山根博士の海外モバイル通信

スマホとペアで使いたい! 4G/3G対応フィーチャーフォンが世界でいまアツい

文●山根康宏 編集●ゆうこば

2017年07月31日 12時00分

 スマートフォン時代にも関わらず、カードサイズの3Gフィーチャーフォン「Niche Phone-S」がクラウドファウンディングに登場して話題をさらっています。

 通話用途だけではなく、Wi-Fiを使ってモバイルルーターにもなるという、スマートフォンのコンパニオンとして使える端末は、2台目にぜひ欲しいもの。

 また、海外ではインドの新興キャリアであるリライアンス・ジオが完全無料をうたう4Gフィーチャーフォン「JioPhone」を8月に発売します。

 デポジットが必要ですが、わずか1500ルピー(約2600円)で3年後に完全返却。毎月の基本料金は153ルピー(約260円)と低所得者層向けの製品になっています。

 VoLTEにも対応していることから、ベースはAndroidでしょうが、操作体形は完全にフィーチャーフォンベースとなっているようです。

インドで発売予定の無料の4Gフィーチャーフォン「JioPhone」

2Gが停波した国では3Gフィーチャーフォンが急増
4GのフィーチャーフォンはAndroidベースで発展

 このように、3Gや4Gのフィーチャーフォンはまだまだ意外と需要があるもの。台湾やシンガポールのように2Gを廃止した国では、無名メーカーの3Gフィーチャーフォンが急増しています。以前よりも3G端末の製造コストも下がっているのでしょう。

香港やシンガポールなどで売っている3Gフィーチャーフォン「Newing W200」

 これらの3G/4Gフィーチャーフォンは、よく見ると3タイプあるようです。まずは、通話オンリーの2Gのフィーチャーフォンを3G化したもの。

 次は、フィーチャーフォンながらもWi-Fiを搭載してルーターにもなるもの。そして、4Gに対応し、VoLTEも利用可能、見た目はフィーチャーフォンですがベースはAndroid、というものですね。

 この中でも、やはり4G対応のフィーチャーフォンはちょっと気になりますね。たとえば、中国のキャリア・中国移動は端末開発部門も持っており、新興国向けの4Gフィーチャーフォンを開発しています。

 Androidベースなので日本語ロケールも入っており、このまま日本にも持ってきてほしいところ。

中国移動の新興国向け4Gフィーチャーフォン

 2.4型QVGA解像度(240×320ドット)ディスプレーは、表示できる文字数に限りがありますが、フィーチャーフォンとして使うなら十分。Wi-Fiボタンもありルーターにもなるようです。

 5000円以下という価格レベルに抑えるため、カメラは30万画素とさすがに低画質ですが、本体カラーも悪くなくちょっと欲しい気がします。

 通信方式はGSMとLTEで、3G非対応という割り切った設計。チップセットはフィーチャーフォンではメジャーなMediaTekではなく、低コストなスプレッドトラム(Spreadtrum)のものを採用しています。

色合いも悪くない。よく見るとスピーカーの下には「VoLTE」の表記

低コストなVoLTEの導入がつづくが、小型端末はあまり出ていない模様

 新興国でもVoLTEの導入が進んでおり、それらの国で4Gフィーチャーフォンはこれからちょっとしたブームになりそうです。

 前述したリライアンス・リオも、VoLTE通話は基本料金内で通話定額を提供。4G回線を使うIPベースのVoLTEは低コストで運用できるため、キャリアとしてもユーザーにもっと利用してほしいのでしょう。

 そのため、2Gのフィーチャーフォンからいきなり4Gのフィーチャーフォンへと、3Gを飛ばして、製品を導入するキャリアもあるようです。

簡単メニューな中国LePhoneの「V5」も新興国向け。4GとVoLTEに対応

 これら4Gフィーチャーフォンは、大きいアイコン(というかパネル)を使った簡単操作を売りにしています。フィーチャーフォンユーザーは年配者、という考えなのでしょうか。

 そのためか、スタイリッシュに小さな端末を使いたい、と考えるユーザーをターゲットにした製品はあまり多くありません。そんな製品はちょっと前の製品までさかのぼる必要がありそうです。

 たとえば、筆者は先日、ノキアが2013年に発売した3Gフィーチャーフォン「Nokia 515」を中古で購入しました。

 金属ボディーで発売時は1万5000円程度とやや高めの価格設定だったためか、あまり数は出なかったようです。そのため中古品はなかなか見つからず、約7000円とそこそこの値段でようやく確保できました。

Nokia 515は金属ボディーのちょっと高級感あるフィーチャーフォン

 金属の肌触りが心地よく、いまでは類似の製品も手に入れにくいとあって、所有欲が満たされる製品です。電池交換のためにSIMピンを使って本体を開く、という隠し技があるのもなかなかおもしろいもの。

 Wi-FiはありませんがBluetoothがあるので、PCとの連携はなんとかできそう。でも、この端末は質感とデザインを楽しむべきでしょうね。

本体を開ける際はSIMピンを使うのが驚き

 そういえば、フリーテルの「Simple」もデザインは良かったのですが、実機を触ってみるとプラスチックの質感もあってか価格相応、という製品でしたね。スーツ姿にも似合うようなかっこいいフィーチャーフォンをどこかにつくって欲しいものです。

 ノキアのフィーチャーフォンも以前は3G機がいくつかありましたが、最近はもっぱら2Gばかり。つい先日発表された「Nokia 105(2017)」「Nokia 130(2017)」もどちらもGSM端末です。

2017年7月の最新ノキア端末はどちらも2Gのフィーチャーフォン

ロシアのフィーチャーフォンもどきもおもしろい!
大手メーカーもぜひ開発して欲しい

 さて、ロシアにも3Gのフィーチャーフォンがあります。Elariから出ている「SafePhone」で、名前の通り背面には緊急発進ボタンを備えた端末です。

 画面解像度は320×240ドットですが、実は、中身はAndroidスマートフォン。とはいえ、待ち受け画面から上下キーを押すとアプリアイコンがひとつずつスクロールする様はフィーチャーフォンそのもの。画面解像度が低いところを逆手に取って、フィーチャーフォンっぽくしているわけです。

画面表示できるアイコンは1つ。見た目はフィーチャーフォンなスマートフォンの「SafePhone」

 最近は、海外の中古端末屋でも3Gのフィーチャーフォンは2G機とわざわざ区別して売っているところもあります。マイナーメーカーの3Gフィーチャーフォンは増えているのですが、大手メーカーの製品となると最近ではアルカテルの製品くらい。安心して使える製品が少ないので、昔のノキアの3G機の人気もまだあるみたいです。

ノキアの中古3G機はどれも数年前の製品。最新モデルがほしい

 サムスンのMILスペック対応3G端末など、世界にはまだまだ多くの3G/4Gフィーチャーフォンがあります。低価格なスマートフォンも増えていますが、1万円程度の製品の品質やスペックはどうしても見劣りしてしまいます。

 それに、メモリー容量を気にしながら使うのも疲れるものです。むしろ、スマートフォンの機能はiPhoneやXperia、Galaxyなどメイン機を持って、2台目のサブ用途として使い勝手の高いフィーチャーフォンを開発してくれるメーカーが出てくるといいのですけどね。

 個人的には、無印良品がシンプルで上品なデザインの端末を出せば、世界中でヒットすると思うのですが。

サムスンの防水対応3Gフィーチャーフォン。日本に欲しい1台だ

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