シャオミがイギリス進出、欧州4ヵ国目でシェア2位のファーウェイをうかがう

文●末岡洋子 編集● ASCII編集部

2018年11月15日 12時00分

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 中国Xiaomi(シャオミ)が欧州展開に拍車をかけている。11月8日(現地時間)、同社は「Xiaomi Mi 8 Pro」のグローバルローンチと同時に、英国市場進出を発表した。

 首都ロンドンには、欧州初となる直営店も今月中にオープンさせ、スマートフォンだけでなく電動キックスケーターなども並べるとのこと。欧州の顧客にXiaomiの”Miワールド”を見せる場所になりそうだ。欧州の消費者はXiaomiを受け入れるのだろうか?

今回発表されたハイエンド機の「Mi 8 Pro」。Snapdragon 845に8GBメモリーなどを搭載。背景が透けて見えるトランスルーセントデザインも特徴的

欧州4ヵ国目は英国
シャオミにとっての2018年は再浮上の年となった

 Xiaomiの創業は2010年。高スペックながら低価格なAndroidスマートフォンをオンラインのみで販売するというビジネスモデルが当時は新しく、中国で若者を中心にヒット。

 2014~15年にかけてはは創業者兼CEOのLei Jun(雷軍)氏のスピーチスタイルがAppleのSteve Jobs氏と似ているとのことから、”中国のSteve Jobs”と言われたり、Xiaomiを”中国のApple”と形容するメディアもあった。ところが2016年に失速が明確に。一時期はトップ5に食い込んでいたのに圏外になった。

 だが2017年終わりから盛り返し、2018年7月には香港証券取引所でIPOを果たした。評価額は540億ドルと予想を下回り、調達額は47億ドル。それでも、同取引所にしてみれば、2016年の中国郵政貯蓄銀行に次ぐ規模となった。

 Xiaomiの海外展開は、一度収縮した過去がある。急成長していた2013年には、Android成長に貢献したと言われるHugo Barra氏をGoogleから引き抜き。インドと東南アジア、さらには南米と新興国市場に拡大計画を据えたものの、結局はインドなど一部の市場のみにフォーカスすることにした(インドでは小売店戦略が奏功し、シェアトップとなっている)。Barra氏は2017年始めにXiaomiを去り、現在はFacebookに勤務している。

発表会で示された国内シェアトップ5に入っている国の一覧。アジアや東欧が中心

 今回の欧州展開はIPOの目論見書で明らかにしていたことの1つ。欧州市場では2017年末にスペイン市場に参入したが、今年5月にはフランスとイタリア市場に参入、そして今回4ヵ国目の英国となった。

初の直営店である「Mi Store」も開店

 英国でのローンチで投入するMi 8 Proは、6.2型ディスプレーを搭載したハイエンド機だ。指紋センサーを画面内に配置したり、内部の電子部品が透けて見えるなどの特徴を持ち、中国では9月に発表された。

 このほかXiaomiは、廉価版「Redmi 6A」や「Redmi Note 6 Pro」などのスマートフォン、フィットネスバンド「Mi Band 3」、電子キックスケーター「Mi Electric Scooter」なども販売する。価格はMi 8 Proが499ポンド(約7万3000円)、Redmi 6Aが99ポンド(約1万5000円)、Mi Band 3が26.99ポンド(約4000円)、Mi Electric Scooterが399ポンド(約5万8000円)と発表されている。

 ローンチにあたり、オンラインストアでは、20ポンド割引となるバウチャーや、「Mi A2」「Mi 8 Lite」を1ポンドで購入できるオンラインのフラッシュセールも実施した。

 チャネルとしては、このオンラインストアに加え、オンラインではAmazon、小売業ではArgos、John Lewis、Carphone Warehouseなどで販売される。英国ではまた、キャリアのThree(”3”)と提供し、独占的なキャンペーンも展開するという。

 さらには、欧州では初となる直営店Mi Storeも、ロンドン郊外にあるWestfield(Apple Storeがあり、Samsungもポップアップを構えることがある巨大なショッピングモール)にオープンする。ここは、スマートフォンに限定されないXiaomiの世界を見せる重要な場所になりそうだ。

 イギリスは市場規模が大きい上、競合となるHuawei(ファーウェイ)など各メーカーがフラッグシップ機の発表の場に選ぶこともある重要な市場だ。今回明らかになったチャネル戦略やラインナップからは、力の入れようがうかがえる。

 Xiaomiのメッセージは、「ユーザー中心」「透明性と誠実さ」。”スマート技術は高い金額を払わずとも得られる”として、先に発表した「ハードウェアの利益率は5%」というポリシーを強調している。全体として、Apple、Samsung、そしてHuaweiとも異なる新しさを打ち出しているように見える。

欧州での知名度はまだファーウェイやWikoが上か
最終的に狙うは米国市場か!?

 参入から1年が経過しようという10月後半にスペイン・バルセロナにあるVodafone Spainのショップに行った。Xiaomiの「Mi MIX 2」はHuaweiの「HUAWEI Mate 20」「HUAWEI P20 lite」、Samsung「Galaxy A8」、LG「G7」などと”Top 10”として並んでいた。しかし店員によると、Xiaomiの知名度はまだまだ。安価モデルではWikoの方が知られているとのことだった。

スペインのVodafoneのショップで見たシャオミの端末

 Xiaomiは2018年に入り、出荷台数がすでに1億台の大台に達したことを発表している。IDCの第3四半期のデータでは、前年同期比21.2%増でシェアは3位(出荷台ベース)。数字としては好調だが、ほとんどが中国市場だ。実際に2017年の売上高のうち、中国は72%を占めている。もちろん欧州市場拡大がうまくいけば、さらなる成長が見込める。

 気になるのはその先だ。欧州展開を拡大しつつ、CEOが数年前に明らかにしていた米国市場拡大を実現するのか……。米国は巨大市場であり、市場シェアでナンバー2であり、最大のライバルと言えるHuaweiの知名度がない市場だ。ここで成功すれば、市場の動きが大きく変わりそうだ。それに向けた足がかりとなるかに注目される。


筆者紹介──末岡洋子


フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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