KDDIが描く5Gの未来を展示「KDDI 5G SUMMIT 2019」レポ

文●中山 智 編集●ASCII編集部

2019年07月09日 09時00分

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 6月27日、KDDIはANAインターコンチネンタルホテル東京にて「KDDI 5G SUMMIT 2019」を開催。同社代表取締役社長の髙橋 誠氏による基調講演や、5Gに関係する企業や団体のセッション、技術展示などが行なわれた。

KDDIの5G関連技術を集めたイベント「KDDI 5G SUMMIT 2019」

5Gでリカーリングモデルが実現

 髙橋氏の基調講演では冒頭に「今年は令和元年であり5G元年でもある」と、5Gがスタートすることをアピール。さらに政府などが進めている「Society 5.0」の実現には5Gが必須であるとし、デジタルトランスフォーメーションを加速させる大きな役割を5Gが担っているとした。

基調講演に登壇したKDDI 代表取締役社長の髙橋 誠氏
5G時代のスタートを宣言

 また、5Gをサービス開始する2020年3月にむけて準備も進んでいるとし、2024年度末までに5Gの基地局は4万局以上を構築予定。これはドコモ、ソフトバンク、楽天モバイルと比べても最多となっている。ただし、5Gの運用に関して髙橋氏は「ピカピカの4Gとスペシャルな5Gを組み合わせたハイブリッドネットワークになる」と説明。エリア展開としては4Gがメインとなり、ポイントポイントで高速の5Gが利用できるというイメージになりそうだ。

5G基地局は2024年末までに4万局以上を構築
当面は4Gと5Gのハイブリッドでの運用となる

 さらに髙橋氏は5Gが普及することにより「ビジネスモデルがサブスクリプションモデルからリカーリングモデルに変わる」と話す。たとえばウォーターサーバーのようなビジネスもサブスクリプションモデルでは毎月決まった本数のタンクが届き、月によっては使い切れない場合もある。リカーリングモデルではウォータータンク内の水がなくなりそうになったら配送されるため、顧客のユースケースにあったサービスを提供できるようになる。

サブスクリプションからリカーリングへとビジネスモデルが5Gで変化

 このリカーリングモデルでポイントとなるのが、IoT技術。髙橋氏はリカーリングモデルのキーワードとして「トラステッド(信頼性)&イノベーティブ(革新的)」を掲げ、前者ではトヨタ自動車などとIoT技術領域での協業を例としている。また、後者についてはKDDIグループのソラコムを紹介。ネットワーク仮想化技術など最先端のIoTサービスをすでに提供していることをアピールしていた。

5Gでのドローン運用は基地局がポイントに

 企業や団体のセッションでは「5Gで変わるドローンの世界」をテーマとして、プロドローン 常務取締役 市原和雄氏が登壇。プロドローンは産業用ドローンメーカーで、これまで「アーム付きドローン」や「張り付き型ドローン」、「30kg搭載ドローン」などをリリース。最近では災害などの際に人が乗り込める対話型救助用パッセーンジャードローン「SUKUU」を発表している。

プロドローン 常務取締役 市原和雄氏
プロドローンが開発してきた各種ドローン

 市原氏は5Gの普及によって、ドローンもさらに進化すると説明。特に5Gの超低遅延がドローンの遠隔操作に大きな影響を与えるという。ただし従来のようにインターネットを経由してサーバーなどクラウドへアクセスするようなシステムでは、5Gの低遅延が生かし切れない。そこでモバイル網にエッジコンピューティングを実装する「MEC(モバイルエッジコンピューティング)」に注目。5Gの基地局がエッジコンピューティングとして機能することで、ドローンからのデータをクラウドではなく基地局で処理し、5Gの低遅延を活かした活用ができるようになるという。

アメリカでの先行実験でも5Gの超低遅延は実証されている
基地局にエッジコンピューティングを実装する「MEC」
MECを利用することで、超低遅延の恩恵をドローンも受けられるようになる

ソラコムもMECに注目

 KDDIグループのソラコムも「5GがもたらすIoTとテクノロジーの民主化」をテーマにセッションを行なった。登壇したソラコム 代表取締役社長 玉川 憲氏は、ソースネクストの「ポケトーク」やボタンひとつのIoTデバイス「SORACOM LTE-M Button」を紹介。ポケトークに130ヵ国以上の地域に対応したSIM「SORACOM IoT SIM」の技術が使われており、SORACOM LTE-M Buttonには低消費電力のLTE-Mが使われている。

ソラコム 代表取締役社長 玉川 憲氏
ソラコムの技術を使った事例
ポケトークの通信機能もソラコムが使われている
ボタンひとつだけのIoTデバイス「SORACOM LTE-M Button」

 こういったソラコムのこれまでの歩みや現状のサービスなどを説明するだけでなく、玉川氏はスプロドローンの市原氏と同じく5G時代には「MCE」に注目しているとのこと。5Gの通信速度、超低遅延は自動運転や産業ロボットなどに活用できるものの、必ずしもロボットやクルマに十分な処理能力をもたせられるわけではなく、かといってクラウドで処理をしていては超低遅延が活かせない。玉川氏は、ソラコムがすでにKDDIのMECテストサイトにて実証に成功し、パブリッククラウド上のパケット交換機能を基地局に切り出して処理ができるとのことを発表した。

すでにMECでパケット交換機能の動作実験に成功しているとのこと

 プロドローンの市原氏とソラコムの玉川氏、どちらも5G時代でポイントに置いているのが「MEC」というのがおもしろい。5G時代は基地局が通信以外にも重要な役割を持つことになるわけで、KDDIの髙橋社長が基調講演でほかのキャリアよりも5G基地局の設置数が多くなることを強くアピールしたこともうなずけるわけだ。

5G時代の社会を先取りした展示ブース

 KDDI 5G SUMMIT 2019には展示ブースも用意されており、5Gに関連するサービスや技術などの展示も行なわれていた。たとえばNECの画像認識技術が使われているKDDIの「無人レジ」は、商品をテーブルに置くだけで自動認識し決済が行なえる。パッケージで形やデザインが決まっている商品だけでなく、野菜などの形が一定ではない商品も認識させるため、処理はクラウドを利用。そのため無人レジからクラウドまでの通信に5G技術が利用されているとのこと。

商品をテーブルに置くだけで認識できる「無人レジ」
商品の解析は5G回線を使ってクラウドで行なわれるシステム

 そのほか5Gドローンや自動運転対応のクルマ、見回りロボットといったソリューションが展示されており、5G時代がどのような社会になるか垣間見える展示ブースとなっていた。

5G回線で上空から4Kの空撮映像をリアルタイムで配信できるドローン
駅の安全対策に向けて開発された4Kカメラを搭載し高精細の映像を転送できるパナソニックのロボット

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