2017年に期待していることは、ITによる身近な問題の解決

文●松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII.jp

2017年01月06日 10時00分

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年末年始は良い天候に見舞われたバークレー。Bay BridgeからSan Francisco方面を望む風景です

 新年あけましておめでとうございます。

 筆者にとってこの原稿は2017年の1本目となります。今年も1年間、明瞭闊達に、原稿をお届けしていけるようにしたいと思います。

 さて、筆者の仕事納めと仕事始めは日本のカレンダーに合わせました。12月28日に仕事納め、そして1月4日が書き初め、ということになります。もっとも時差の関係で、日本からは約1日ずれた仕事始めとなりました。

 年末年始は非常に良い天気で、清々しい新年を迎えることができました。しかし週が明けてからは雨が続いており、昨晩(1月3日)は洪水警報が発令されるほど降りました。幸いバークレーの我が家は湾に向かう斜面の中腹あたりにありますので、水が溢れるということはないのですが、交差点という交差点が水たまりになっていて移動しにくい状態でした。

IBMのワトソンが天気を予報するアメリカ

 水不足が叫ばれてきたカリフォルニアでしたが、今年は例年どおりに冬のシーズンに思いっきり雨が降っている印象です。もちろん過去5年の渇水を1年で取り戻せるほど甘くはないでしょうが、恵みの雨であることに変わりはありません。

 日本の気象情報では「注意報」と「警報」という2段階が発令されます。これに相当するのは、米国では「advisory」と「warning」。昨晩の洪水警報は「Flood warning」という情報が発令される、という仕組みです。

The Weather Channelのプッシュ通知をApple Watchで受信。米国の「Warning」は警報で、被害が出る危険性が高いことを伝えるものです

 筆者が米国で愛用しているのはThe Weather Channelのモバイルアプリ。起動画面に「with Watson」と表示され、IBM傘下の企業であることが分かります。実際、2015年10月にIBMがThe Weather Channelを買収しました。

 買収当時、こんな冗談が飛び交いました。「IBMは『クラウド』を取り違えたんじゃないか」。確かに英語では、コンピュータ用語のCloudと雲のCloudは同じスペルです。

 しかし、気象情報がビジネスを含む人間活動に大きく影響することは地震大国に住む日本人は非常に深く理解しています。こうした情報は人の命を守ることが優先されますが、その結果、ビジネスがしぼんだり、心理面で市場に影響を当てるといった相関を見つけることができます。

 IBMがThe Weather Channelを買収する理由も、ここにあります。同社は、B2B向けに気象の予測データやカスタマイズされた気象予報を提供できるようにしました。「悪天候は小売店の業績に影響する」という非常に基本的な法則以上のものを見出す手助けをしてくれることになるのです。

 Watsonが参加するようになったThe Weather Channelのアプリは最近、現在位置とレーダーから割り出す雨雲の動きから、「9:21pmから雨が降ります。軽い雨になりそうです」という通知を送ってくるようになりました。これをApple Watchで受け取ると、あれです。Back to the Future 2のような気分になるのです。

 BtoB向けのサービスでは、現状、0.2マイル(320m)から1.2マイル(1920m)の解像度での短期予報を提供する事ができるそうです。たとえば、フラッシュ的な広告の提供や、気象現象と消費行動の相関を得たときに、需要予測などを行なうこともできるようになるでしょう。

 この分野でも、人の密度が高い日本の方が、機械のセンサーやあるいは人間の感覚と経験によるフィードバックが多くなるのではないかと思います。先日は日本でもしぶんぎ座流星群の観測が楽しめるチャンスだったようで、ウェザーニュースアプリからは、各地で流星を見つけたという通知がたくさん流れてきました。

 労働力などの分野では人とAIが競合する、という話が多く語られますが、気象は、人と人工知能の共闘が可能な分かりやすい分野ではないかと思います。人工知能や機械学習への理解が深まり、共存の可能性を見出す1年になればと考えています。

2017年こそキーボードからの脱却は可能!?

 さて、ここまで書き初めの原稿を書いてきて、正直しんどいものですね。休みが抜けないとか、早起きが辛いとか、そういうわけではなく、今朝もシャキっと6時に起きましたが、とにかく指先がなまっていて、いけません。

 仕事納めから書き初めまで、1週間もキーボードを叩かない日々が続いたため、タッチタイピングの指が全然思うように動かないのです。普段何気なくこなしていたタイピングにこんなにも苦戦するとは……。リズミカルにキーを叩いていく感覚や、そのキーボードを使いこなしている感覚は、一種の集中力と心地よさを感じる部分です(と、自分で書いていて若干気持ち悪さを感じますが)。

2016年11月から相棒となった新しいMacBook Proのキーボード。このキーボードに慣れたはずが、1週間のQWERTYキーボードへのブランクは予想以上に大きいものでした

 ただ、こうした経験は貴重です。多くの人にとって、必ずしもタイピングは気持ちよい体験ではなく、むしろ面倒な経験であるからです。残念ながら現在のコンピュータは、キーボードとマウス、そして最近ではタッチ操作の善し悪しで、操作の速度や効率性が変化してしまいます。  使いやすいペンを選ぶように、使いやすいキーボードやマウス、トラックパッド、あるいはそれらを搭載するパソコンを選ぶというのは、向こう4~5年間の効率性を考えると採るべき戦略ではありますが、そもそも道具に問題があるのではないか、というアイディアもそろそろ検討されるべきです。

 筆者は一昨年ごろから、この原稿や普段のスマートフォンでのメール、SNSへの書き込みに音声入力を活用してきました。iOS 10になって、その精度も高まってきて、普通に喋る速度でも文章全体の構造はきちんと認識し、誤変換を直す程度で利用できるようになりました。

 ただし、この原稿はすべてタイピングで書いています。筆者の仕事場であるバークレーのコワーキングスペースは、周りの人がいるため、声で入力することができないのです。回りはアメリカ人がほとんどであるため、意味が分からない日本語の声が数時間聞こえてくるというのも迷惑な話ですし。

 本連載ではまだご紹介していなかったAirPodsは、コワーキングスペースのような静かめな場所なら、ブツブツと小さな声でのつぶやきでも大分拾ってくれるようになりましたが、音声入力を公共空間や共有空間でできるようにするにはどうするか、工夫が必要ですね。

 ウェブカムやスマホの内側カメラを使った読唇術、さらに自然な動作になり得るなんらかの電気信号を使った読心術でしょうか。 2017年への期待について書いてきましたが、意外に身近な問題が解決されていないものですね。みなさんの今年への期待は、どんなものでしょうか?


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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