世界的な酷暑と、AIやテクノロジーの出番

文●松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

2018年08月01日 10時00分

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 日本では豪雨、猛暑、台風と、これまでにない激しい気象が続いており、米国でも報道されています。しかし猛暑は日本だけの現象ではなく、北極圏で30度を記録したり、米国では50度にまで達したりと、世界各地での昇温が観測されています。

カリフォルニア東部のデスバレーでは、華氏120度、摂氏にすれば約49度まで現在進行形で上昇するとのことです

 米国のNational Oceanic and Atmospheric Administration(NOAA)は、2018年は観測史上4番目の世界的な高温であると発表しました(https://www.cnn.com/2018/07/28/us/2018-global-heat-record-4th-wxc/index.html)。

 一時的な現象の原因を限定することは難しいという前提はありますが、こうした気候の変化について「温暖化以外に考えにくい」という意見も出されています。

カリフォルニアの山火事は早くも激化

 昨年の秋、筆者の住むバークレーから北に40分ほどに位置するワイン処、ナパバレー、ソノマバレーでも大規模な山火事が発生し、その煙がサンフランシスコ、シリコンバレーを覆いました。

 そうした大規模な山火事が、北に4時間ほどクルマでいったところにある「神山」ともいわれるマウントシャスタ付近や、日本でも著名なヨセミテ国立公園のでも発生しており、CNNではマウントシャスタの山火事でキノコ雲が発生した様子を伝えています(https://www.cnn.com/us/live-news/california-wildfires-july-2018/index.html)。

 また、米国National Weather ServiceはTwitterで、シャスタとヨセミテの山火事の煙をとらえた衛星画像を公開しています。

 このように、インターネットやモバイルを通じて、今起きている自然現象を正確に捉えることができるようになってきました。しかし、これらを解消する術を多く持っていない点は非常にもどかしいばかりです。加えて、水害や高温に対しては、今ひとまず対処することしかできない状況であることにも、変わりありません。

気候変動に対処するテクノロジー的対処とは

 前述のように、気候変動が人間の手によるものであるとは限りません。しかし人間の影響が一切ないかと言われれば、それも否定できないわけです。そこでさまざまな論文やニュースが、気候変動への対処や環境負荷の低減について触れています。大きくまとめると次の5つの分野にまとめることができます 。

・発電
・移動
・工業生産
・食料生産
・建設

 いずれも、温室効果ガスの低減という観点、あるいは温室効果ガスを吸収する技術の開発と活用などが指摘されています。こうした方法を追究していくことで、人間が影響した気候変動を食い止める可能性にかけることができるのではないかと考えられています。

 シリコンバレーがあるカリフォルニア州は、それらの技術への取り組みが盛んな場所です。っとえば、これまでガソリン消費が少ないハイブリッド車に対して優先レーンの使用が許可されてきましたが、ハイブリッド車は除外され、電気自動車もしくはプラグインハイブリッド車のみが対象となりました。プリウスが米国で売れなくなった大きな原因とも言われています。

 またカリフォルニア州では、2020年以降、新築の住居やアパートにソーラーパネル設置を義務化する法案が可決されました。現在16%のソーラーエネルギー比率が、2030年までに半分に上昇することが見込まれます。一方、ソーラーパネルのコストが追加されることから、すでに高すぎる住宅コストがさらに上昇することも予想されます。

AIの出番は?

 シリコンバレーの技術開発の1つの柱となっている機械学習や人工知能は、気候変動への対処にどう働くのでしょうか。Colombia University Earth Instituteは、「人工知能は気候変動のゲームチェンジャーになる」との記事を発表しています(https://blogs.ei.columbia.edu/2018/06/05/artificial-intelligence-climate-environment/)。

 2016年は世界で772の気象災害が観測されており、これは1980年の3倍に上るそうです。こうした状況に対して、AIによって気象現象の予測の正確性を高めることが可能だと主張しています。熱帯低気圧や前線の活動について、研究者は89%から99%へと予測の正確性を高めることができ、政府機関などの危機管理に役立てる事ができるとしています。

 また、電力発電の効率性を高めたり、大気汚染の予測、温暖化による生物種の危機などの予測もなされており、短期長期双方の予測にAIが活躍するとしています。

 しかし、予測は予測。じゃあ人間がどう行動するかは別の問題であり、AIはおすすめこそできますが、現状意志決定をするわけではありません。結果的には、AIの情報を行動に翻訳する人の役割が重要だということになります。

 政治や行政の世界に対して、科学とテクノロジーを最大限に生かせる素質がある人を送り込めているのか。結局は、各国の有権者の問題に帰結していきそうです。

 少なくともカリフォルニアの意志決定者には、テクノロジーを生かす対処を選択する人材が選ばれています。しかし現在の米国のトップは気候変動より自国の貿易赤字解消が優先事項であり、そうした大統領を米国民が選択していることもまた、事実として受け止める必要があります。

 では、日本はどうでしょうか?


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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