はやくも「山火事」シーズンに突入したサンフランシスコ・ベイエリア

文●松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

2018年07月04日 10時00分

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山火事によって生じる不思議な夕日

 7月になっても、相変わらず曇りがちで肌寒いバークレーも、朝の霧が晴れれば、カラリと晴れた晴天が訪れます。しかしこの週末は夕方まで曇りっぱなしで、不思議な夕日を見ることになりました。

 これは昨年の夏にも見覚えがある、不気味な赤い夕日。ちょうどナパバレー、ソノマバレーで発生した大規模な山火事のとき、その煙が流れてきて見えたのが、こんな夕日だったのです。

6月最終日の土曜日の夕方に撮影した夕方の空。昨年の夏を思い起こさせる、異常に赤さが目立つ空。早速始まった山火事シーズンに対策が急がれます

 先々週、バークレーでも気温が30度を超えた日が1日だけありました。その昇温で発生したのが「County Fire」と呼ばれる山火事で、現在も進行中、しかも制圧率2%という状況です(https://www.kron4.com/news/bay-area/county-fire-grows-to-32-500-acres-2-percent-contained/1276710773)。

 今回の山火事のエリアは、昨年のナパ・ソノマの山火事よりも遠くで起きています。バークレーからナパまでは40分ほどですが、今回は1時間半ほどの距離です。それでも煙は南に流れてきて、煙の中で波長の長い赤い光だけが届き、真っ赤な太陽と夕日の景色を作り出していたのです。

灰が降り注ぐ朝

 影響は真っ赤な夕日だけではありません。今朝外を歩いて仕事場まで行く途中、クルマが真っ白になっていることに驚きました。たき火をした後の燃えかすのようなものがクルマに降り注いで、ボディや窓ガラスが白くなっていたのです。

月曜日の朝、屋外に停めてあった車のボンネットは真っ白になっていて驚きました。小雨にもこの灰が含まれて、落ちてきているようです

 相変わらず今朝のバークレーはどんよりとしており、時折小雨がぱらつく天気ですが、どんどん灰も降っていると考えると、ちょっと傘なしで移動することをためらわせます。クルマも屋根がない駐車場だと、すぐに汚れてしまいそうですね。

 今年の夏の季節予報によると、北カリフォルニアは7月は平年並み、8月は平年より暑いそうです。今起きているCounty Fireだけでなく、今後もまた山火事の発生に注意しなければならないかもしれません。

大気汚染状況のチェック

 昨年の山火事で、大気汚染の情報に対するニーズが高まりました。山火事の煙が風でどちらの方向に流されてくるか、で空気の質は大きく変化します。その結果がマッピングされているサービスに注目が集まりました。

 サンフランシスコ周辺地域で空気の質についての情報を扱っている機関に、Bay Area Air Quality Management District(BAAQMD)があります。普段から空気の質に関する情報を発信していますが、山火事のシーズンになると、空気の質の一時的な悪化について情報を出します。

 これによると、7月1日からサンフランシスコ周辺地域に山火事の空気が流れ込み、空気の質が悪化すると警報を出しています。7月2日も同じ風向きが続き、3日には西風が優勢となるため、山火事の煙は内陸側、州都であるサクラメントに流れ込むことが予測されます。山火事はたいてい内陸で起きるため、どんな風向きでも風下の方向の街で被害が出てしまいます(http://www.baaqmd.gov/news-and-events/page-resources/2018-news/070118-wildfire)。

 以前も参照していたマップ、「Breath Meter」では、今日のバークレーの空気の質はさほど悪くないのですが、山火事エリアはやはり大きく悪化している様子が分かります。

Breath Meterの大気汚染マップ。山火事エリアで空気の質が大幅に悪化している一方で、バークレーはさほど悪化していないようです。粒の大きな灰は降っているので、大気の質という面では反応が薄いのかもしれませんね

テクノロジーでの対応は?

 昨年に続いて今年も空気の質を気にする夏が訪れているベイエリアですが、テクノロジーによって空気の質の動向を知ったり、室内の空気を改善する手段はどうでしょうか。

 6月4日のWWDC 2018でAppleはiOS 12、watchOS 5などの新OSを発表しましたが、ここに搭載されている標準アプリ「天気」には、天気の項目の中に空気の質を表示する機能が盛りこまれることになりそうです。

 天気アプリの機能向上については特にスライドで紹介されたわけではなかったのですが、Apple Watch向けの新ソフトウェア「watchOS 5」の発表の最後に新機能のまとめスライドが表示された中に、天気アプリで空気の質を表示する新機能の文字がありました。

 どの地域でこの機能が有効なのかはわかっていないのですが、ベイエリアや中国では重宝されそうな機能ですね。

 また、昨年の山火事の際、室内の空気の環境を保つため、空気清浄機が軒並み売り切れになっていました。米国の空気清浄機(Air Purifier)の一つの性能基準として注目されているのが「HEPA」フィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)という表記です。

 これはクリーンルームの主たる空気清浄機にも用いられるフィルターで、定格風量で粒径が0.3µmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率と言われています。実際、山火事の粒子はPM2.5ではなくPM10が主となっているため、そこまで小さなものを集める必要はないようですが。

 どうも米国の家電は「appliance」と言われるよりも本気度の高いデザインが好まれるようで、キャスターがついたデスクキャビネットのようなサイズのものが、デンと家庭内に置かれている様子もよく見かけます。それに比べると、日本の家電のスマートなこと。

 しかしIoTの文脈では、インターネットを通じてデータを取ったり、アプリからコントロールできる空気清浄機も出てきています。

 IoT電球でおなじみとなったフィリップスの空気清浄機は、アプリで室内、屋外の空気の質を確認し、空気清浄機をコントロールできる仕組み。どれだけ室内の空気が良くなったのかを比較できる点は面白そうです(https://www.usa.philips.com/c-m-ho/air-purifier-and-air-humidifier/air-purifier-2000?origin=7_700000001600303_71700000024424811_58700002632746738_43700022732918404)。

 また、Coway AirMegaといういかにも強そうな名前の空気清浄機は、Amazon Alexaに対応しており、Appleのウェブサイトによると、HomeKitもサポートしているようです(Cowayのウェブサイトでは特に言及なし)。

 とはいえ、日本の方が空気の質には気遣ってきたように思います。花粉、PM2.5など、毎年季節ごとに空気の質の悪化を招く地域であることも関係していて、置いておけば自動的に最適な空気にしておいてくれることが求められます。

 シリコンバレーの対応が若干場当たり的に感じるのは、やはり問題が発生してから対処するからかもしれません。問題がある場所でテクノロジー(解決策)が育つ、一例と言えるでしょう。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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