「ATOK 2017」と「一太郎 2017」で日本語文章入力効率を改善する技

文●ASCII.jp編集部

2017年04月06日 10時00分

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 2017年2月、「一太郎 2017」が発売された。筆者の原稿執筆には日本語入力システムATOKを使っているし、文書作成時には一太郎を活用している。今年の一太郎はどんな新機能を搭載しているだろうか。今回は「ATOK 2017」と「一太郎 2017」で文章入力効率を改善する技を紹介しよう。

「ATOK 2017」と「一太郎 2017」があればクオリティーの高い日本語を、間違いなく効率よく入力できる!

ディープラーニングを導入して
さらに賢くなったATOK

 ジャストシステムの日本語入力システムの歴史は古く、元になったものから数えると昨年で35周年を迎えた。高精度で柔軟な日本語変換が可能で、昔はマイクロソフトでさえまともな日本語入力システムを作れていなかったため独壇場だった。最近は、通常用途ではOS標準の日本語入力システムでこと足りるようになってしまい、それほど話題にはならないが、それでもPCで文章入力することを仕事にしている人たちからは根強い人気がある。もちろん、筆者もずっとATOKを使って仕事をしている。

 「ATOK 2017」は、10年ぶりに変換エンジンを刷新した。「ディープラーニング」(深層学習)のテクノロジーを採用し、誤変換を約30%削減したというのだ。ATOK2016では変換できなかった例として、「最新モデルも出る」「携帯通信量7ギガ」を入力したが、もちろんきちんと変換された。試しに、Windows 10のMS IMEで入力したところ、前者は「最新モデルモデル」になった。

 しばらく「ATOK 2017」を使って原稿を書いてみた。数十万文字は入力したが、確かに賢くなっているような気もする。とはいえ、元の「ATOK 2016」からして高精度だったのでプラシーボ効果と言われればそうかもと思ってしまうレベル。従来のアルゴリズムが廃止されたわけではなく、そこに新しい変換エンジンを組み込んだので、変換効率が落ちたわけではない。今後、ときどき起きる誤変換をディープラーニングで潰していくなら歓迎したいところだ。

Windows 10のIMEで「さいしんもでるもでる」「けいたいつうしんりょう7ぎが」と入力したところ
ATOK 2017では両方とも変換できた。ちなみに、ATOK 2016ではどちらもNG

 「インプットアシスト」と呼ばれる機能も改良されている。ATOKがオンになっていない状態で文章をタイピングし始めると、半角英語で入力されてしまうことがある。ブラインドタッチが完璧な人は、画面を見ずに打ち始めてしまうことがあり、相当量を誤入力してしまいかねない。この英語の羅列を日本語で入力したように再変換できるようにしてくれる機能は、ATOK 2014から搭載されていた。従来は「Ctrl+Backspace」キーを押す必要があり、ときどきしか起きないその処理のためにショートカットキーを覚えるのが面倒で、結局削除して入力し直していた。

 しかし、ATOK 2017では「Shift+変換」キーでも再変換できるようになった。確定してしまった文を再変換するのと同じキーなので、気軽に利用できるようになる。何かミスして確定入力してしまったなら、「Shift+変換」キーを押せばいい。ホームポジションからの指の動きも小さいし、うれしい改良点だ。

ATOKをオンにしないでブラインドタッチ入力してしまった
「Shift+変換」キーを押せば日本語入力状態になり
スペースキーを押せば変換できるようになる

 さらに細かい変更なのだが「半角/全角」キーを2回押すことで、入力モードを“普通の状態”に戻せるようになった。どういうことかというと、ミスタイプで半角モードや無変換モードになると、もう一度それらのキーを押して戻す必要がある。従来は「半角/全角」キーを2回押して、日本語入力をオンオフしても入力モードが元に戻らなかったのだ。これは単に自分のミスなので、ちょっと手間を掛けて戻すしかないと思っていた。ピンポイントでニーズを満たしてくれたので感動してしまった。

誤操作で入力モードが変わってしまったときも、「半角/全角」キーを2回押すだけ
すぐに、元の日本語入力モードに戻せる

 ATOK 2016からある機能だが、文章入力時に大きな助けになる機能も紹介しておく。ブラインドタッチで入力する際、手を置くホームポジションを毎回きちんと確認している人はいないだろう。体感でキーボードに手を置くと思うが、ときどき左右にずれることがある。右にずれると「左右にずれることがある」が「dすいいもぃtrちlpyphっsち」と入力される。しかし、「ATOKタイプコレクト」機能により、きちんと入力されるのだ。上にずれたり、右手だけがずれたりしても対応してくれるのが賢い。

ホームポジションから指がずれても自動的に認識して変換してくれるので、再入力の手間が省ける

 相変わらず推測変換は賢く、リアルタイムで候補を変化させて表示してくれるので、長い単語を入力しなくて済むことも多い。単語を確定したとき、その単語の後ろに続きそうな単語を自動的に候補として表示してくれる機能もある。矢印キーを押して候補を選んでいくだけで、文章が入力できてしまう。筆者は毎回候補が出るのは少し鬱陶しく感じるのでオフにしているが、あまり高速タイピングが得意でない人は便利に使えるだろう。

「きょういくじっしゅうせい」と入力を進める度に、変換候補が変化してき、効率的に入力できる
「確定直後の変換候補」を表示する設定にすると、確定した単語の後に入りそうな言葉の候補を表示してくれる

ビジネスシーンでは必ず活用したい
変換ミスなどを指摘してくれる「校正」機能

 文章を入力する際は、正確な日本語を使わなければならない。とはいえ、勉強ができる人でも間違って言葉を覚えていることもあるし、ケアレスミスもある。語彙不足で変な文章になることもある。そんな時、ATOKならきちんとした文章を入力できるよう、強力にアシストしてくれる。

 ATOKの校正機能は致命的なミスを回避できるのでぜひ活用したい。「ら」抜き言葉や重ね言葉など、自分では別に変とは思っていない表現でも、人によっては一瞥して無能の烙印を押されてしまうこともある。「食べれる」とか「日本に来日」といった表現は赤い文字で指摘してくれる。ことわざや言い回しの間違いも指摘してくれるので、恥をかかずに済む。ちなみに「募金を募った」「内定が決まった」「春一番の風」、全部重ね言葉だが知っていただろうか。

「身を粉にして」を「みをこなにして」と入力すると、漢字はあっているが読みに関しても指摘してくれる
重ね言葉、有名なのは誰でもわかるが、意外と勘違いしていることがあるので要注意
ビジネス文書で「ら」抜き言葉は絶対にNG

 敬語もバッチリチェックしてくれる。メール本文を入力しているときにも指摘してくれるので、無礼な言い回しや逆に丁寧すぎて間違った使い方になってしまうのを回避できる。新社会人は、がっつりと指摘されると思うので、その都度勉強できる。

 ビジネスシーンで同僚が使っているからと、意識高い系のカタカナ語になじんでしまうこともある。「エビデンス」や「アジェンダ」などと入力すると、「言い換え候補」が表示され、矢印キーで選択するだけで正確な日本語にしてくれる。企画書やメールにカタカナが多すぎると感じたら活用したい機能だ。

 ほかには、名称変更のあった市町村や官公庁などの名前を指摘してくれるのもありがたい。住所などはまだリカバリーできるが、古い省庁名を書いてしまったら常識不足と思われてしまうからだ。

 「連想変換」も重宝している。単語を入力してからCtrl+Tabキーを押すと類義語が表示され、選択して入力できる。この機能を使っていると、語彙力も増えていくのでどんどん活用したい。

丁寧にしようと思ってかえって変になっていることもあるので敬語は要注意
意識高い系のカタカナ語を連発すると失笑されかねないので、きちんと日本語にしておくと安心だ
総理府は今では内閣府になっているが、このようなミスも防いでくれる
「足」の連想変換を開いたところ。入りきらないのでウィンドウは大きくした

多彩な文書を作成できる「一太郎 2017」!
校正機能もパワーアップした

 「一太郎 2017」はもう高機能すぎて、一通り説明すると本1冊書けるレベル。ここでは、新機能を中心に紹介する。チラシや会報などを見栄えよく作る機能が充実しているが、新たに「きまるフレーム」機能が搭載された。これは、地図や連絡先をまとめたフレームをあらかじめ登録しておき、手軽に文書に挿入できるようにする機能。クーポンでも申し込み情報でも、著者情報でもいい。テンプレートがたくさんあるのでまずは読み込んでみて、カスタマイズし、登録し直すとラクだ。

「きまるフレーム」を開き、テンプレから選ぶ。自分で作ったフレームを「文書から登録」で追加することもできる
「きまるフレーム」を追加し、体裁を整えたところ。このようなパーツを簡単に追加できるのが便利だ

 小説執筆のための機能も充実した。2文字ずつ入力しなければならない3点リーダーやダッシュを1回の操作で入力したり、強調単語に付ける傍点をキー連打で付けられたり、ふりがなを付けるときに選択肢から選べるようになった。

 また、ATOKの機能では、方言の変換に簡単に切り替えられるようにもなっている。地の文は普通に書いていても、登場人物によっては方言で台詞を書く場合がある。そのままだと「ほな、遠慮のう」も「補名、遠慮脳」になってしまうが、「話し言葉関西」モードにすれば正確に変換できる。他にも「北海道東北」「関東」「中部北陸」「中国四国」「九州」「文語」などが用意されている。

 さらに、これらの新機能を含む小説で使う機能を「小説用ファンクションキーセット」として搭載。マウスに持ち替えなくても、書き続けられる。印刷入校用のデータを出力できるうえ、同人誌を作る際のスタイルも多数収録。公募ノベルのスタイルもある。表紙や扉絵に格好良くタイトルを入れられる「モジグラフィ」もスゴイ。

「ほな、遠慮のう」と入力しようとしたら失敗。メニューから「表現モード」→「話し言葉関西」を選択する
問題なく「ほな、遠慮のう」と変換できた
小説の執筆向けのキーセットを用意。ファンクションキーでダッシュや傍点、フリガナを付けたり、話し言葉モードに切り替えたりできる

 小説家に便利なら、ライターにも便利なのが、校正機能。プロ向け校正ソフト「Just Right!6 Pro」世代の校正エンジンを搭載し、日本語の間違いを指摘してくれるのだ。ATOKのチェックよりもさらに細かく、普通の単語として使っている商標や商品名を指摘したり、表記の揺れを見つけて教えてくれる。しかも、機能が充実すればするほど過度な指摘が増え、校正が面倒になるが、最新用語の解析を強化することで、「インスタグラム」「自撮り」「ショコラトリー」といった単語を指摘せずに済むようになっているのもありがたいところだ。

文章を入力したら、「ツール」メニューの「文書校正」→「文書校正の実行」をクリックする
普通の単語として書いたつもりが商標だと危険なので、修正する
通常の単語の候補も表示されるので、置換するだけでOK
表記の揺れも統一できる。最近はワザと揺らす場合もあるが、それでもミスは減らしておいた方がいい
YouTuberとユーチューバーを統一できた

軽快にテキスト入力できる
一太郎のエディタモード

 一太郎のエディタモードを使えば、テキストエディタのように軽快にテキストを入力できる。校正機能はもちろん使えるし、1行の文字数を切り替えるのも簡単。全体もしくは選択部分の文字数をカウントしてくれる機能もあり、便利に使えそう。ただ、1つ余計な機能がついていて、筆者のメインエディタとしては使えないのが非常に残念。

 英単語やURLが改行部分にまたがらないように自動的に改行してくれる「ワードラップ」という機能があるが、これが強制的に有効になっており、オフにできない。そのため、文字数や行数を把握しながら入力しなければいけない原稿には使えない。そんな時は、テキストエディタで完成した原稿をコピー&ペーストして校正をかけ、修正したらまたコピー&ペーストで戻す、という作業をしている。ちなみに、この原稿もそうして校正している。

テキストモードは入力しやすい。背景色も自由に変更できる
ワードラップ機能で勝手に改行されてしまうので、原稿書きに使えないことが多い

辞書、メーラー、フォント付きの
「一太郎 2017プレミアム」がオススメ

 以上が「一太郎 2007」と同梱される「ATOK 2017」の紹介だ。それ以外に、様々なコンテンツが追加されたプレミアム版とスーパープレミアム版が用意されている。

 プレミアム版では、ATOK向けの辞書である「岩波国語辞典 for ATOK」「明鏡ことわざ成句使い方辞典 for ATOK」「大修館四字熟語辞典 for ATOK」「ジーニアス英和/和英辞典 for ATOK」を利用できる。自分で使っている言葉の意味を再確認したり、慣用句を正確に使うために活躍してくれる。しっかりした文書を作りたいなら、活用したいところ。

 筆者は個別に買ってしまっているが、メールソフトの「Shuriken 2016」(「真似したくなるPC活用術― 第219回 「Shuriken」で複数のメールアカウントを効率的に管理・運用する技」(関連記事)も同梱されている。これだけで5184円(税込)分の価値がある。

 また、フォントワークスの書体コレクションから、5ファミリー10書体も収録している。文庫本などで使われる筑紫明朝やアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」で有名になった黒バック白抜き文字で使われたマティスフォントなどが使える。小説同人誌などを見栄えよくしたり、大見出しをがっつり打ち出したいときに活用できる。

 そのほか、音声読み上げソフトの「詠太7」、統合グラフィックソフト「花子2017」、PDF作成・編集ソフト「JUST PDF 3」も収録している。さらに、スーパープレミアム版には「一太郎プレミアムマウス 深紅」や写真編集や表計算、プレゼンソフトなどが付属する。

入力中に「end」キーを押すと意味をチェックできる
文字の意味がわからなかったら選択して、Ctrlキーを2回押す
プレミアム版には最強のメールソフト「Shuriken 2016」が同梱されている
見た目のいいフォントが5ファミリー10書体同梱されている

 一太郎 2017の価格は、通常版のダウンロード版が1万7280円(以下、すべて税込)、プレミアム版のダウンロード版が2万2680円となる。スーパープレミアム版はダウンロード版がなくパッケージ版となり、価格は3万9204円とちょっと高め。とはいえ、ジャストシステム製品やMS Office製品を持っているなら、ぐっとお得な特別優待版を購入できるし、一太郎を持っているならさらに安いバージョンアップ版を利用できる。一太郎 2017ダウンロード版は6480円だ。

 ATOK 2017を単品で購入する場合は、プレミアムの通常版が1万2312円、ダウンロード版が1万800円、ベーシックの通常版が8208円、ダウンロード版が6804円。そして1契約で最大10台までの端末で使えるATOK PASSPORTはプレミアムが月額514円、ベーシックが308円となっている。

 「一太郎2016」と比べて、それほど劇的に改善されているとは言えないが、既存の一太郎ユーザーであれば安いのだからアップグレードすべき。一太郎を買うのが初めてならちょっと高くなるが、ATOKの高精度な日本語入力機能と一太郎の柔軟な文書作成機能は超絶便利で作業効率がアップするのでぜひ体験してほしい。

ジャストシステム製品やMS Officeを持っている人は多いのではないだろうか。その場合は、通常版よりは安く買えるので見逃さないように

筆者紹介─柳谷智宣

著者近影 柳谷智宣

1972年生まれ。ネットブックからワークステーションまで、日々ありとあらゆる新製品を扱っているITライター。パソコンやIT関連の媒体で、特集や連載、単行本を多数手がける。PC歴は四半世紀を超え、デビューはX1C(シャープ)から。メインPCは自作、スマホはiPhone+Xperia、ノートはSurface Pro3とMacbook Air。著書に「銀座のバーがウイスキーを70円で売れるワケ」(日経BP社)、「Twitter Perfect GuideBook」(ソーテック社)、「Dropbox WORKING」(翔泳社)、「仕事が3倍速くなるケータイ電話秒速スゴ技」(講談社)など。筋金入りのバーホッパーで夜ごとバーをハシゴしている。好きが高じて、「原価BAR」を共同経営。現在、五反田・赤坂見附・銀座で営業中。


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