AQUOS zero 開発者が語る自社製OLED搭載スマホの強み

文●島徹 編集●南田ゴウ/ASCII編集部

2018年11月28日 12時00分

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開発者が語る軽量&高性能の「AQUOS zero」
ゼロから設計を見直した自社製OLED搭載モデル

 ソフトバンクが12月上旬以降に発売予定の「AQUOS zero」は、シャープの新たなハイエンドモデルだ。最大の特徴は、大画面6.2型のOLED(有機EL)ディスプレー(1440×2992ピクセル)搭載にもかかわらず、146gという圧倒的な軽さを実現した点だ。ハイエンドSoCのSnapdragon 845や容量3130mAhのバッテリーなどを搭載したハイエンド製品では世界最軽量のモデルとなる。

画像左から通信事業本部パーソナル通信事業部商品企画部主任の篠宮大樹氏、パーソナル通信事業部長の小林繁氏、システム開発部長の前田健次氏

 また、AQUOS zeroはシャープの自社製造による初のOLED(有機EL)採用モデルとしても注目すべきモデルだ。

6.2型大画面ハイエンドながら146gという軽さを実現
自社製造のOLED(有機EL)ディスプレーをシャープとして初搭載

 自社製OLEDパネル採用かつ、ハイエンドで軽量なAQUOS zeroを開発した理由について開発者にインタビューを行なった。

素材から徹底的に見直した
わずか146gの超軽量ボディー

 AQUOS zeroの開発については「OLEDの画質はもちろん重要だが、OLED採用によるスマホのデザインや本体構造のありかた、使い勝手までゼロから見直して開発に挑戦した」という。このため、開発コンセプトも現行の「AQUOS R2」シリーズとは異なる「自分が楽しむためのコアガジェット」となっている。大画面で動画やゲームをより快適に楽しみたいというユーザーもターゲットにしたモデルだ。

薄型軽量だが、SoCにSnapdragon 845を搭載、メインメモリー6GBとトップクラスのスペックを実現
ゲームなども快適に楽しめる究極のコアガジェットを目指して開発された
OLED採用により、画質に加えてスマホ全体の構造設計を見直した

 ゼロからの見直しで生まれたのが「大型のスマホを使い込むユーザーほど、重たく使いにくいスマホを使っている。それを解決したかった」という思いから生まれた、最軽量・薄型のボディーだ。実際、現在主流の画面が6型前後のスマホは200g前後とやや重たい端末が多いが、AQUOS zeroの146gは手にとってモックアップかと思うほどの軽さとなっている。

 構成する部材は液晶パネルよりも薄く軽いOLEDパネルのほか、フレームには一般的なアルミニウムよりも軽く強度の優れたマグネシウム合金、背面には強度や耐熱性に優れたアラミド樹脂繊維のパネルを採用している。軽く強度のある素材を採用することで、大型スマホに必要なねじれ耐性などへの強度を確保しながら大幅な軽量化を実現している。

OLED、マグネシウム合金のフレーム、アラミド繊維のバックパネルと、これまでのAQUOSシリーズとは異なる素材で軽量化を実現した
素材の変更で各パーツとも29~41%の重量を削減できている

放熱にも手抜かりなし
手に持って熱くならない設計

 放熱設計も、近年のAQUOSシリーズと同様に力を入れている。SoCなどの発熱を金属板と放熱シートでマグネシウムフレームに伝えて本体全体で効率よく放熱できる設計だ。これにより、ゲームなど高負荷なアプリを長時間動かす場合でも、処理性能を落とさずに動かし続けやすくなる。

従来モデルの「AQUOS R」も放熱には力を入れていたが、熱が本体上部にやや偏っていた。AQUOS zeroはより本体全体に熱が分散するように設計したことで、効率的な放熱を可能とした

 さらにAQUOS zeroでは、ユーザーが手で持つところには熱が伝わりにくいように設計することで、アプリ操作時の不快感を減らしている。縦持ちの場合は、背面を熱伝導率の低いアラミド繊維のパネルが覆っているので手に熱を感じにくい。横持ちだと側面のマグネシウムフレームを指で掴むことになるが、その場合もフレーム側面が凹んだ形状になっており、指で掴みやすいが熱は伝わりづらいという理想的な設計になっている。

ユーザーに放熱している部品の熱さを感じさせないよう、背面にアラミド繊維のパネルを採用。側面のマグネシウムフレームも手に密着しないよう形状を工夫している

 また、スマホを充電しながら動画を視聴するユーザー向けに、スマホ内部に2つの電源管理ICを搭載して充電中の発熱を抑える「パラレル充電」にも対応。扱う電流を分けることで発熱を抑えつつ、熱源を分散することで放熱の効率も向上させている。

充電時の電力をコントロールする電源管理ICを二つに分散。発生する熱の総量を減らしつつ、発熱元を分散している

自社製の強みを生かした
“全部入り”のOLEDパネル

 AQUOS zeroに搭載されている自社製OLEDパネルは、前述のとおり6.2型(1440×2992ピクセル)のものだ。明るさに優れるトップエミッション方式で、パネル上部にノッチの切り欠きがあり、パネル全体が曲がっている3D形状を採用。他社のOLEDパネルの特徴をしっかり盛り込んだ「最初からOLEDパネル開発の先頭集団に切り込んだ」と言えるだけの仕様となっている。

 中でも、パネル全体が曲がっている3D形状での製造は、他社スマホに見られる画面端だけを曲げるよりも難しく、パネルデバイスの担当に「正気ですか?」と言われながらも実現できたという。

自社製初のスマホ向けOLEDパネルながらも大画面と高解像度だ。さらに、上部にノッチを作るフリーフォーム成型や、全体を曲げるフレキシブルな形状も実現した。また、液晶と比べてバックライトなどの部品が必要ないぶん大幅に軽くなっている

 絵作りについては、これまでAQUOSのテレビやスマホで培ってきた液晶向け高画質エンジンの技術をもとに「リッチカラーモバイル feat. OLED」を搭載した。OLEDの100万対1の高コントラストや広色域(DCI-P3 100%)といった特徴を生かしつつ、液晶よりも繊細な制御を必要とするピーキーな特性をうまく調整したという。

OLEDは100万対1の高コントラストや広色域(DCI-P3 100%)表現が特徴だ。だが、表現できる範囲が広いぶん、色や明るさの繊細なコントロールが必要となる
OLEDは液晶は発光の特性やサブピクセル構成が大きく異なる。自然な見え方を実現するには制御に工夫が必要だ

 OLEDの特徴のひとつ黒が締まるという特性は、電力を加えない画素がまったく発光しないという特性を指す。だが、そのぶん「完全な黒の部分だけがストンと落ちるので、暗所の階調表現をしっかり管理しないと不自然になる」という。また、明るい部分の描写でOLEDの広色域の特性を生かすには明るい部分の階調管理も重要だ。そこで、暗所と明所の階調表現に重みをもたせたほか、色についても明度・彩度・色相を3次元で管理し出力しているという。

右のように、赤い花の画像を制御なしにOLEDで表示すると明るい部分の赤が潰れて、暗い部分は浮いてしまう。階調や色を制御して表示したのが左だ

色の正確さはプロモニター並み
各所にこだわった究極のコアガジェット

 絵作りの部分では、一般的な写真や動画など(SDR)は、従来の発色制御にほどよくOLEDらしい鮮やかさを加えた「AQUOSファンも納得できる画質」に仕上げたという。OLEDでは蛍光っぽい軽い色になりがちなので、そこは注意したとのことだ。HDRムービーに関しては、映像の制作側が輝度や広色域に対応して映像を制作しメタ情報も埋め込んでいるので、それをとにかく忠実に再現できるようセッティングしたという。「色の正確さについてはプロモニター並みと言われるレベル」を実現したとのことだ。

こちらも左が制御あり、右が制御なしの画像だ。パッと見ると右がOLEDらしい鮮やかに色に見えるが、実際の写真データとはかけ離れた蛍光色のような色となっている。左の「リッチカラーモバイル feat. OLED」を提供した表示では、本来の写真の色を軸にややOLEDらしい鮮やかさを加えたものとなっている
一般的な画面や写真(SDR)は、従来の絵作りをOLEDの広色域を活かしたものに拡張した。一方、HDRコンテンツについては映像側がもっている輝度や色情報を忠実に再現する絵作りだ

 画質以外の面でも、曲面ディスプレーだが正確にタッチ操作を反映できる感度を実現。独自に開発したタッチを連打する機械でテストしても、他社スマホと比べてタッチ操作に対する反応の抜けがなく快適に操作できるという。音質に関してはステレオスピーカー搭載に加えて、Dolby ATMOSにも対応。非対応コンテンツでもサラウンド感が効いた立体的な音を楽しめる。

曲面ディスプレーだと、タッチ操作の認識ミスが気になるところ。チェックのために専用の機械も用意した
本体にステレオスピーカーを搭載。Dolby ATMOS対応の映像はもちろん、非対応のコンテンツもサラウンドを楽しめる
OLEDパネルの高品質な表示、薄型軽量ボディー、高い処理性能、効率的な放熱設計と手に熱を感じさせない構造、タッチ抜け防止パネルなど、各所にこだわることで究極のコアガジェットを実現した

 「OLEDの画質はもちろん、スマホとしての実用性や使い勝手も注目してもらえれば」と開発者が語るAQUOS zero。その高性能かつ圧倒的な軽さは、実際に手に取とれば確実に物欲を刺激される魅力をもっている。発売はソフトバンクから12月上旬以降となるが、最近のスマホがどれも重たいと感じているユーザーは要注目だ。


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