Samsungといえば、最新のフラッグシップ「Galaxy S8」の発売とその動向(売れ行き)が注目されるところだが、同社は(ひっそりと)Tizenを搭載したスマートフォン「Samsug Z4」を発表している。SamsungにおけるTizenの位置付けはいまだに曖昧だが、Z4は4機種目のTizenスマートフォンとなった。
Tizen搭載の「Samsung Z4」
――インド向けのミッドレンジスマホ
Samsung Z4は、2016年秋に公開された「Tizen 3.0」を搭載し、LTEをサポートしたスマートフォンだ。画面解像度は480×800ドットの4.5型、カメラはメインもインも5メガで、リアにはデュアルLEDフラッシュもついている。1.5GHz動作のクアッドコアCPUを搭載し、メモリーは1GB、ストレージは8GB。スペックを見る限り、ミッドレンジからエントリーのスマートフォンと言えるだろう。
SamsungといえばAndroidというユーザーに対し、高速かつシンプルなUIなどを搭載すると差別化を説明している。初めてスマートフォンを持つというユーザーを狙う。
価格は公開されていないが、100ドル以下と見てよさそうだ。
相変わらず曖昧なTizenのポジショニング
Tizenについてはあらためての説明は不要だろう。Linuxをベースとしたモバイル端末向けのOSで、Samsungが2012年にIntelと共同で立ち上げたオープンソースプロジェクトだ。正確にはLiMo Foundationの流れをくむものと言える。Samsungはそれまで「Bada」として独自OSを開発する取り組みを進めていたが、それもTizenに統合している。プロジェクトは非営利団体であるLinux Foundationがホスティングしている。
同時期にMozillaのFirefox OS、CanonicalのUbuntu Phone、JollaのSailfish OSなど、新しいOSが立ち上がったことから、「第3のモバイルOS」候補と位置付けられていた。
Samsungの思惑、Intelの思惑はわからないが、少なくともTizen Associationに参加しているキャリアはそうなることを願っていたようで、HuaweiのデバイストップRichard Yu氏は以前Wall Street Journalに、キャリアからTizenスマートフォンの開発をという要望があったことを明かしている(Yu氏はそれを拒否したとのこと)。2014年にはNTTドコモが投入予定だったTizenスマートフォンを「当面見送る」としたこともニュースとなった。
実際の端末でTizenを主導しているSamsungはスマートウォッチなどで採用しつつ、スマートフォンではAndroid戦略との兼ね合いを図ってきたように見える。Googleは、SamsungがTizenに肩入れすることを快く思わないのは明らかだろう。SamsungとGoogleは2014年特許ライセンス契約を交わしている。
SamsungがTizenを搭載したスマートフォンを最初に発表したのは2014年6月の「Samsung Z」だ。ロシア市場で発売としていたものの、発売延期となった。Samsungはその後、2015年1月にインド市場で「Samsung Z1」(Tizen 2.3)を発売した。さらに「Samsung Z2」(Tizen 2.3)を同年秋に、翌夏に「Samsung Z3」(Tizen 2.4)をやはりインドでリリースした。
Reutersの報道によると、インドの後、バングラデシュとスリランカの合計3市場で展開したSamsung Z1の累計販売台数は100万台に達したとのこと。中でもバングラデシュでは発売時の四半期で最も売れたスマートフォンだったという(http://www.reuters.com/article/us-samsung-elec-tizen-idUSKCN0P911I20150629)。