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【法林岳之・石川温・石野純也の「モバイル座談会」-第13回-】

法林岳之、石川温、石野純也の3氏が語る「2014年CES総括」前編

文●mobileASCII編集部、小林誠

2014年01月27日 07時55分

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  米国のラスベガスで毎年開催されている家電見本市・CES(Consumer Electronics Show)は、モバイル業界の今後を占うイベントとしても注目されている。2014年の1月初旬に現地で取材をされた3氏に、同イベントの総括について語ってもらった!


ケータイライター

法林岳之氏

 ケータイ業界のご意見番的な存在。WEB媒体「ケータイWatch」の連載など、初心者にもわかりやすい解説でおなじみ。人気の「できるポケット」シリーズほか、著書も多数。


ケータイジャーナリスト

石川温氏

 スマ-トフォンなどモバイル情報について世界中を飛び回って取材し、テレビや雑誌、WEBなどで活躍中。週刊メルマガ「スマホ業界新聞」(http://ch.nicovideo.jp/226)を配信中。


ケータイジャーナリスト

石野純也氏

 宝島社で編集に携わり、数々のケータイ関連誌を立ち上げる。独立後はケータイジャーナリストとして関連業界を取材し、WEB、雑誌、新聞などの媒体で記事を執筆。主な著書は『モバゲータウンがすごい理由』(マイナビ新書)など。

ウェアラブル端末が数千個!
プラットフォームの戦いへ

編集部(以下、編) 今回はCESから見えた、2014年のIT業界の展望について語ってもらえればと思います。

石川温氏(以下、石川) 世間的にはウェアラブルは盛り上がっていますが、それはひとつのキーワードでしかないと思っています。CESでは、歩けばメガネや腕時計といったウェアラブル端末があった感じでしたが、過去の例を見ても、iPhoneが流行ればiPhone、Kindleが流行れば電子書籍端末、iPadが流行ればタブレットという風に、流行ればメーカーが後追いしているだけでもあるんですよね。そんな中で、いくつ生き残れるのかとなると、数限られたものだけしか残らないのだろうなあと思っています。

 今回のCESでは、ウェアラブル端末で目玉はなかったのですか?

石野純也氏(以下、石野) 後追いすべきキラーが無い状態でしたね。

一同 (笑)

石野 「Google Glass」がキラーと言われていますが、けっしてそうではない。だってまだ市販もされてないものですし、iPhoneやKindleとはフェーズが違いますよね。

法林岳之氏(以下、法林) 難しいところですね。ウェアラブル端末で何をするのかによりますよ。なんでウェアしなければいけないのか、全然見えていない。前から言っているように、時計やメガネに置き換える話も一人一個しか持たないもので、そう考えると難しいでしょう。ただ、過去にいろいろなモノが流行ったけど、今回ほどあんなに並んでいることはなかった。

一同 (笑)

石野 めちゃめちゃありましたよ。

法林 幕張メッセぐらいの会場に、1000とかそれくらいの単位でウェアラブル端末があったからね。

石野 CESの会場は、幕張メッセより大きいですからね。

法林 そうそう、だから数千という数かもしれない。

石野 中国製の怪しいモノから、ソニーが作る高級なモノまで。

石川 ウェアラブル端末って、今までの技術と比べてなんら新しいものはないし、「Google Glass」も新しい技術があるわけでもない。要は仕組み作りであって、「Google Glass」はサービスと端末が一体化されているから価値が出ているのであって、他のメーカーが同じように真似をしても、彼らはモノしか作れない。モノは真似ができるけど、エコシステムを作れるかというと、それは一部だけに限られてくる。だからあまりCESで見るべきものはなかったのかな、という気がしますね。

法林、石川、石野氏による「2014年CES総括」前編

▲CESでは、数多くのウェアラブル端末が発表された。

石野 ただ、センサーを電話機からより人の近くに拡張するというのは、可能性があるのかなと。スマホではポケットに入れるのがせいぜいだけど、腕だったり、ソニーならテニスラケットに付けたり(注:「Smart Tennis Sensor」)、スマホがリーチできなかったところにまでセンサーを拡張して、分析はスマホでやるという。そういう方向性はひとつ見えた。ソニーのコアみたいに、センサー部分だけを抜き出して、外側は得意なところに作ってもらいましょうというのも、新しい動きになるのかなと感じますね。時計にはまだ若干大きすぎる気がするんだけど、リストバンドやペンダントなど、ファッションブランドとかが興味を示せばおもしろいと思いますね。率直にいうと、CESで出展されていたものはほとんどダサい。身に付けるものとして、あり得ない。だけど、これからはそうではないアプローチのものが、作りやすくなるのかなと。インテルがSDカードサイズの「Edison(注:ウェアラブル機器向け小型コンピューター)」を出してきたのも、流れとしてそちらに向いている。「Edison」のほうが多機能で、インターネット・オブ・シングスと呼ばれるモノにインターネットを組み込む形ですけどね。ウェアラブルのプラットフォーム志向な流れが出てきたのが、新しいトレンドかな。

法林、石川、石野氏による「2014年CES総括」前編

▲CESではインテルがSDカードサイズの「Edison」を発表した。

法林 CESの期間中に、CESの会場外でもプレスイベントがあって、皆で見に行ったのですが、ARMとかFreescaleみたいなチップ屋さんが出展していて、ウェアラブルの開発キットを提供していたりする。だから、今までとの違いが2点あって、1点はインテルの話もそうなんですが、ハードウェアとしてのプラットフォームができて、メーカーはそれを使って製品を出す。スマホでいえば、Androidですね。パソコンならばAtomが出たので、ネットブックがたくさん出てきましたよね。もう1点は、エコシステムとしてのプラットフォームを作ろうとしている。石川さんが言っていたように、皆ハードを作っているだけで、エコシステムを作ろうとしていない。それをやろうとしているのがソニーで、バンドを作るのはバンド屋さん、サービスを作りたいという会社はAPIを公開しているので自由に作ってください、というアプローチを考えているんですね。ウェアラブルは、単純に商品だけを見ていても分からなくて、ハードだけでは何も語れない。サービスも含めた全体像を一般の人がどれだけ理解する必要があるのかというのは、ちょっと難しいでしょうね。今のところ、メガネと腕時計ばかり話題になっているけど、そうじゃないよねというのは押さえてほしい。

石川 本当にウェアラブル・バブルというか。業界的には盛り上がっているけど、ちゃんと見極めないといけない。メーカーも、そんな甘いもんじゃないということは、十分わかっているだろうしね。だから、今年はウェアラブルというよりも、その一歩手前のセンサーがキーワード。LGも出したし、ソニーの「Core」もそう。おそらくサムスン電子も今後「GALAXY Band」みたいなものを出すという話もあるようだし。あとは、プレスイベントでやっていた「Mother(注:フランスのベンチャー・Sen.seが開発)」というダルマみたいな機器もあって、たとえば歯ブラシにセンサーを付けて、子供がちゃんと歯を磨いているかチェックするとか、牛乳の残りをセンサーで管理するとかできる。いろんなものにセンサーを付けて、測ってコントロールしましょうというのはできるのかな。Bluetooth Low Energy(注:低消費電力のBluetooth)もあるので、このあたりが今年の現実的なトレンドだと思います。

 スマホで連携する機器ではiOS、Androidどちらが多いですか?

石野 どちらもありますよ。

法林 もう、その2つというところです。

石野 Bluetooth Low EnergyはiOSが先行していたけど、Android 4.3もサポートしたので、今後、Android向けもバシバシ出ていきます。

石川 他のライターさんが言っていたんだけど、こういうセンサーの連携にもう「パソコンがない」というのが、今を象徴していますよね。5年、10年前だったら、ああいう情報を管理するのってパソコンという考えだったんだけど、今は当たり前のようにスマホがコントロールする。スマホが情報を集めて、クラウドに上げるという世界になってきている。もう,スマホありきの世界ですね。

石野 スマホはHubですよね。

石川 よく世間的には「スマホの成長に陰り」「スマホの次はウェアラブル」と言うけど実際はそうではない。皆がスマホを持ったときに、大きな変革があるとしたら、さらにいろいろなモノがつながるという、世界観の広がり。スマホ単体の進化はあまりないかもしれないが、周りの環境やスマホににつながるモノとして考えると、無限大と言えるかもしれない。

石野 今まではそれがアプリだったんですけど、それがハードウェアになってきたというのが、ここ1、2年のCESで見えてきた。

法林 プレスカンファレンスで、LGが家電をLINEでコントロールするデモをやっていました。そういう耐久消費財が実際の生活に入ってくるには時間がかかるかもしれないが、ウェアラブルはすぐ入っていきやすく、当たれば大きい。新興メーカーが冷蔵庫を作って勝ち残るのは難しそうだけど、ウェアラブルは参入しやすいから、たくさん出てくるうちの1つくらいは勝ち残るかもしれない。米国市場はウェルネスや健康系に偏ってるけど、それだけでもないだろうし。

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