大幅割引されたドコモのiPhone XRのために格安SIMからの乗り換えは有り?

文●正田拓也 編集● ASCII編集部

2018年12月06日 12時00分

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 通信と端末の分離が話題になっているが、それに相反するように高価格スマートフォンの大幅割引販売が話題になっている。

 特にドコモが11月末から12月1日にかけて、iPhone XRを含むハイエンド機種を新規/MNPで契約した場合、1~4万円程度での販売を開始した。こんな価格だと、格安SIMからドコモに乗り換えてしまおうかと考えたくなるが、果たして実際にオトクなのか詳しく分析した。

この12月からドコモのハイエンド端末が大幅割引された。格安SIMからの乗り換えでもオトク!?

端末は最初に値下げされる代わりに
月々の割引が無くなってしまう

 「端末値下げ」のからくりを説明すると、対象機種では「端末購入サポート」という制度が適用される。たとえば、発売後約1カ月しかたっていないiPhone XR 64GBモデルは、従来9万8496円だったものが2万5920円(ドコモオンラインショップ)まで一気に下がる。

ドコモオンラインショップでの例。色々な割引が組み合わされて最新のiPhone XRが2万円台に

 同様に12月1日から端末購入サポート対象となった、今夏のハイエンドモデルであるファーウェイ「HUAWEI P20 Pro」は10万3680円だったものが1万5552円、「Galaxy S9」も9万9792円が1万5552円と大きく下げられている。

 販売価格は販売店が独自に決められることになっているが、端末購入サポートによる割引額は同じなので、販売価格の低下は基本的には大きく変わらない。

 では、値下げを手放しに喜んでいいかというと、そうでもない。端末購入サポートが適用された機種を購入すると、以下の不利な条件も付いてくる。

●毎月の料金が割引される「月々サポート」が無くなる
●1年以内の短期解約では回線違約金に加えて割引額返還(解除料)という高額のお金がかかる
●SIMロック解除は100日後

 1番目の「月々サポート」は、ドコモのスマートフォンを購入すると、月々の料金から最大24ヵ月間割引が適用されるというものだが、それがそれがなくなってしまう。

 たとえば、iPhone XR 64GBは購入サポート対象になる前は新規契約の場合、加入翌月から毎月2457円の割引が24ヵ月に渡って発生し、総額で5万8968円引き。その結果、実質3万9528円になるという表現になる。この毎月発生する割引が、最初にまとめて値引きに回されると考えるといい。

 それでも端末購入サポートで買ったほうが支払額は少なくなっているわけだが、同時にデメリットもある。

夏の話題のスマホ、HUAWEI P20 Proも対象だが、以前から一部でかなり安価に提供されていたため、端末購入サポート対象になって月々サポートがなくなり、オトク度が減少した印象がある

端末購入サポートで買うと短期解約はできず
SIMロック解除もすぐにはできない

 端末が安く買え、毎月の料金が高いならば、すぐに解約して格安SIMに乗り換えてしまえばいいと思うかもしれない。ところがそれは無理だ。割引額返還(解除料)があるためだ。iPhone XR 64GBなら解除料は2万9484円だが、もっと高額な機種もある。この解除料は回線を維持するだけでなく、指定プラン/オプションの継続も条件となっており、料金プランを変えて、安く維持することも難しくなっている。

 解除料を払わないためには開通から約14ヵ月間維持する必要がある。さらに回線は2年契約が一般的なので、2年経たなければ端末分とは別に約1万円の違約金が必要だ。

 そして、端末購入サポートの場合、一括払いで買ってもSIMロック解除までに時間がかかる。ドコモのスマホをドコモネットワークの格安SIMで使う場合は問題がないが、auやソフトバンクのネットワークのSIMで使いたい場合は、購入から100日経たないとSIMロック解除ができない。

ドコモMVNOのSIMなら、ドコモ版iPhoneなどは問題なく利用できるが、他社ネットワークを利用するSIMをを挿入するとこうなる

 つまり、安く購入できたとしても端末を他で活用するのは面倒だということになる。格安SIMで安い料金で維持できている状態を捨てて一定期間、ドコモ契約で維持する必要がある。端末目当てに格安SIMから乗り換えたとしても、総コストを下げることは難しい。

 もし、安売り対象のスマートフォンが欲しいだけなら別の方法もある。こういう形で安売りされた機種は必ずと言ってよいほど中古市場に割安な未使用中古品が出回るので、信頼のおける中古店での購入を検討するのも1つの手だろう。

auも解除料ありの本体割引制度がある

 端末購入サポートはドコモだけでなく、auも「au購入サポート」としてほぼ同様の割引が行われている。条件も同様なので、auも安いからといって飛びついてしまうと高額の維持費や解除料がかかるということだけは注意したほうがよさそうだ。ただし、auのほうが最初の1年間の料金が安くなるなどのキャンペーンが継続的に行なわれているので、1年間だけ契約するならauのほうが維持費は安くなる可能性がある。

 また、ソフトバンクにも似たような割引の「一括購入割引」というものがあったが現在は受付終了している。ソフトバンクでは現在、48回の分割払いをすると値引きするなど、端末価格を安く提供する方法が変化している。

格安SIM→ドコモ→格安SIMの場合は余計に高くなる
あとはドコモ契約での回線やサービスの品質をどう評価するか

 では、一例として格安SIM(音声SIM+月3GBプラン)を契約していて、月1730円程度で済んでいる人が、14ヵ月間だけドコモに移動して戻ってきた場合のコストを比べてみたい。

 格安SIMはすでに解約で違約金がかかる期間を過ぎていると仮定し、iPhone XR 64GBを購入したケースで計算した。なお、話をシンプルにするため消費税は8%、音声通話はしない前提で計算した。

 最初に格安SIMからドコモに乗り換える場合、ほとんどの格安SIM側ではMNP転出料として3240円がかかる。そして、ドコモでiPhone XR 64GBを購入して2万5920円、新規事務手数料の3240円が初期費用として必要となる。

 月額料金は、基本プランが無料通話のない「シンプルプラン(スマホ)」で980円、パケット料金はベーシックパックを選択し、月1GBオーバーで3GB未満なら4000円。さらにISP料金としてspモードが300円。ユニバーサルサービス料の2円と消費税を入れて月額合計が5705円となる。

 さらに14ヵ月目でドコモ契約を解約するための違約金が1万260円。MNP転出手数料が2160円。再び格安SIMに加入するための新規事務手数料とSIM発行料として約3650円かかる。

 合計すると14ヵ月分で12万8340円。格安SIMを継続すると1730円×14カ月分で2万4220円なので、差額の10万4120円はiPhone XR 64GBをApple Storeで購入する9万1584円よりも上だ。

 もちろんその14ヵ月間は、ドコモ回線の高い品質とサービスを利用でき、販売店によっては端末価格をさらに値引きしている可能性もあるので、ドコモ契約にもメリットはある。ただし、将来格安SIMに戻るつもりなら、2回乗り換えの手間も含めてもドコモに飛びつくことは慎重になるべきだろう。

“ガラケー”からの乗り換えであれば割引が用意されている

 そのほかにドコモ契約が安くなる条件もある。“ガラケー”などとも呼ばれる従来型携帯電話、フィーチャーフォンを使っている人に対しての割引だ。ドコモは11月1日から「ウェルカムスマホ割」として最大13ヵ月間、月額1500円割引しており、合計で最大1万9500円安くなる。

 ドコモ契約の人が機種変更時に適用する場合は、FOMA携帯電話からであることが必要だが、他社から乗り換えるMNPの場合は、受付時にフィーチャーフォンを使っていることを確認するだけなので、格安SIMを最新のガラホに挿入して使っている人も対象になった例が報告されている。フィーチャーフォン利用者なら、MNP契約時には忘れずに携帯電話を持参して「ウェルカムスマホ割」の適用を申告しておきたい。

 なお、auは同様に翌月から月額料金を1年間1000円割引く「スマホ応援割」と、対象機種の購入時に割引く「初スマホ割」を実施、ソフトバンクも月額料金を1年間1980円割引く「ガラケー→スマホ割」を実施している。

 通常であれば、端末目当てにドコモなどに一時的に乗り換える方法はあまり得策でないかもしれないが、フィーチャーフォンを使っているという条件をクリアするなら、安い維持費で契約でき、スマートフォンも入手できる可能性がある。ドコモに限らずau、ソフトバンクでも今後オトクな条件が出てくるかもしれない。

手続きが面倒でないなら
綿密な計算の上で乗り換えも

 ドコモが販売するiPhone XRなどの売値が大幅に安くなったものの総費用を計算するとあまりお得になってないこともわかった。しかし、販売店独自の割引やお得になる条件を重ね合わせることで、格安SIMから一時的に乗り換えても大きく費用を抑えることができるかもしれない。

 フィーチャーフォンからの乗り換えだけでなく、光ファイバーなど固定回線の組み合わせや家族割、学割などの適用でもドコモ、au、ソフトバンクの利用料を大幅に安くする方法がある。

 3大キャリアの端末価格が安いことに飛びつく前に、毎月の料金、乗り換えのための手数料や違約金なども含めたコストが、自分にあった条件か、月々の支払いが思わぬ高額になりやしないかなどもよく確認してから検討し、良い条件を見つけてほしい。

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