Apple Watch心電図機能を試す 使い方と注意点は

文●松村太郎 @taromatsumura

2018年12月18日 09時00分

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 アップルは現地時間12月6日、watchOS 5.1.2を配信。すでに9月から発売されていたApple Watch Series 4での心電図機能(ECG・EKG)を米国内で有効化しました。

 心電図機能は、世界中でApple Watch Series 4に共通で搭載されている心電図計測のためのセンサーと組み合わせて利用するアプリについて、米国の食品や医療機器の認証をするFDAの承認を得ていたことから、ソフトウェア的に有効化されました。日本で発売されているApple Watch Series 4にも同様のセンサーは組み込まれていますが、アプリが有効化されず、日本では利用できません。

 厚生労働省に勤める友人に聞くと、一般論として、医療機器としての承認を得るまでに3〜5年のプロセスを経る必要があるそうです。アップルが日本でどれだけ早くApple Watchの認証プロセスを開始したかは明らかになっていませんが、日本で心電図が利用できるようになるまでには相当時間がかかりそうです。

 米国での認証を受け、さっそく自分の心電図を計測してみました。施された様々な工夫について、お伝えしていきましょう。

●そもそも、心電図(ECG)とは

 心電図とは、心臓の筋肉の動きを電気的な信号としてとらえ、心疾患の診療に活用する一般的な方法です。日本の内科でも心電図を取れる場所があります。

 身近でも経験があったのですが、動悸は長時間続かないことが多く、急いで救急に駆け込んだとしても、計測するときにはおさまってしまうことが少なくありません。その場合、24〜48時間心電図を継続して記録するホルタモニタを装着して計測することになります。

 米国で医療を受ける経験からすると、ホルタモニタでの検査にたどり着くまでに1ヵ月はかかってしまいます。かかりつけ医に診察してもらい、心臓の専門医を紹介してもらうところからスタートし、翌週に専門医の診察を経て検査技師の予約を取り、その翌週にようやくホルタモニタを装着、さらに翌週、その結果を受けた医師の診察……という流れです。

 Apple Watchは、特別な機器を用意せず、つねに手首に装着しているスマートウォッチで、身近に心電図を計測できるデバイスになりました。心筋梗塞など時間が左右する可能性もある心疾患の兆候を日常的に察知してデータを取れるようになることが、米国において非常に大きなインパクトを与えたのです。

 米国では年間79万人もの人が心疾患で亡くなっており、最も多い死因となっています。また心臓発作は死因の5%にのぼります。世界でも心臓疾患は31%の死因となっており、2030年までに医療コストは世界で1兆440億ドルに達すると予測されています。

 先述の通り心電図機能が利用できるのは現在米国のみですが、Appleが健康分野に参入していくにあたり、はじめに取り組むテーマとして非常に価値が大きいことがわかります。

●使い方は非常に簡単 30秒待つだけ

 では、さっそく計測してみましょう。watchOS 5.1.2にアップデートしたApple Watchのすべてのアプリの画面には、新しい「心電図」のアイコンが追加されています。

 初めて立ち上げる際は説明を読む必要がありますが、基本的には、アプリを立ち上げ、安静にできる場所に座り、Apple Watchを装着していないほうの手の指で、Digital Crownに触れて30秒待つだけです。使い方は非常に簡単でした。

 ただ、注意すべき点もあります。一般的に心電図は筋肉の動きを読み取りますので、運動中などの動作をしていると、心臓以外の動きも読み取ってしまいます。

 またDigital Crownに触れている指を動かしてしまうと計測がうまくいかなくなったり、大きくノイズが乗ってしまうことになります。安静かつ安定した場所で30秒待てる環境で、正確な計測が可能になる、と考えて良いでしょう。

●簡単な診断ができる 医師にメールも

 Apple Watchでは計測したデータを確認できませんが、簡単な診断結果は表示してくれます。

 心拍が一定のパターンになっている「洞調律」。心拍に不規則なパターンが現れる「心房細動」は、不整脈の最も一般的な形態です。低心拍と高心拍も検出しますが、心電図アプリでは50拍以下、120拍以上を診断できず、その他のノイズなどが検出されたパターンとともに「判定不能」と表示されます。

 心電図のパターン認識以外の結果はApple Watchからは確認できず、ペアリングしているiPhoneの「ヘルスケア」アプリの心電図セクションに記録され、確認できるようになります。PDFとして保存もできるので、米国では一般的な医療機関が提供する、医師とのコミュニケーションや電子カルテ機能を備えるアプリを通じ、医師にメールすることができます。

 PDFには、Apple Watchで計測された心電図に関する「仕様」が表記されています。そのまま書き出すと、以下の通りです。

 “25mm/s、10mm/mV、リードI、513Hz、iOS 12.1.1、watchOS 5.1.2、Watch4,4 - この背景は第I誘導心電図(Lead I ECG)と同様です。”

 Apple Watch Series 4は「簡易的な心電図モニタ」などと呼ばれる機器に分類されることがわかります。

●心臓について教育しはじめたアップル

 心臓の周りに多数の電極を貼りつける本格的な心電図とはことなり、体の動きや指先の触れ具合などから大きな影響を受ける点からも、Apple Watch Series 4の心電計機能は簡易的な機器としての活用が前提となっています。

 しかしそれでも、日常的な心電図の計測はもちろん、不整脈を察知するには十分といえるでしょう。すべてのApple Watchユーザーが心電図のグラフを読めるようにするというよりは、違和感を感じた際にすぐに記録し、医師に相談したり診察時のデータとして活用できるようにすることが重要となります。

 ヘルスケアアプリには非常にていねいな解説も用意されていました。アップルができるだけ多くの人に、心臓に関する知識を持ってほしいと願っていることのあらわれではないでしょうか。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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