来年のMWCでは“AIスマートフォン”がキーワードになる!?

文●末岡洋子 編集● ASCII編集部

2017年11月22日 12時00分

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 Amazon Echoがついに日本でも発売となり、コンシューマー向けの“AI”が普及に向かいそうだ。スマートフォンに目をやると、カメラ、マイクを利用した通訳・翻訳機能の精度が上がり、利用が広がっていることを感じる。今回は海外出張で感じたことをまとめたい。

ファーウェイは機械学習に特化したNPU搭載の「Kirin 970」を採用した「HUAWEI Mate 10」を発表。“AIスマホ”であることを積極的にアピールしている

旅先でのスマホ通訳・翻訳が日常に

 海外で問題となるのが言語だ。11月に出席した米国でのカンファレンスでのこと。APJ(アジア太平洋)グループとして、オーストラリア、韓国、中国、香港、シンガポール、インド、そして我々日本というメンバーで行動を共にした。母国語はざっと6~7種類(インドから複数人が参加していたが、それぞれ母国語が違った)。当然共通言語は英語となる。オーストラリア、シンガポール、香港、インドの参加者は英語に何ら問題はないが、韓国、日本の我々は困ることがしばしば。

 たとえばレストラン。メニューを渡されて韓国の参加者が最初にやったことはポケットから最新のGalaxyを取り出し、カメラを介してメニューの翻訳を始めた。

 バンドのコンサートでは、オーストラリアの参加者と日本からの参加者はもっぱらGoogle Translateに言いたい言葉を打って見せ合うというコミュニケーションをとった。そのバンドについてオーストラリアの人の意見は「いい音楽だけど、自分のスタイルではない」というもの。彼は自分のiPhoone Xに向かって英語で話し、我々に「それは私のスタイルの音楽ではない」という日本語翻訳を見せてくれた。自然な日本語とは言い切れないものの、遊び半分だからかストレスはない。

 通訳機能のメリットはお互い英語を母語とせず、かつ英語が得意ではない場合(例えば日本と韓国)ときに、英語を仲介することなく自分の言葉で会話できる点だ。少し前なら一旦英語に直してそれを翻訳し直すというやり方をとったようなシーンでも、翻訳の精度は格段に上がっている。2年前のMobile World CongressでGoogleのCEO(当時はプロダクト担当上級副社長)のSunder Pichai氏が、旅行先でも困らない、と売り込んでいたがあの使い方が旅行者の日常になりつつある。

ネットワークなしでもさらに複雑な処理が可能に

 これらはネットワークがあれば素晴らしいが、ネットワークなしには使えない。ネットワークがないときにSiriやAlexaが答えてくれないのと同じだ(オフラインの翻訳機能もあるが)。ネットワーク経由で端末にその回答を戻してくれているからだ。

 だが、将来はネットワークがなくても翻訳・通訳などをモバイル端末上でできるようになる将来が近づきつつある。

 発売になった「iPhone X」は「Neural Engine」を搭載しており、顔で認証する「Face ID」でも使われている。Face IDは機械学習を利用して事前に作成しておいた顔モデルとカメラが取得する3Dデータを照合する。またTrueDepthカメラを利用したアニ文字もある。これまでならクラウドで処理していたような複雑なものだが、端末上で(オフラインでも)できるようになりつつある。

 “AIスマホ”というキーワードでは、Appleに先んじていたのがHuaweiだ。9月にAIチップセット「Kirin 970」を、10月に同プロセッサを搭載した「HUAWEI Mate 10」「HUAWEI Mate 10 Pro」などのスマートフォンを発表している。同社は高速な画像認識、カメラのインテリジェント化などのメリットをあげている。

 そしてGoogleが先に機械学習のライブラリ、TensorFlowのモバイル向けの開発者向けプレビューを発表した。ソフトウェア側のアプローチだが、Android Neural Networks APIのサポートにより、ハードウェアアクセラレーションを利用できる。

“AIスマートフォン”という言葉がトレンドになる!?

 iPhone XのFace IDの認識精度は高いようだし、おそらく今後はSamsungなどの競合も”AIスマートフォン”に乗り出すだろう。おそらく次のCESやMWCのキーワードになるだろう。

 これまでクラウドで行なっていた複雑な処理がスマートフォン上でできるようになると、上記のような翻訳や通訳がもっとスムーズになるだろうし(旅行中はネットワークがない状況もありうる)、機械学習を活用したこれまでにないアプリケーションが生まれそうだ。もちろん、端末がユーザーの好みや利用パターンを分析して機能やサービスを提案してきたり、特定の時間になると特定のことをするなどのことが可能になってもおかしくない。

 スマートフォンに追加する目新しい要素に飢えているベンダー各社には格好の材料となりそうだが、Elon Musk氏など慎重に進めるべきと警笛を鳴らす向きもある。パーソナルで身近なスマートフォン上でAIが利用できるということのマイナス面や副作用も気になるところだ。


筆者紹介──末岡洋子


フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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