iPhoneとAndroidを合わせると9割以上を占めるスマホ市場。Firefox OSなどの新勢力はどうやらブレイクに至らないようだ……。と、なんとなくスマートフォン市場が面白くなくなってきたような雰囲気が漂う中、欧州でモジュラースマートフォンがじわじわと現実のものになりつつある。今回はその中から「PuzzlePhone」「Fairphone」を紹介したい。
「PuzzlePhone」は2016年秋に出荷予定
10年使えるスマートフォンを目指す
まずは1年前にも紹介した「PuzzlePhone」から。フィンランドに渡ったスペイン人がスタートしたCircular Devicesというベンチャーが手がけるモジュラースマートフォンだ。
Circular Devicesは2015年にEU当局の支援を取りつけ、あの「Nokia 3310」のリードデザイナーを務めたTapani Jokinen氏をデザインチームに取り込んだ。昨秋にはIndiegogoでクラウドファウンディングを展開。今年はいよいよ製品がローンチとなる予定だ。
PuzzlePhoneはデザイン、開発、製造をフィンランドで行ない、なんと“10年”使えるスマートフォンを目指すのだという(10年持つのは電子部品とディスプレーで、バッテリーは3年としているが)。
製品は大きく分けて、ディスプレーを含む本体の「Spine」(脊椎)、バッテリー/アンテナ/外部モデムとチップセットの「Heart」(心臓)、SoC/メモリー/カメラの「Brain」(脳)の3つで、古くなったり故障したモジュールを取り替えることができる。不要になったパーツはリサイクルが可能だ。部品とリサイクルの両方でエコシステムの構築も期待できるとのこと。このあたりが当局からの支援につながったと考えられる。
Indiegogoのプロジェクトページによれば、OSはAndroid 6.0以上の予定。ハードウェアのスペックはフルHDの5型ディスプレー、8コアの64ビットCPUを搭載、メモリーは3GBで、ストレージは16/32/64GBから選択できる。microSDカードのサポートも実現する。無線ではLTEに対応し、IEEE802.11acの無線LAN、NFC、Bluetooth LE 4.2、GPSをサポート、USB Type-Cも備える。カメラは12メガピクセル(メイン)と5メガピクセル(サブ)、ジャイロスコープやアクセロメーターなども持つ。サイズは69×137×8.9mm、重量は170g。
Indiegogoでの価格は、限定250台の早期申込者向け(Very Early Bird)が、16GBモデルで299ユーロ/333ドルとなっており、出荷時期は2016年9月とのこと。Iidiegogoではキャンペーン期間の1ヵ月間に7種類のパッケージに対して合計302人の支援者が集まった。
支援者が多かったのは、地元フィンランド(同社はフィンランドのスタートアップイベント「Slash」でホワイトエディションも発表している)、ドイツ、スペイン、米国、フランス、ベルギーなど。300人という支援者が多いか少ないかは見方次第ではあるが、このキャンペーンは「フレキシブル」……要は投資した金額が戻ってこない可能性がありえるタイプで、タブレットでIndiegogoを利用したJollaの出荷が遅れたという先例があることから、ユーザーが警戒している可能性もありそうだ。