2019年のサムスン・Galaxyには「Gシリーズ」が必要だ! 期待されるゲーミングスマホ

文●山根康宏 編集●ASCII編集部

2018年12月18日 10時00分

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ファーウェイの躍進の影でサムスン失速の原因は
ハイエンドでのインパクトの弱さ

 2018年のスマートフォン市場はファーウェイの躍進が目立った1年でした。ファーウェイのスマートフォン販売台数を見てみると、今年第2四半期にはついにアップルを抜いて2位に上昇。「新型iPhoneの買い控え」でアップルが伸び悩むという話も聞かれましたが、アップルの売り上げは毎年第4四半期だけが突出するといういびつな動きをしています。第3四半期もファーウェイはそのまま2位を守り続け、果たして第4四半期の結果がどうなるのかが気になるところです。

Galaxyに必要なのは「Odyssey」ゲーミングスマホだ

 さすがにアップルも第4四半期は2位を奪回するでしょう。その一方で、シェアトップのサムスンの勢いもやや陰りを見せています。2018年の四半期ごとの販売台数を調査会社ガートナーの数字で見ると、第1四半期が7億8565台(20.5%)、第2四半期が7億2336台(19.3%)、そして第3四半期が7億3360万台(18.9%)とシェアを下落させています。

スマートフォン「Galaxy」シリーズもじわじわと勢いを落としている

 要因はいくつかあるでしょうが、ボリュームを出すべきミッドレンジ・エントリー機をシャオミなど中国メーカーに取られただけではなく、ハイエンドモデルのインパクトの弱さがブランドの力を引き下げているように思えます。

 長年「Galaxy Note」シリーズを使っていた筆者ですが、「Galaxy Note9」のペンのBluetooth内蔵化は高く評価するものの、それを活かしたアプリケーションが少なく、Galaxy Note旧機種からの乗り換えを促すほどにはなっていないと感じました。また、春のフラッグシップの「Galaxy S9」シリーズも「Galaxy S8」シリーズとの差別化がうまくいっていません。

ペンの高性能化は評価できるGalaxy Note9

4眼カメラやホールパンチカメラなど
斬新な技術を投入したものの、起爆剤にならず

 2018年後半に出たクワッドカメラの「Galaxy A9(2018)」、ホールパンチカメラの「Galaxy A8s」などGalaxy Aシリーズは大きな動きを残し、実験的な最新モデルであることをアピールしました。とはいえ、Galaxy Aシリーズそのもののイメージが深く浸透していないことを考えると、これらの機能はIT系のメディアで大きく報道されるにとどまり、世界中の一般消費者層にはサムスンの先進性の印象が届かないままで終わる可能性もあります。

ついにカメラをディスプレー内に内蔵させたGalaxy A8s

 Galaxy Noteの初代が出てきた時は、「そんなバカでかいディスプレーなど誰も使わない」と揶揄されたものですが、大画面=サムスンの印象を広め、そしていまや世界中のスマートフォンは画面サイズが大型化しています。またカメラとスマートフォンを合体させたGalaxy Cameraを出すなど、インパクトに富んだ新製品をサムスンは送り続けてきました。

 Galaxy Aシリーズに見るカメラの進化はサムスンとして他社との競争に勝つための避けられない道ですが、いまやどのメーカーもカメラを最大の武器とすべく開発に力を入れています。OPPOやVivoの電動カメラなど、あっと驚く機能も先を越されてしまいました。カメラの強化だけではサムスンの独自性は引き出せない、筆者はそう感じます。

4カメラのGalaxy A9(2018)もそれほど大きな話題にはなっていない

やや出遅れたものの
ゲーミングスマホで一発逆転なるか?

 そこで注目したいのがゲーミングスマートフォンでしょう。2017年末の「Razer Phone」登場以降、シャオミ、ASUS、Nubiaから相次いでゲーミングスマートフォンが登場しています。またファーウェイのサブブランド、Honorからもグラフィック性能を強化したGPUターボ機能搭載のモデルがゲーム対応機として出てきています。

 PCも手掛けるサムスンからは、実はゲーミングPCも販売されています。ブランド名は「Odyssey」。ASUSの「ROG」、エイサーの「Predator」、デルの「Alienware」などのように、ゲームに特化したハードウェアスペックを保ちつつ、クールな印象を与えてくれる本体デザインが魅力です。PC市場全体が縮小していく中で、ゲーミングPCは成長が見込まれています。2018年12月にはレノボが日本で同社のゲーミングPC「Legion」の投入も始めました。

サムスンのゲーミングPC「Odyssey」

 サムスンのスマートフォンもゲーム対応はされています。Galaxy Note9に搭載されたウォーターカーボン冷却システムにより、フォーナイトは同モデルをAndroidスマートフォンの最初の対応機種としました。すでに水冷システムはGalaxy S7から搭載されていましたが、年々高性能化するスマートフォンゲームに対応すべく、サムスンはプロセッサー周りの強化だけではなく端末から発する熱の冷却対応にも取り組んでいたのです。

Galaxy Note9の水冷システム

 Galaxy Note9の販売プロモーション時には、フォーナイトと提携しゲーミングコーナーを設ける例も海外では見られましたし、日本でもPUBGとのコラボレーション発表会が開催されました。しかし、まだまだ「Galaxy=ゲームに強い」というイメージは消費者に伝わっていません。

Galaxy Note9はフォーナイトが遊べる最初のAndroidスマートフォンだった

 ゲーミングデバイスに特化したRazerがここまで成功したのは、ゲームに特化したことと、ただのハードウェアを超え「ゲーミング・ライフスタイル」という新しい文化を提唱してきたからです。RazerはPCやスマートフォン、キーボードだけではなく数多くのファッションアイテムを販売しています。

Razerの成功は「特化」したから

 サムスンのスマートフォンは良くも悪くもスペックに頼った製品展開をしています。ならばそれを活かし、ゲームに特化したスマートフォンを出して新たなチャレンジ精神を消費者に見せる必要があるように思います。

 「Galaxy S10 Gaming Edition」といった長ったらしい製品ではなく、ずばり「Galaxy Odyssey」あるいは「Odyssey」のように、新たなゲーミングスマートフォンをそろそろ市場展開する必要がサムスンにはあるでしょう。もちろんSnapdragon 855にRAM10GB、ROM1TBといったハイスペックにして価格は15万円、という破壊的な製品を投入するくらいのことをしてほしいもの。

 2019年はGalaxy S、Galaxy Noteに並ぶ3つ目の柱として、ゲーミングスマートフォンの登場を期待したいものです。

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