楽譜と音源が同時に作れるアプリならではの「Notion」が便利

文●ASCII.jp編集部

2014年07月13日 12時00分

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今回紹介する楽譜制作アプリ「Notion」。サンプルスコアにはクラシックピアノや弦楽四重奏の楽曲が用意されています

 以前、音楽アプリ部で紹介した「Symphony Pro」。楽譜が読めなくても譜面を作成でき、また自分の演奏をそのまま楽譜として書き込める楽譜制作用のアプリケーションでした。

 今回紹介するiOS向けアプリ「Notion」は同じ楽譜制作用アプリです。譜面の書き込み、演奏がそのまま楽譜になるのはSymphony Proとまったく一緒。大きな違いは入力・再生用に用意されたサウンドライブラリーにあります。ロンドンシンフォニーオーケストラの演奏を、アビィロードスタジオで収録したという贅沢なオーケストラ音源を思う存分使えるアプリを今回は試してみました。

Notion App
価格1500円 作者NOTION Music, Inc.
バージョン1.2.81 ファイル容量1166.0 MB
カテゴリーミュージック 評価(4)
対応デバイスiPad 対応OSiOS 6.1以降

ギターやパッドで楽譜入力も可能

 まずはプロジェクトを作成します。「New」をタップするとソングタイトルの入力と、ソングの中で使用する楽器を選択できます。楽器は「Strings」(5種+フリー音色4種=9種)「Woodwind」(9種)「Brass」(6種)「Keyboard」(4種)「Guitar」(3種)「Percussion」(8種)「Vocals」(5種)の7カテゴリー。この中から必要なものを好きなだけ加えていくことができます。

 楽器の選択が終了すると、画面の上部に楽譜、下部に鍵盤の表示されたメイン画面に移行します。緑の四角で表示されている場所が、現在入力する拍の位置です。濃い緑で表示されている段が実際に入力するパートになります。

今回は一般的なバンド編成のスコアを書くと仮定して、「Voice」「E.Guitar」「Piano」「E.Bass」「Drum Kit」を選択してみました
メイン画面。段を折り返す小節数や各行間の幅に至るまで細かく設定できます

 パレット左端の鉛筆アイコンで入力、消しゴムアイコンで消去、その右隣のアイコンで範囲選択が可能です。音符および休符の長さなどは、パレットの音符・休符アイコンから調整します

 画面下の鍵盤部の左側には単音入力と複音(和音)入力の切り替えアイコンと、鍵盤による直接入力のオンオフを切り替える鉛筆アイコンがあります。鉛筆アイコン隣のスピーカーアイコンでは現在譜面上で選択している(濃い緑の枠がかかっている)音を再生。

 鍵盤部分のオクターブ(音の高低)は、鍵盤を左右にフリックすることで切り替え可能です。この部分は選択中のパートによって自動でギター・ベースのフレットボードやドラムのリズムパッドにも切り替わります。ギター・ベースのフレットボードによる入力が苦手な場合は、画面下部の指板アイコンをタップすると鍵盤に戻せます。

TAB譜ありのパートは自動でTABも入力されていきます

MIDIキーボードを使うと入力がスムーズに

 各パートの演奏の強弱はパレットの強弱記号(フォルテ=fやピアノ=pなど)で調整しますが、音量は画面下部のフェーダーアイコンをタップして切り替わるミキサー画面でいじることができます。

 画面下中央にある録音アイコンをタップすると、リアルタイムレコーディングの準備メニューが開きます。メトロノームのオンオフや録音を開始するまでの小節数、入力音数の受付けなどの設定もできます。

音量のほか、音の定位(L-R)やゲインブースト(入力音量の持ち上げ)、ディストーションスイッチなどもついています
「Start Recording」をタップすると、カウントインで設定した小節の後から録音が開始されます

 アプリ画面上の鍵盤では幅や音域の狭さにより、入力が少し難しいです。しかし前回紹介したiRig KEYS PROのような外部MIDI機器を接続して使えば、幅広い音域での入力が可能となり、ピアノ譜面の上下同時に書き込みという使い方もできるので、よりスムースな入力が可能になると思います。

実際につないで使ってみたところ、かなり楽になると感じました

 画面下部ミキサーアイコンの隣にある白抜きの左巻き矢印・右巻き矢印のアイコンで入力内容のアンドゥ・リドゥができます。譜面上での書き込み入力の時には一つ前の状態に、リアルタイム録音入力の際には録音直前の状態まで戻る(リドゥの場合は進む)機能です。

DAWソフトのような感覚の扱いやすさ

 記入した譜面の書き出し やパートの追加などは画面下部左端のホームアイコンの隣にある歯車のアイコンから行ないます。

 書き出しのフォーマットはPDFはもちろん、MIDIデータやMusicXML、またNotionの音源を利用したWAVやAACといったオーディオフォーマットまで選ぶことができます。PDFの譜面としての使用に留まらず、Notionで作成したデモ音源を「Music Studio」や「Beat Maker 2」「Cubasis」といったDAWアプリで読み込んで編集を加えることも可能です。

印刷する用紙サイズや上下左右の余白まで設定できます

 パートの追加をする際には「Score Setup」からメニューを開き、最初のパート選択時と同じ要領で楽器(パート)を選び、最後にOKをタップすると、新しいパートが楽譜の一番下の段に追加されます。

例としてアコースティックギターを追加してみました

 Notionは楽譜制作アプリとしては言わずもがな、シーケンサーアプリとしてもとても細かい部分まで作り込むことができる非常に優れたアプリだと感じました。同系統のアプリであるSymphony Proと比べると、ドラムキット用のリズムパッドによる入力画面があったり、ミキサー画面での直感的なミックスなどでDAWソフトのような感覚での扱いやすさがあります。

 ただ基礎的な音楽知識やDAWの扱い方といった部分がひととおり理解できていたり、理解はできていないまでも想像はつくという方でないと扱い切れない機能が多く、初心者には厳しいところがあります。

 Symphony Proは音楽的な知識はあるけれどDAWは不得手という人向けで、NotionはDAW知識がベースの操作感でもって楽譜を作りたいという人向けかなと感じました。

 アプリ内の音源自体の数は決して多くはないですが、触れ込みにあるストリングスだけでなくピアノやギターの音色もなかなかのクオリティーで、楽譜入力をオフにして単純な演奏用音源アプリ として使ってみるのも面白いのではないかと思います。



藤村 亮(ふじむら りょう)

photo by Shin Kobayashi

 1981年生まれ、Ibanez製7弦ギターを手に世界を渡り歩くロックミュージシャン。2006年にバンド"AciD FLavoR"の7弦ギタリストとしてメジャーデビュー。2008年よりベルギーのインディーズレーベルと契約し、"Ryo Fujimura"としてソロ活動を開始。ヨーロッパ最大の日本文化イベント"JapanExpo"や各国のJ-Musicイベントにゲスト参加した。2012年からは活動の幅をメキシコにも広げ、3度のライブツアーを敢行。さらに、2013年11月にはヨーロッパツアーを終え、2014年1月1日から一日一曲アップロード企画「Daily Sound Scape」をSoundcloud上で開始。

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