新iPhoneが出た今、格安SIMへの移行はお得なのか?

文●正田拓也

2017年10月12日 12時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
イメージ

 格安SIMを活用すれば、ドコモ、au、ソフトバンクの3大キャリアでは月間6000円以上のスマートフォンの維持コストがほぼ同条件で月間2600円前後に下げられるが、端末購入代金まで含めると事情が変わってくる。

 今は「iPhone 8/8 Plus」の発売直後でまもなく「iPhone X」も発売される。端末購入まで含めると格安SIMは本当に得なのか、iPhone買い替えを想定した格安SIM乗り換えは本当に得か、考えてみた。

3大キャリアのiPhoneはかなりお得

 iPhoneの価格は最も安いiPhone 8 64GBモデルで8万5104円(SIMフリー版)。ハイエンドスマートフォンと思えば妥当な金額ではあるが、8万円台といえばノートPCもそこそこのモノが購入できる金額となる。

 しかし、3大キャリアで購入し回線利用をしていくとなると事情は異なってくる。端末購入で月額料金を値引く「月々サポート」「毎月割」「月月割」のおかげで、月額利用料が減額される仕組みがあるからだ。

 かつては値引きと端末代金支払がピッタリ相殺される「実質0円」というほど割り引かれていたが、今はもう少し割引額が低い。

 割引額が少なくなったとはいえ、iPhoneには端末代金の割引制度も豊富だ。既存利用者には買い替えの割引クーポンや乗換クーポンがたくさん配られている。そのほかにも特典を満載して、実際の価格がよくわからないほど条件が良くなっている。

 駄目押しとしては、ドコモショップなどキャリア専売店ではキャリアの示した価格やクーポン、公式なキャンペーンなどの特典にとどまることが多いが、発売後ある程度時間がたったころの携帯電話併売店では、独自の価格や特典付きで販売されることもあり、数万円という大きな単位でお得になることもある。

 「実質0円」はなくなったと言うが、さまざまな特典を合わせるとiPhoneの本体代金分がまるまる浮いてしまうようなものも存在する。

 そのため、通信・通話に関する料金で圧倒的な差が付いている3大キャリアと格安SIMだが、その差をiPhoneの割引で吸収してしまうことさえある。

 たとえば、3大キャリアの利用料が月間5942円(データ2GB、5分間までの通話定額付き)が24ヵ月で14万2608円。格安SIMは約2600円(音声付き契約、データ3GB、5~10分までの定額通話オプション込み)で24ヵ月では6万2400円。

 iPhone 8 64GBが8万5104円なのでiPhone本体の価格がゼロになるほど特典があれば、24ヵ月使うとすれば格安SIMのメリットがほとんどなくなる。

 現時点で「月々サポート」「毎月割」「月月割」の総額が5万円以上付くようになっているので、残り約3万円分の特典があれば格安SIMよりも3大キャリアのほうが安いということになる。

ドコモの24ヵ月料金:5942×24=14万2608円
一般的な格安SIMの24ヵ月料金:2600×24=6万2400円
差額:約8万円

 このような計算は過去にこの連載でも何度か比較しているが、格安SIMにSIMフリーiPhoneを購入するのと3大キャリアで普通に購入するのとでは、使用条件によっては、逆転することもある。

 3大キャリアしかないサービス、たとえば通信品質、キャリアメールの提供、年齢認証、国際ローミングの割安なサービスに対して、大きな価値を見出すとするならば逆転していると言ってもいいくらいだ。

 なお、今回のiPhoneの発売に合わせ、iPhoneを分割払いで購入したあと、次のiPhoneに乗り換える際に分割払いの残金を免除する制度がauとソフトバンクから登場している。

 一見、残金免除はお得なような気もするが、「購入」という形で自分のものになっていたはずのiPhoneは回収となる。

 免除となる残金が売却して得られる金額よりも多ければ得だが、そうでなければ次のiPhoneも同じキャリアで継続しなければならないという未来の縛りまで付いてくる。

端末購入の補助が弱い場合は、格安SIMが有利になってくる

 では、iPhone以外だとどうなるか。機種によって割引施策はさまざまだが、定価が3万円程度のエントリークラスからもう少し上のミドルレンジの機種では、残念ながら得にはなりにくい。

 なぜなら、3大キャリアの場合、どの機種を買っても実際の支払い額に大きな差はなく、割引や特典の大きなハイエンド機種を買ったほうが得な図式ができているからだ。

「arrows Be F-05J」
「arrows Be F-05J」

 たとえばスペックはエントリークラスで、ずっと料金から毎月1620円が割引となる「docomo with」対応機種の「arrows Be F-05J」。

 機種代金が2万8512円なので、分割払いで購入するだけで、月々の支払いが1188-1620=マイナス432円。つまり、24ヵ月で1万368円安くなる。

 一見、月々の支払いがマイナスになってスマートフォンも手に入る、という美味しい話にも見えるが、ただ、ドコモの料金は高い。

arrows Be F-05Jの毎月かかる料金の24ヵ月分:5510×24=13万2240円
一般的な格安SIMの24ヵ月料金と3万円の機種購入:2600×24+30000=9万2400円
差額:約4万円

 いくら月額費用が安くなったからといっても、格安SIMよりはだいぶ高く、月額料金は単体利用で5942-1620+1188=5510円から。しかも2年縛りもある。そして未来永劫月額1620円引きの権利を手に入れたとしても、2年後に特典満載でdocomo with以外に機種変更した場合はその権利は消滅する。

 ほかに割引がなく、月々1620円程度の割引であればさっさと格安SIMに乗り換えてしまい、同程度のSIMフリースマートフォンを購入してもいいだろう。

 SIMフリースマートフォンのエントリークラスのなかには3万円前後ながら性能も十分の最新機種「HUAWEI P10 Lite」を筆頭に、コストパフォーマンスの高い機種がゴロゴロある。

格安SIMは手持ちの端末がある場合が最もお得だ

 筆者の考える最も格安SIMがお得になるパターンは、現在手持ちの機種をそのまま使い、SIM交換により格安SIMに乗り換えるという方法だ。

 ドコモの機種を持っている場合や、auのVoLTE対応より前の機種はそのまま乗り換えが可能。それ以外でもSIMロック解除できる機種があれば、その機種を使って格安SIMに乗り換えることができる。

 最近は端末を新しくしてもできることに変化がないことがある。また、iPhoneは安価な修理サービスが充実してきたため、わずかな修理代金でバッテリーをリフレッシュさせ、古い機種でも問題なく使い続けられる。

 もし、今の端末のまま使い続けるならば、そんなときこそ格安SIMにMNPして、月々の費用を抑えたほうがいいだろう。

 また、家族にスマートフォンを持たせるため、古くなった機種を活用するという場合も格安SIMがお得だ。

 3大キャリアで家族契約をして家族内の通話料無料を実現する方法もあるが、今どきの家族は通話をするよりもメッセージ送信が一般的。どうしても通話をするならSNSアプリの通話機能を使えばいいため、家族割による通話料無料はあまりメリットがない。家族割だけが3大キャリア残留条件なら、一度使い方を精査してみよう。

格安SIMは流動的な立場の人も有利

 暗い話になるが、今の世の中、突然仕事をクビになってしまうケースは残念ながら増えている。そんなときも格安SIMは役に立つ。万一、スマートフォンの利用料が払えなくなった場合でも格安SIMは解約しやすい。

 データ専用回線では加入料なしですぐ解約でき、音声通話が付いた回線でも、縛りは「OCN モバイル ONE」のように半年と短いところから長くても1年ほど。

 しかも、その期間を経過すればいつでも解約に費用はかからない。なかには「mineo」や「イオンモバイル」のように、MNP転出でない純粋な解約なら一切違約金がかからないところもある。

 なお、「Y!mobile」や「UQ mobile」も格安SIMとして分類されることもあるが、筆者は別カテゴリーと考えている。

 IIJmioやOCN モバイル ONE、mineoと異なり、2~3年契約が事実上必須で、長期契約を見込んだ非常に安い端末価格となっている。料金が多少安くてもドコモ、au、ソフトバンクの3大キャリアとわずらわしさに違いはない。2年目から料金が上がることをはじめ、契約条件をよく理解した上で契約してほしい。

格安SIMは必ずしも得にならないが、試すのも悪くない

 iPhoneについては格安SIMが必ずしもお得ではないことがわかった。端末購入まで含める場合は、3大キャリアの特典をフル活用し、さらに安い店まで見つければ、格安SIM以上の条件でiPhoneを維持できる。

 格安SIMは解約も比較的しやすく、MNPで3大キャリアに戻ることもできるため、気軽に試してみるのも全然アリだが、絶対的に安くなるわけではないことも、十分に理解した上で契約してほしい。

mobileASCII.jp TOPページへ

mobile ASCII

Access Rankingアクセスランキング

アプリ週間ランキング

アプリランキングをもっと見る

for Biginnersスマホ入門

スマホからスマホへ機種変更する前に読む! 各種アプリ&サービスのデータ移行・引き継ぎ方法

「Xperia A」「GALAXY S4」へ機種変更したらチェック! ケータイとの違い&スマホの使い方をマスターしよう

「Xperia A」ほか夏スマホ購入前にチェック! スマホへの機種変更&乗り換えQ&A

スマホのトラブル解決ガイド2013

スマホ定番アプリ活用術!

連載:スルッとわかる! 高速通信規格「LTE」

おサイフケータイ乗換案内!

Linkリンク