5Gスマホは通信速度制限がなくなりそうだ

文●石川温

2019年04月15日 09時00分

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 4月10日、総務省は5Gの開設計画を提出したキャリア4社に対して、免許を認定した。これにより、各キャリアは2020年春に予定している5Gサービスに向けて、全国各地で工事に着手することになる。免許を受け取ってから、2年以内に全国すべての都道府県、5年以内には日本全土を10キロ四方で区切った4700区画のうち、半分以上を5Gエリア化させていくことになる。

 ちなみに割り当てられた周波数帯は3.7GHz、4.5GHz、28GHzの計10枠。NTTドコモとKDDIが3枠、ソフトバンクと楽天が2枠獲得した。

 3枠獲得したNTTドコモとKDDIに比べて、2枠と見劣りするソフトバンクの宮川潤一副社長は「大変嬉しく思う。希望しているものにほぼ近い状態でいただけた。これから精一杯頑張って、ネットワークを作りたいと思う」と表向きは喜びつつ、「本音を言うと、(NTTドコモやKDDIと)同じだけ欲しいという気持ちはある。ただ、今回の割当周波数、さほどそこまで背伸びする必要はないかと思っている。正直ベースで開設計画は書かせてもらった。既存の周波数と足してどんなネットワークを作るのかというので勝負をしていきたい」と余裕を見せた。

●4G設備を5G化する

 5Gは「高速大容量」「超低遅延」「多数端末接続」という特徴がある。これらを活かすのに3.7GHz、4.5GHz、28GHzといった周波数帯が利用されるのだが、帯域を広く確保できる一方、これらの周波数帯を展開していくにはどうしても基地局の数が必要となる。特に28GHz帯は200m程度しか飛ばないこともあり、大勢の人がいると人間が電波の邪魔になってしまい、まったく届かないこともある。

 また、3.7GHzも「周波数の干渉といいますか、今回出てきた3.7GHz帯というのはどうしても衛星との干渉を考慮しないといけない。そうすると3.5GHz帯、3.4GHz帯のような同じ使い方ができるかというとそうではない。今持っている周波数を活用したほうが効率がいい。そこを見極めてやっているつもり」(宮川潤一副社長)といい、キャリアにとっては扱うのに厄介な周波数というわけだ。

 そこで、ソフトバンクとしては「そもそも4Gをスモールセルとして展開してきた。そこをだんだん、5G化していったほうが、コスト的、スピード的、クオリティ的にもいいのではないか。あらためて新しくもらった周波数で、正直言って背伸びするより、いまの作り上げた基盤の方を5G化するスピード感をあげたほうが、結果的にはいいのではないか。これがコスト的にセーブにつながるのではないか」(宮川潤一副社長)というわけだ。

●4G網のノウハウ転用が得策

 そもそも、ソフトバンクにはPHSのウィルコムを救済した歴史がある。そのため、PHSで使われていた20万近い基地局の場所がある。また、PHSをベースに高速化がはかられたAXGPを、2.6GHzでエリア展開をしてきている。

 新たに3.7GHz帯で無理をするよりも、4Gネットワークのノウハウ、場所を5G化していったほうが得策だと判断したようだ。

 さらにソフトバンクには、2020年夏に停波する1.9GHzのPHSや、将来的には停波になるであろう3Gネットワークも存在する。

 総務省では「今後、既存の周波数帯を5G化する議論も進みつつある」という。大手3キャリアにとってみれば、既存の周波数帯で5Gネットワークを構築し、一気に全国展開をはかるという「奥の手」があるというわけだ。

 日本で5Gの商用サービスが開始されるのは2020年春だ。今月、サービスを開始したアメリカや韓国に約1年、遅れることになる。

 ここで、気になるのが「5Gの通信料金」だ。アメリカ・ベライゾンではこれまでの4Gの通信プランに10ドルを追加すると5G通信ができるという建てつけになっている。

 では、日本ではどうなるのか。

●ソフトバンク「5G完全使い放題」か

 4キャリアが総務省に提出した計画書では「利用者の使い方に応じた安価で最適な料金プランやデータ量を気にせず5Gの大容量コンテンツを楽しめる料金プランを提供」(KDDI)とある。

 楽天の三木谷浩史社長は「基本的には5Gだから高くチャージするということはない。(楽天の)社会的ミッションとして、より安くより便利に使ってもらうことだと思うので、その中でサービスパッケージ、価格を考えている」と語る。

 楽天は携帯電話事業には新規参入するということで、他社よりも安いプランを考えているようだ。

 また、ソフトバンクの宮内潤一副社長は「完全な使い放題を実現できるか」という質問に対して「そうしないと5Gの本当の良さは出ない。いままではパケットでカウントしていたものが、時間だとか、ある程度、ヘビーユーザーとローユーザーの違いを料金に出す必要があるが、なにか制限をかけるのにいままでの4Gのような扱いではないと思う」と回答した。

 4Gスマホでは速度制限や「ギガ死」に悩まされている人も多いだろうが、5Gスマホであれば、完全に使い放題の世界がやってくるようだ。


筆者紹介――石川 温(いしかわ つつむ)

 スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)など、著書多数。

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