軸に、3つの周波数を使ってLTEサービスを展開するau。800MHz帯は「iPhone 5s/5c」やAndroidスマホに対応し、下り最高速度75Mbpsのスピードで展開。実人口カバー率は2014年3月までに99%を実現する予定だ。また当初はLTEのエリア構築が遅れていた2.1GHz帯も急ピッチで基地局を増設し、新たに割り当てられた700MHz帯の準備も着々と進行する。こうした同社のネットワーク戦略について、KDDI 技術統括本部 モバイル技術企画部長 吉田智将氏(以下、吉田氏)に聞いた。


 
KDDI株式会社
技術統括本部
技術企画本部
モバイル技術企画部長
吉田 智将

 

 


800MHz帯はもちろん、
2.1GHz帯のエリアも急ピッチで整備!


――まずは、現在iPhoneとAndroidで提供されているLTEのサービスの、対応周波数などについて教えてください。

吉田氏:まず「iPhone 5s/5c」につきましては、弊社のサービスでは800MHz帯と2.1GHz帯の2つの周波数に対応しております。もちろん3Gも800MHz帯、2.1GHz帯の両方に対応させていただいています。Androidスマートフォンに関しては、最近発売させていただいているものは、800MHz帯と2.1GHz帯と合わせて1.5GHz帯も対応しています。その3つの周波数を使った“トライバンド”で対応させていただいているというのが現状です。

――それぞれの周波数のエリアや回線スピードに関してお聞きしたいのですが、まずメインバンドの800MHz帯はどんな感じでしょう。

吉田氏:800 MHz帯に関しては最初から10MHz幅でやらせていただいていますので、基本的には全国で最大75Mbpsが提供できるようなシステムになっています。実人口カバー率に関しては、ご存知のように3月末に99%となる予定です

800MHz帯ほか、auのLTE戦略は? 800MHz帯ほか、auのLTE戦略は?

 ▲2014年1月22日に行われた春モデルの発表会にて、800MHz帯のエリア拡大が順調に進行していることが説明された。 

――800MHz帯の75Mbpsのスピードに関しては、今後これ以上速くなることはないのでしょうか。

吉田氏:弊社が割り振られている800MHz帯は15MHz幅となっています。そのうち10MHz幅でLTEを、5MHz幅で3G回線のサービスを提供しているのですが、現状、3G回線のほうのシステムをクローズさせるタイミングは決めておりません。ですので、800MHz帯は当分、10MHz幅の75Mbpsより広げることはないと思っています。
 逆にもっと帯域を確保して行うLTEサービスについては、2.1GHz帯で提供しようと思っております。2.1GHz帯に関しては20MHz幅の割り当てをいただいておりまして、LTEは最大20MHz幅の150Mbpsで提供しているところもございます。

――800MHz帯と2.1GHz帯を使ったエリア構築の展開についてお聞きしますが、例えば800MHz帯で全国をカバーして、都市部は2.1GHz帯で補完するなど、周波数の使い分けのようなものはあるのでしょうか?

吉田氏:実は最初はそうやって始めるつもりでいたのですけれども、現状は違ってきています。我々は、元々LTEサービスをどういう風に考えていたかと申しますと、一番、重視していたのはLTEから3Gに落ちないようなエリアを構築することを考えていました。そうしますと、トラフィックがある程度あるところに関しては、800MHz帯と2.1GHz帯の両方の周波数を使って展開するというやり方をしていたのですが、一端末あたりのトラフィックは思った以上に大きくて、現状は2.1GHz帯のエリアもかなり広く作っている状態です。
 というわけで、2.1GHz帯のエリアに関しては、昨年、弊社の社長がお話しさせていただいた通り、2013年の年度末で80%の実人口カバー率を実現しました。さらに、2014年の4月以降は90%くらいまで拡大する予定で、800MHz帯のエリアと、そんなに大きく違うような状態にはならないと感じています。

――ということは、現状、auのLTEサービスは800MHz帯というイメージが強いのですが、今後は2.1GHz帯もアピールするのでしょうか。

吉田氏:現状、2.1GHz帯だけを使ってエリア構築するのは、難しいと思っています。やはり電波の飛びを考えると、トラフィックでよほど困らない限りは800MHz帯のプラチナバンドを使ってエリアを広く作るのがメインとなりますね。2015年3月末予定の90%を越えてどこまでエリアを拡大していきますかという質問になるかと思うのですが、それはまだ今のところ検討できていない。

800MHz帯ほか、auのLTE戦略は?

 ▲2.1GHzのエリアも整備されており、2013年12月には実人口カバー率80%に。 

――2.1GHz帯の回線スピードに関してですが、現状112.5Mbpsと150Mbpsでサービスされているところもあります。このような高速通信のエリアは今後、どのように広がっていくのでしょうか。

吉田氏:2.1GHz帯につきましては、最初に5MHz帯幅37.5Mbpsのスピードでサービスさせていただいていまして、現状、徐々に帯域幅を増やしている状況です。10MHz幅に広げる部分については、我々は鋭意取り組んでいまして、ほぼいいところまで10MHz幅で展開できています。ただ、2.1GHz帯は3G回線のシステムと共存する形でサービスさせていただいていますので、3G回線のトラフィックが大きいところに関してはまだLTEは5MHz幅となっています。現状、都心部などが特にそうなのですが、そういうところについてはもう少しで10MHz幅にできる状況にあります。
 ただし、それを15MHz幅などもっと広げるとなると、都心部ではもう少し3G回線の端末が減らないと難しいのかなと思っています。都心部以外の地域につきましては何の問題もなく15MHz幅~20MHz幅と広げていますが、日本全国のエリアとして考えると15MHz幅、20MHz幅にするというのは、もう少し時間がかかるのかなと思っています。

――たとえば、3G回線は800MHz帯の5MHz幅だけ、2.1GHz帯はすべてLTEにするというのは難しいのでしょうか。

吉田氏:3Gのトラフィックがけっこうありますので、それは難しいです。

――合わせてLTEは1.5GHz帯でもやられているかと思うのですが、この周波数はどういった感じで使われているのでしょうか?

吉田氏:1.5GHz帯については日本固有の周波数帯域であるというのがまずひとつありますので、携帯端末に搭載できるというのがキーポイントですね。都心部などで積極的に、1.5GHz帯でエリアを作らせていただいています。

――ドコモが1.5GHz帯と1.7GHz帯を使って回線スピードをアピールしているイメージがありますが、それについてはどう思われていますか。

吉田氏:所有する周波数は各社異なるので一概にいえませんが、回線スピードについては先ほど申し上げた通り、弊社では2.1GHz帯を用いて100Mbps以上のエリアを拡大させていただいています。今では全国の各都道府県、合計約2,500カ所以上で、ご利用いただけます。もちろん、最高速度でばかり争っても、あまり意味はないと思ってまず。弊社では特にお客様の利用シーンを重視しており、人の集中する都市部の鉄道沿線や高速移動する新幹線など、移動中でも安定して高速な通信ができるよう、基地局の追加やピコセルの活用などを行い、随時、通信品質の向上を行っております。

――今、iPhoneとAndroidの2つのスマホを扱っていますが、やはりトラフィック的にはiPhoneの方が大きいのでしょうか。

吉田氏:iPhoneとAndroidで、1台あたりのトラフィック差があるかといいますと、そんなに差はありません。やはり端末がマーケットの中にどれくらいありますか、という話だと思うのですが、もし割合が半々くらいだとすれば、トラフィックの量も同じくらいかなと思います。弊社ではその比率を公表していないので何ともいえないのですが、iPhoneとAndroidのトラフィック量はだいたい同じくらいですね。

――LTEサービスを始められた当初は、AndroidとiPhoneでは使える周波数を分けてやられていて、途中から統合されているようなイメージですが、それは意図的ではなくて端末側の対応周波数から結果的にそうなった感じなのでしょうか?

吉田氏:結果的という方がたぶん正しいと思います。弊社は、最初は800MHz帯でLTEをやろうと準備を進めていたので、そのエリアが作れているのはある程度、時間を費やしているからですね。

――ちなみに、LTEを導入された際に「ピコセル」という小さいセルを使われていると説明されていたと思うのですが、周波数帯に向き不向きなどはあるのでしょうか? たとえば800MHz帯は電波が飛びやすいという特性があると思いますが、「ピコセル」で使用しても干渉などの問題はないのでしょうか?

吉田氏:トラフィック特性を考えると、「ピコセル」が有効なのは事実です。たとえば駅の周辺などのトラフィックの状況を見ると、数百メートル単位でもトラフィックの差分があり、そのような場所に細かく電波を補完するにはスモールセル(「ピコセル」)が有効です。ただし問題は電波干渉の対策となります。「ピコセル」というのは高さ15メートルくらいのところに基地局を設置しますので、当然、端末に一番近い基地局となりますが、そこに別の基地局からの電波が入ってくると電波干渉になってスループットが下がってしまう可能性は確かにあります。ですので、そうならないように事前に電波干渉が出そうな場所を想定して基地局を設置するなど「マクロセル」のほうを調整して、”電波干渉の対策”をしっかりと行っております。今後、「LTE-Advanced」で使う「eICIC」という技術が入ってくれば、”マクロ”局と”ピコ”局が連携して干渉を抑えることができる技術があるので、その導入を検討しています。

――ということは、「ピコセル」は特に限られた周波数で行われているわけでなく、すべての周波数で行っているということでしょうか。

吉田氏:そうです。弊社の持っている「ピコセル」は、2.1GHz帯、800MHz帯、1.5GHz帯の3バンドに対応しております。

800MHz帯ほか、auのLTE戦略は?

▲ミクロトラフィック管理を使って、百メートル単位でトラフィックを分析しているとのこと。

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