限定的だが効果アリ! 格安SIMでキャリアアグリゲーションを試した

文●ASCII.jp編集部

2017年05月11日 12時00分

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 実際の通信速度とは別に、ドコモの「キャリアアグリゲーション」で実現される下り最大速度は数百Mbpsということになっている。

 モバイルルーターだけでなく、気がつけばスマートフォンで下り最大500Mbpsという機種も登場。さらに高速化したキャリアアグリゲーション対応機は、格安SIMユーザーに恩恵があるのかどうか調べてみた。

周波数帯を束ねて高速通信をする「キャリアアグリゲーション」

「4G+」と出ているが、説明書によるとLTE接続時はこの表示となる
「4G+」と出ているが、説明書によるとLTE接続時はこの表示となる

 まず、最初に簡単にキャリアアグリゲーションについて説明しておきたい。簡単に言ってしまうと、LTEの通信速度にも限度があり、それをさらに高速化するために、2つ以上の周波数帯を束ねて通信するというものだ。

 また、異なる特性の周波数をつかむことで、電波状態の悪い場所であっても、よりつながりやすい電波で通信できる。このため、格安SIMなどでもアドバンテージになる。

 キャリアアグリゲーションで高速通信を行なうためには、端末側が対応しているのはもちろん、基地局側も対応、つまり、対応エリアに入っていることが条件となる。

 今回は3つの周波数帯を束ねて通信でき、しかもより1波あたりの通信速度が速くなる256QAMに対応する「Xperia XZ」(SO-01J)を使ってみた。

 下り最大500Mbpsの通信ができるとされ、従来の機種と比較して、キャリアアグリゲーション以外でも高速に通信できることが期待されている機種だ。

 通信を束ねることのほか、Xperia XZで採用された256QAMの通信は、通常のLTEが64QAMであることに対して、1つの周波数を使って同じ時間内に送れるデータが多くなる。それはデータの伝送速度が速くなることと一緒だ。

そもそも低速な格安SIMで意味がどれだけあるのか?

 では、キャリアアグリゲーション対応機は格安SIMに恩恵をもたらしてくれるのだろうか。

 ドコモの回線を使った格安SIMでは、ドコモとエリアが同じだけでなく、キャリアアグリゲーションなどの通信もそのまま利用でき、高速化が期待できることになっている。

 ただし、これまで格安SIMの通信速度を見てみると、キャリアアグリゲーションの効果がある無線通信区間の速度よりも、ドコモのネットワークの先、インターネットへの接続部分が詰まってしまい、速度低下を引き起こしていることが多いと見られる。

 たとえば、昼休み時間帯に1Mbpsを切るような速度低下を起こしていても、別の格安SIMやドコモ契約のSIMでプロバイダーにspモードを使った場合は、数十Mbpsの速度が出ることがある。つまり、無線通信区間をどれだけ速くしても、その上流が詰まってしまっているのでは意味がない。

 この部分のスループットがキャリアアグリゲーションで実現する速度よりも高速になってはじめて、キャリアアグリゲーションの意味があると言える。

 具体的には、キャリアアグリゲーションなしでは、下りが80~90Mbpsが上限と思われ、これ以上の速度を出すためには、その上の部分が順調にデータが流れている必要がある。

キャリアアグリゲーション利用で100Mbps超を実現

 そこで、まずは試そうということで、キャリアアグリゲーション対応のXperia XZ(SO-01J)、非対応のXperia Z3(SO-01G)を用意、それぞれ3枚のSIMで測定してみた。

 用意したSIMは、測定アプリで爆速な数字を出すことの多い「楽天モバイル」、格安SIMの定番中の定番である「IIJmio」、そして比較用にドコモ契約のSIM。これを同じ場所、ほぼ同じ時刻に差し替えて試してみた。

 まずは最も速度が出るであろう未明~早朝。最近は深夜2時台や3時台の未明の時間帯は別の用途で使っているのか最高速度が出ないことがあるため、早朝6時台に測定を行なった。

早朝6時の測定結果(Mbps)
早朝6時の測定結果(Mbps)

 注目すべきは、キャリアアグリゲーション対応機のXperia XZ(SO-01J)で記録した下り125.44Mbpsという速度。ドコモ契約でプロバイダーがspモードというドコモ利用者の標準的組み合わせのSIMで出た速度だ。

 そして、それがキャリアアグリゲーション非対応のXperia Z3(SO-01G)では、下り82.78Mbpsと下がっている。

 どちらも十分に高速なので、大容量のファイルダウンロードでもしない限り利用上の差は出ないものの、これだけの差が出る。楽天モバイルも下りが90.86Mbpsとキャリアアグリゲーションの効果が現われていそうな速度だ。

 また、IIJmioもキャリアアグリゲーション対応機のほうが下りの速度が速くなっている。さきほどボトルネックはもっと上流にあるとしたが、無線通信区間の速度が速くなることは、全体的な速度にも影響があるようだ。

 そして、注目してもらいたいのは、上りの速度が落ち込んでいること。ドコモ契約が特に顕著で、キャリアアグリゲーション対応機の上りはわずか4.62Mbpsまで落ち込んでいる。

 同様にIIJmioも上り速度が落ちるため、どうやらキャリアアグリゲーション対応機だと上り速度が下がるようだ。

朝10時の測定結果(Mbps)
朝10~11時の測定結果(Mbps)

 続いて、平日の午前中に速度測定を行なった。10時~11時のデータとなるが、下りは全体的にキャリアアグリゲーションが速く、上りはIIJmioを除いてキャリアアグリゲーションが遅いという結果になっている。

夕方17時の測定結果(Mbps)
夕方17時の測定結果(Mbps)

 さらに夕方17時台のデータ。キャリアアグリゲーション対応機が速いというよりも、むしろドコモ契約の回線の太さに驚くばかり。

 楽天は速度測定アプリでは速度が出る格安SIMの常連だが、IIJmioの落ち込みは残念で、IIJmioはキャリアアグリゲーション非対応機のほうが速いという結果になっている。こうなったらキャリアアグリゲーションの意味すらなくなる。

速度の速いときはキャリアアグリゲーション対応の効果あり!

 こうして実測値を見ると、キャリアアグリゲーション対応機による効果は、ドコモ契約の人には確実にあると言えるが、格安SIMのユーザーについては効果は限定的。早朝や午前中のビジネスタイムなど、比較的インターネットが空いている時間帯には下り速度が向上しそうだ。

 反対に、あまり速度の出ない格安SIMや、混雑時間帯メインの場合、そして写真や動画の投稿など、アップロード重視の使い方の場合、キャリアアグリゲーション対応機である必要性は現在のところ感じない。

 ただし、この状況がいつまで続くかは未知数。近い将来、キャリアアグリゲーション対応機が絶対有利という状況になる可能性もある。

 現時点では無理してキャリアアグリゲーション対応機を購入する必要はないものの、キャリアアグリゲーション対応機が選べるならば、選んでおいて損はないだろうとうことではないだろうか。

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