香港版新幹線に乗った! 深セン電脳街まで15分

文●山根康宏 編集●ASCII編集部

2018年11月03日 10時00分

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香港から深センまで約10分の高速鉄道

 最新スマートフォンからIoT製品、そして昔ながらの電子パーツが売られている世界一の電脳街である、中国・深センの「華強北」(ファーチャンベイ)。香港から電車やバスで国境を超え1時間半程度でアクセスできます。その華強北への新たなアクセスルートとして、香港から深セン、そして広州、さらに上海や北京までつながる「高鉄」(高速鉄道)が開業しました。これに乗れば香港から深センは15分弱! 電脳街がより身近なものになります。さっそくこの高速鉄道に乗ってみました。

香港地下鉄の2つの駅からアクセスできる

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 高鉄の始発駅は香港の「西九龍」駅です。香港国際空港から香港市内を結ぶ空港鉄道、エアポートエクスプレスの「九龍」駅と連絡通路で直結しているほか、香港地下鉄の「柯士甸(オースティン)」駅ともつながっています。飛行機で香港に到着後、そのまま高速鉄道の駅まで電車で移動できるというわけです。ちなみに香港に「クーロン」という呼び名の地名はありません。九龍はカオルーンと読むので注意しましょう。

 西九龍駅では高鉄の切符の自動販売機がありますが、外国人は利用できません。実はこの高鉄は中国とつながっていることから、切符の販売ルールは中国大陸と同様になっています。座席は全指定で自由席はありません。

 また切符を買う際は身分証明書が必要で、切符には氏名とID番号(外国人ならパスポート番号)の一部が印刷されます。本人しか利用できず転売はできません。西九龍駅の切符自販機は香港人、中国人が持っているIDカードを読み込むことができますが、外国人のパスポートは読み取れないのです。

西九龍駅の切符の窓口。こちらは深セン行など近距離用

 そのため外国人は窓口に並んで切符を買う必要があります。窓口は深センや広州などの近距離列車と、それ以遠の長距離列車と、2ヵ所に分かれています。

長距離用は電光掲示板の頭の色が黄色

 深セン行は深セン中心部の「福田」(フーティエン)行きと、深セン北部のターミナル「深セン北」(シェンツェンベイ)の2つの行き先があり、広州行きなどの列車がどちらかの駅にも止まります。華強北へ行くなら迷わず福田行き、あるいは福田停車の列車を選びましょう。

 切符の購入は主要クレジットカードやモバイルペイメントが利用できます。切符は実名登録制なのでパスポートを購入時に提示します。西九龍までは2等車78香港ドル(約1200円)、1等車(ファーストクラス)125香港ドル(約1800円)。わずか10分ちょっとの乗車時間ですから、2等車で十分でしょう。

この列車は深センの先、広州南までいくが、福田に停車する

 さて窓口に並び一番早い時間の列車の切符を買おうとしても、買えるのは1時間後などだいぶ先の列車になります。これは西九龍駅でイミグレーションを2回通るために時間がかかることから、直近の列車は売ってくれないのです。

 西九龍駅では改札後に香港のイミグレーションがあり香港を出国します。続けて中国の入国があるので、そこで中国国内に入ります。つまり西九龍駅の切符売り場のフロアは当たり前ですが香港ですが、駅の待合室やホームは中国大陸になっているのです。

改札前の入札案内。基本的には出発45分前で入場を締め切る

外国人は出入国で時間がかかる

 では実際に乗車してみましょう。切符を買ったら念のため切符に印刷されている自分の名前とパスポート番号をチェックします(表記は一部が「*」で隠されています)。その切符を持って改札へ。その手前では係員による乗車間違いがないかのチェックが行なわれています。改札口では切符を通して中へはいります。続けて飛行場と同じX線による荷物チェックがあります。飛行機ではないので水分の持ち込みは可能です。ここを抜けると香港の出国管理窓口があり、香港を出国します。

切符売り場で使えるクレジットカードやモバイルペイメント

 しばらく行くと免税店などがあります。さらに進むと、香港と中国の国境線が床に書かれており、多くの人が記念撮影を行なっています。

他の陸路の国境にはない、香港と中国内地の境目の表記

 その先には中国の入国管理があるのでここで入国です。香港出国は比較的スムースなのですが、中国入国は行列が長いこともあるため、ここで時間がかかる可能性があるわけです。自分が使ったときは、10分ほど並びました。

 そして中国へ入国すると、ようやく列車に乗ることができます。しかし日本のように自由にホームには入れず、出発時間の15分前くらいに改札口が開きます。待合室があるにはあるもののベンチの数はそれほど多くはなく、売店はまだ工事中のようで何も買うことができません。西九龍駅もコンビニはなくフードコートの料理の値段も高いため、九龍駅やオースティン駅のコンビニでジュースなどを買ってから高鉄に乗るほうがよさそうです。

待合室はすでに中国国内。売店はまだ工事中で無し。上のフロア(外)は香港だ

車内は日本の新幹線と同じ

 出札が始まれば、あとは列車に乗り込むだけ。記念撮影をしたいところですが先頭車の先はホームの制限エリアの先にあるため、列車の先頭を撮影することはできません。また発車時間の1-2分前にはドアが閉まってしまうので、ぎりぎりの時間まで撮影のためホームにいることはやめたほうがいいでしょう。

ホームにも売店などは無い

 車内は日本の新幹線とほぼ同じ。車両はいくつかのタイプがあります。普通車は2列+3列シート、一等車は2列+2列シート。深センまでは15分なので、あえて1等車を選ぶ理由はありません。しかも、ほぼトンネル内を走るため、車窓を楽しむことはできないのです。

奮発して1等車に乗ったがメリットはあまりない

 深セン・福田には定刻では15分ですが、実際は13分くらいで到着します。駅に着けばもはや中国に入国済みなので、そのまま改札に切符を通せば外に出られます。福田駅は大きく深セン地下鉄2号線、3号線、11号線にそのまま乗り換えできるほか、1号線の購物公園駅までも歩くことができます。深セン電脳街は2号線の「華強北」駅または1号線「華強路」駅下車。どちらも福田から3駅です。また蛇足ながら、深セン空港へは11号線に乗れば到着できます。

福田到着後は改札を抜けるだけでそこは深セン

高鉄のメリットとデメリット

 従来の鉄道ルート=香港地下鉄の東鉄線を使ったルートと比べると、高鉄ルートは以下のメリット、デメリットがあります。

メリット

  • 電車に乗るときは中国に入国済み。福田で降りて入国手続きがない
  • 高鉄の乗車時間は10分ちょっと
  • 座れないことはない

デメリット

  • 高鉄に乗るまで1時間程度かかる
  • 運賃は東鉄線の倍。ただし東鉄線の1等車と高鉄の2等車はあまり変わらない
  • 1時間近くの乗車時間、座れないこともある

結論:高鉄ルートがオススメ

 普段さまざまなルートで香港から深セン入りしている筆者ですが、この高鉄を使うルートを一番オススメします。乗るまでが面倒なものの、乗っている時間がわずかで、到着後はそのまま外に出られるからです。西九龍駅にスタバができるなど、待ち時間を有効利用できるお店がこれから開業することに期待したいところです。

広くてきれいな福田駅。乗り換えもスムースだ

山根康宏さんのオフィシャルサイト

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