松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」

ディスプレイが変わったiPhone Xでは、撮る写真も変わってくる (1/2)

文●松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

2017年11月08日 10時00分

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11月3日に発売されたiPhone X。読者の中でも入手された方は多いのではないでしょうか

 夏時間への移行があるアメリカでは、「スプリング・フォワード」「フォール・バック」という言葉があります。春先に時計の針を1時間進め、秋になったら戻す、という季語みたいなものです。

 今年は11月5日の午前2時に、フォール・バックを向かえました。完全に眠りについていて見逃していたのですが。11月5日の午前2時になる瞬間、再び時計は11月5日午前1時をやり直して、春先に進めた1時間を取り戻す、というわけです。

 スプリング・フォワードもフォール・バックも土曜の夜に行なわれますが、1時間の時差というのはなかなか大きいのです。春先の場合、睡眠時間が1時間無くなるわけで、その週はずっと眠気が取れず、交通事故も増えるとか。

 逆にフォール・バックの朝は、普段どおり眠れたと思っても、1時間早い目覚めに。朝活を始めるには絶好のタイミングになるかもしれません。体内時計の正確さを改めて思い知る瞬間でもあります。

 サンフランシスコ周辺エリアは、フォール・バックと時を同じくして、雨のシーズンに入りつつあります。これから3月一杯までの半年ほどは、2~3日の雨が周期的に訪れるようになります。特にバークレーは背後が丘なので、海から入った冷たく湿った空気が丘にぶつかって、結構な勢いで降ります。

 気温も朝は5度まで下がり、すっかり冬の用意をしなければならなくなってしまいました。

iPhone XはiPhone史上最大の小型モデル?

 前回はiPhone Xの先行レビューとして、ホームボタンの話をお伝えしました。あれだけ長らく押し続けてきたiPhoneのホームボタンがなくなって1週間ほどで、もうホームボタンがなくても大丈夫な生活に落ち着きつつあります。

 Appleがよりシンプルに新しいジェスチャーを実装したこともありますが、毎日常に触れ続けるスマートフォンという特性から、その習熟も短期間で済ませることができるということでしょうか。

 さすがにもう、無意識でも、ホームボタンのあたりを押し込むことはなくなりました。

 iPhone XがFace IDを採用したり、新しいジェスチャーによる操作性を導入したそもそもの原因は、全画面ディスプレイを採用したかったからと見ています。そのせいでホームボタンがなくなり、生体認証やユーザーインターフェイスに生じた問題を解決する方法を考えなければならなくなった、というわけです。

 その採用されたディスプレイは、Super Retinaディスプレイと名付けられた有機ELディスプレイで、5.8インチというサイズです。iPhone 8に近いサイズで、iPhone最大のディスプレイを備えています。

5.5インチディスプレイを搭載するiPhone 8 Plusと、5.8インチディスプレイを搭載するiPhone X。端末サイズの差がわかります

 しかし前回も紹介したとおり、このモデルは“Plus”扱いではありません。iPhone 8 Plusのように、横長に構えたポートレートモードに対応するホーム画面や、リストとコンテンツのコンビネーション表示が現れないからです。

 そのため、iPhone史上最大サイズのディスプレイを備えながら、大型モデルではない、という位置づけであることがわかります。つまり、たとえば来年にiPhone X Plusのような、より大きなディスプレイを備えるiPhoneが登場してもさほど驚かないということです。

サプライズは実はそれほど大きくない

 さて、有機ELディスプレイの特性は一般的に、薄型化、曲げなどのデザイン自由度の高さ、省電力化、高いコントラスト、ビビッドな発色というものが一般的です。すでにAndroidのハイエンドスマートフォンでは当たり前になっている技術を、iPhoneは大幅に遅れて採用したのです。

真っ暗な環境で、最大輝度に設定したiPhone 8 PlusとiPhone X。壁紙の黒い部分の比較をすると、iPhone Xの方が真っ黒に見えることがわかります

 それまでの間、iPhoneは何で戦ってきたかというと、これまで通りの液晶ディスプレイです。iPhone 4で高精細化したRetinaディスプレイの画面サイズを拡大させ、iPhone 6以降は「Retina HDディスプレイ」として採用してきました。

 iPhone 6の発表会のハンズオン会場でiPhone 6やiPhone 6 Plusを見たとき、「モックばっかりだな」と思ったのが印象的でした。モックの画面部分には光沢のある紙にカラー印刷されたステッカーみたいなものが内側に貼られていることが多く、ずらりと並ぶ最新iPhoneのディスプレイが、実際に点灯しているものだとは思わなかったのです。

 Retina HDディスプレイはそれだけ、発色やコントラストが高く、またステッカーと間違うほど、ディスプレイ面とガラス面の差がなく、まさか実機だとは思わなかったのです。Retina HDディスプレイも、高色域P3サポートやTureToneディスプレイに対応し、高画質ディスプレイとして進化が続いています。

 これとiPhone Xの有機ELディスプレイを比較すると、カラー写真については優劣付けがたいという印象だったのです。できるだけ正確な色再現を目指しているため、方式が違っても、本来の色が近くなるはずで、実際その様になっていたというわけです。

 ただ、スマートフォンに搭載されたあらゆるディスプレイの中で、最高得点を獲得する実力もあるそうです。DisplayMateによると、これまでで最も秀逸な、教科書通りのディスプレイという評価を与えたそうです。(http://www.displaymate.com/iPhoneX_ShootOut_1a.htm#Conclusion

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