20億人という数字を超える、AndroidとFacebook

文●松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

2017年07月05日 13時20分

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Facebookの本社の前にある「いいね!」の看板

 アメリカは7月4日の独立記念日を前に、先週30日金曜日あたりから、バケーションの雰囲気が漂っていました。私が仕事場にしているWeWork Berkeleyも、人気が少なくなってきました。

 この原稿を書いているのは7月3日の昼下がりですが、日曜日と祝日の間になる月曜日に休みを取っている人も少なくないようです。その証拠に、我が家の周りの家々では昼間からバーベキューのおいしそうな香りが漂ってきていて……。

 7月4日近辺は休みの店舗も多いため、家族で過ごすレジャーに充てる人も多いようですね。

20億人を突破したFacebookコミュニティ

 先週のニュースでインパクトがあったのは、Facebookの月間ユーザー数が20億人を突破した、というものです。日本でもテレビのニュースで報じられるなど、この話題に触れた人も多かったのではないでしょうか。

 10億人を突破したのは2012年だったので、それから5年でユーザー数が倍増したことになります。Facebookのサービス開始は2004年だったことから、新たな10億人の獲得までのスピードがいかに加速していたかがわかります。以前として年率17%の成長率は驚異的なものです。

 Facebookは月間ユーザー数20億人を突破しましたが、傘下のサービスも大規模なユーザー数を抱えています。写真やビデオの共有サービスであるInstagramは7億人、チャットアプリのWhatsAppは12億人、Facebookメッセンジャーも12億人。Facebookとメッセンジャーの間に位置する月間ユーザー数を誇るのはYouTubeの15億人ぐらいでしょう。

 気づいていない人は少ないとは思いますが、「Facebook疲れ」の人が使っているインスタやメッセンジャーだって、Facebookのサービスなのです。

20億人のユーザーを抱える、もう1つ

 2017年に入って、テクノロジー業界はもう一つの「20億人」という数字を目にしていました。それはGoogleが5月のGoogle I/Oで発表した、Androidの月間ユーザー数20億人でした。

 Googleが前回こうした数字を発表したのは2015年9月で、その時点から4億人増加しています。こちらはFacebookとは違い、スマートフォンというデバイスに紐付いて使用されるものであるため、価格にかかわらずデバイスの購入が介在します。その上での20億人という数字はやはり驚きに値します。

 現在の地球上の人類の数は2015年の国連のデータによると、72億人。今後2020年までに76億人、2025年には80億人を突破すると予測されています。

 20億人と聞くと非常に大きな数字に見えますが、それでも72億人のうちの28%に過ぎないのです。つまり、GoogleもFacebookも、残りの72%全員とは言わないまでも、世界の半分の人口である36億人を狙うとしても、あと16億人もの人々を開拓していかなければならないことになります。

 Facebookは、まだリーチできていない巨大な人口に対してアクセスする取り組みについて、毎年開発者会議F8で披露し、開発者のサービスやビジネスの対応を促してきました。

 たとえば新興国では、Facebookにまつわる通信を無償化する、インターネット未達地帯に対して、無人飛行機などを用いて宇宙からインターネット接続を提供するといったコネクティビティの解決に取り組んでいます。

 また、世界中の人々が使う様々な言語に対応することも、Facebookプラットホームを利用する人口を増やすために必要なこととして取り組んでいます。そうした中で、さまざまな側面の多様性に対応し、あらゆる人々が快適に利用できる環境を作っていくことにも努力しています。

社会的責任という新たな問題

 しかし、新しい問題はまだまだ発生しています。

 例を挙げると2016年の米国大統領選挙における「フェイクニュース」の問題は、世界的なプラットホームが「情報」による脆弱性をはらんでいることを世に知らしめました。

 今までのハッキングやクラッキングは、システムやインフラに対する攻撃によって、多くの人々が利用している仕組みを停止させ、混乱を作り出す手法でした。

 しかしフェイクニュースは、情報の血脈となっているソーシャルメディアを巧みに使うだけで、真実と嘘を入れ替えたり、そう見せかけ、人々の行動を変えて重大な結果を左右したり、あるいは攻撃者の意図に添ってコントロールできる可能性を示してしまったのです。

 もちろんFacebookはすでにフェイクニュース対策を行なっています。しかし、ハッキングがそうであったように、おそらく当面は、攻撃側と対処側のいたちごっこの状態が続いていくことになるでしょう。その過程で、Facebookがプラットホームとしての社会的信頼を摩耗させていくことだって、大いに考えられるのです。

巨大エコシステムに対する、個人と家族の概念
Appleが個人に打ち出す現実的なメッセージ

 FacebookやGoogleのビジネスモデルは広告です。そのため、サービスやデバイスの利用者や、その属性の増加、多様化が、同社に対して配信する広告の価値を高めていきます。そのためにも地球の果てまで、新規ユーザーを求めていかなければなりません。

 その原則のうえには、Googleであれば世界中を検索可能にするというミッションがあり、Facebookは世界中の人々をつなぐというコンセプトの実現があります。

 これに対して、巨大プラットホーマーとして異なる立場を取っているのがAppleです。Appleはデバイス販売のビジネスが主体であることから、「最先端ではなく最高の製品を作ること」をモットーとしています。

 しかし、iOSの稼働数は10億台を突破したと昨年発表しており、また拡張現実を組み込んだ最新のiOS 11を発表する際には「世界最大のARプラットホーム」と豪語し、数の論理を振りかざすこともあります。ただこれらは開発者に対する発言であり、Appleプラットホーム向けのアプリを開発する人々に対して、優位性や投資を促すための誘い文句なのです。

 Appleが個人と対峙するとき、シンプルさや正しさ、そしてプライバシーや家族といったキーワードを活用します。特にプライバシーへの強烈な配慮は、ユーザーのデータを使ってエンジンを成長させるGoogleや、むしろ人とつながることを促すFacebookとは一線を画しています。その構図は今後も変わることはないでしょう。

 世界を覆う巨大なエコシステムの弊害が目立ち始めたとき、これに早く対処していかないと、Appleが発するプライバシーや家族、といったより現実的で地に足の着いたメッセージに人の気持ちが動いてしまう懸念があります。

 数を増やしながら、そうした諸問題に対処する、世界にまだ例のない舵取りを行う2社に、今後も注目していきましょう。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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