ドコモiPhone XR値下げ 本当に安い?

文●山口健太

2018年11月28日 16時00分

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 11月26日、NTTドコモが「iPhone XR」を端末購入サポートの対象に加えたことが「大幅値下げ」と報じられ、話題になっています。一方、端末購入サポートには月々サポートがつかないことから「実質的には変わらないのではないか」という声も上がっています。いったいiPhone XRは本当に安くなったのでしょうか。

●発売1ヵ月で端末購入サポート対象に

 iPhone XR発売当初、ドコモが設定していた販売価格は64GB版で9万8496円です(税込、以下同)。これに月額2457円の「月々サポート」がつき、24ヵ月利用時の割引総額は5万8968円、実質負担額は3万9528円でした。

ドコモ発表当初のiPhone XR販売価格(ドコモオンラインショップ)

 ところが11月26日には新規とMNP契約時に「端末購入サポート」対象となり、機種代金から5万8968円、同時に始まった「iPhoneデビュー割」で8424円を割り引くことで、一括3万1104円で購入できるようになりました。

11月26日から端末購入サポート対象に(同上 64GB版MNP一括購入時の販売価格)

 さらにドコモオンラインショップでは5184円の限定特典を提供しており、他の販売店でも独自の値引きが期待できることから、全国的に一括2万円台で手に入る可能性が高いといえます。10月26日の発売から1ヵ月しか経っていないことを考えれば、これだけを見れば、たしかに大幅な値引きといえます。

●端末購入サポートで購入時の負担が減る

 一方、月々サポートの総額と端末購入サポートの値引き額がどちらも5万8968円であることから、「値段をつけ替えただけではないか」という印象を受けることもたしかです。

 ただし、この2つの割引は中身が大きく異なることを考慮する必要があります。月々サポートによる実質負担額は24ヵ月利用後のもの。一方、端末購入サポートは12ヵ月間の利用を条件に、購入時に端末代金を割り引くものです。

 これが安いか高いかは、スマホの使い方によって変わります。月々サポートは端末購入時の負担が大きく、特に128GB以上のiPhone XRは10万円を超えるため、割賦審査が通りにくくなってしまう問題がありました。

 しかし端末購入サポートなら、最新のiPhone XRが一括2万円台で手に入ります。月々サポートがつかないとはいえ、12ヵ月の利用を終えた時点の実質負担額は月々サポートで購入した場合の半額程度になるでしょう。

使い方次第ではiPhone XRが安く手に入るのはメリットだ

●使い方によっては分離プランよりお得か

 また、最近は端末と回線を分けた「分離プラン」が注目を浴びています。端末の割引がないとすると、消費者は定価で買うことになります。iPhone XR(64GB)の場合、アップルストアでの価格は9万1584円(税込)です。

 次に回線は、月額1500円がずっと割り引かれる「docomo with」があります。現在のdocomo withは対象端末の購入時のみ契約できるものですが、ドコモは2019年に分離プランを軸として2〜4割の値下げを検討しています。もしこれが実現すれば、「端末に関わらずdocomo withを選べる」ようなプランになるものと期待しています。

ドコモは「2〜4割値下げ」は分離プランを軸に検討している

 このように分離プランでは端末購入と回線契約を分けて考えられるので、使い方によっては安くなります。回線が月額1500円安くなると仮定した場合、40ヵ月以上使い続けるなら分離プランのほうが安くなります。逆にそれより短い間隔で端末を買い換える場合は、月々サポートや端末購入サポートのほうが向いています。

 SIMフリーとMVNOの組み合わせでも、12ヵ月経過時点で端末購入サポートを下回るのは困難です。何年も使い続ける場合はMVNOのほうが確実に安くなるものの、「MVNOのサービスレベルに満足できるなら」という話になります。

●人によって違う「シンプルの中身」

 携帯料金の値下げ議論が進む中、総務省は11月26日に「モバイルサービス等の適正化に向けた緊急提言(案)」を公表し、端末と回線の完全分離という方向性を打ち出しました。はたしてこれは万人にとってベストなものになるのでしょうか。

 スマホの料金にシンプル・明朗を求める気持ちは分かります。しかし、考えたいのは個々のユーザーが想像する「シンプルの中身」が違っている点です。

 音声は定額がいい人がいれば、まったく使わない人もいます。サポートを使わないので有料オプションでいいと考える人もいます。長く使う代わりに割り引いてほしい人もいれば、いつでも違約金なしに解約したい人もいます。

 日常生活にスマホが必須になる中、ユーザーの要求は多様化しています。多様性に応えるには、ある程度の複雑さは許容してでも選択肢は必要です。このことを念頭に置かなければ、完全にシンプルで明朗であるにも関わらず、誰もが「これじゃない」と思うプランができあがるのではないでしょうか。

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