縦長は使いやすい! ソニーモバイルの原点回帰モデル「Xperia 1」レビュー

文●村元正剛(ゴーズ) 編集●ASCII編集部

2019年07月31日 12時00分

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 今回レビューするスマホは、ソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia 1」です。同社が自ら「1から生まれ変わった、ソニー渾身の新フラッグシップ」と謳うほど、人気の巻き返しを狙っている勝負モデル。ドコモ、au、ソフトバンクの3キャリアが取り扱っていますが、筆者はドコモから借りた「Xperia 1 SO-03L」を使ってみました。

意外と使いやすい21:9のシネマワイドディスプレー

 Xperia 1の大きな特徴となっているのが縦に長い画面。約6.5型の有機ELディスプレーは、画面の縦横比が21:9で、解像度は3840×1644ドット。映画とほぼ同じ比率であることから「シネマワイドディスプレイ」と名付けられています。

約6.5型の有機ELディスプレーを搭載。サイズは約72×167×8.2mm

 第一印象では、使い勝手が不安になりそうな形状ですが、実際に手にしてみると、そんなに違和感はありません。横幅は約72mmに抑えられているので、片手で持ちやすく、電話に応答したり、メッセージをチェックして返信したりといった日常的な操作は片手でこなせます。むしろ、画面が縦に長いので、ウェブやSNSの閲覧には適しているように思えます。

ボディー幅は標準的なスマホと同等なので、持ちやすい

 動画は「YouTube」「Amazon プライム・ビデオ」「Google Playムービー」を試してみました。YouTubeは、そもそも21:9のコンテンツは少ないので、左右に黒い帯が入った状態で表示されます。しかし、ピンチでフルスクリーンに拡大できます。ただし、映像の上下が画面からはみ出して表示されなくなります。Amazon プライム・ビデオは、21:9のコンテンツは映像が欠けることなくフルスクリーンで表示。16:9のコンテンツも拡大表示に切り替えられます。Google Playムービーも同じように21:9のフルスクリーンで楽しめました。

 また、解像度の低い動画を4Kにアップスケールする機能があるためか、映像配信サービスで主流のフルHD画質の映像も、他のスマホよりもキレイに表示されるように感じました。

映像配信サービスは、フルスクリーンで楽しめる
「Netflix」など特定のアプリの利用時に自動で適用される「クリエイターモード」など、画質を向上させる機能を備える。ただし、筆者が試した限りでは、「スタンダードモード」で十分きれいな画質で楽しめる印象だった

 インカメラを搭載する部分をノッチ(切り欠き)にして、本体上部のベゼルを細くする機種が増えていますが、Xperia 1は上下のベゼルはやや太めに残し、横向けで使う場合に、そこに指を当てても画面が隠れない趣向になっています。

 Androidのスマホには、画面を2つに分割して、2つのアプリを同時に使う「マルチウィンドウ」という機能があります。しかし、それぞれの画面は小さくなるので、実用性が高い機能とはいえず、「使ったことがない」という人も多いのではないでしょうか?

 Xperia 1では、縦画面の上に16:9の動画を表示させても、その下に標準的なスマホと同等の画面を表示させて、無理なく他の機能を使えます。横向きにした場合は、ほぼ正方形の画面を2つ並べられます。動画を見ながらウェブをチェックしたり、SNSをチェックしつつ地図を開くなど、マルチウィンドウを積極的に使いたくなること請け合いです。

動画を再生しながらウェブを見るといった「ながら操作」がより快適になる
横画面では、左右がほぼ均等に分割される
マルチウィンドウは、画面端をダブルタップ(ジェスチャーは変更可能)して呼び出せる「サイドセンス」からも起動できる

トリプルカメラは超広角撮影と夜景撮影が楽しい!

 背面には、Xperiaシリーズ初のトリプルカメラが搭載されています。3つのカメラは、上から標準(26mm/F値1.6/約1220万画素)、望遠(52mm/F値2.4/約1220万画素))、超広角(16mm/F値2.4/約1220万画素)という構成(焦点距離は35mmフィルム換算値)。

背面にはトリプルカメラを搭載。ドコモ版のカラバリは、このパープルの他にブラックがある。au版はさらにホワイトとグレーを加えた4色、ソフトバンク版はパープル、ブラック、ホワイトの3色から選べる

 超広角撮影は、Galaxy S10/S10+、HUAWEI Mate 20 Pro/P30なども対応しており、今後、ハイエンドスマホには欠かせない機能になるかもしれません。Xperia 1の超広角レンズは、パース(歪み)が大きく目立つことが特徴。これを欠点と捉えることもできますが、逆に、パースを生かした面白い写真が撮れるとも言えます。

超広角で撮影した作例。中央から離れるほどに歪む写真になる
標準で撮影した作例
望遠で撮影した作例。画質が劣化しない光学2倍ズームで撮れる

 標準カメラにはF値1.6の明るいレンズを採用。ピクセルサイズが1.4μmのイメージセンサーを搭載し、暗い場所でもピントを合わせやすい「デュアルフォトダイオード」を採用しています。実際に撮影してみたところ、日中は明るく鮮やかなトーンで撮れる印象。夜景は、実際に見えるよりもコントラストを強調した、見栄えのよい写真に仕上がりました。

シーン認識によって、自動で最適な設定になり、風景を鮮やかな色調で撮影できる
夜景もきれいに撮れた
超広角で夜景を撮った作例。標準で撮った場合とは色調が変わった
食べ物も美味しそうに撮れる
人物を撮影する際に、瞳でピントを合わせる「瞳AF」に対応したこともセールスポイント

 ソニーは映画撮影用のプロ向けのカメラも開発・製造していますが、そのチームが監修したというのが「Cinema Pro」。ユーザーが「Look」という撮影モードを選んで、映画のような趣きがある動画を撮影できる機能です。

 これを試してみたところ、どこでも見かけるような風景でも、レトロっぽく撮れたり、やや冷たい雰囲気で撮れたりして、ただ動画を撮っているのではなく、作品を作っているような気分を味わえました。ですが、Lookを選択する以外に、画角やISO感度、ホワイトバランスなど、細かい設定が可能で、フォーカスも手動でコントロールできるようになっています。カメラの知識がある人には魅力的かもしれませんが、筆者はどのように設定すれば、どのように撮れるのかがわからず、使いこなせるようになるには時間を要するでしょう。

新たに搭載された「Cinema Pro」は、映画さながらの画質で撮れて、21:9のフルスクリーンで撮影できる魅力的なアプリだが、人に見せたくなるような映像を撮るまでには、試行錯誤が必要だろう

 フロントカメラはF値2.0で約800万画素。シングルレンズですが、美顔補正ができて、背景をぼかせる「ポートレートセルフィー」という機能が付いています。

フロントカメラで「ポートレートセルフィー」をオンにすると、背景ボケ、美肌、肌の明るさ、目の大きさ、顔の輪郭を、自分の好みに調整できる

パフォーマンスは期待通りだが
改善を期待したいことも

 CPUはSnapdragon 855(2.8GHz+1.7GHz/オクタコア)を搭載し、メモリーは6GB、内蔵ストレージは64GB。今夏に発売されたスマホの中では、トップクラスの仕様です。1週間ほど使ってみましたが、タッチ反応が遅くなったり、ゲーム中に画面が止まったりといったこともなく、快適に操作できました。

スマホの処理速度を比較するためベンチマークを測定できる「AnTuTu Benchmark」でのテストの結果。現在買えるスマホではトップクラスといえるスコアを記録した

 バッテリー容量は3200mAhで、標準的な使い方なら1日は持ちそうです。しかし、動画視聴やゲームに適している端末なので、存分に使い倒したい人はモバイルバッテリーを持ち歩くべきでしょう。

2つの省電力モードを備えているほか、Xperia独自の電池の寿命を延ばす「いたわり充電」も前モデルから引き続き搭載

 Xperia 1はソニーモバイルの今夏のフラッグシップで、なおかつドコモの夏モデルの中ででも注目度の高いモデルなので、おそらく「全部入り」だろうと思っていました。実際、防水・防塵、おサイフケータイ、ワンセグ・フルセグに対応しているのですが、残念ながらワイヤレス充電には対応していませんでした。

 生体認証は指紋認証に対応し、右側面に指紋センサーを搭載しています。本体を右手で持った場合には、スムーズに親指を当てられるのですが、左手で持つ場合は、人差し指がやや当てにくいように感じました。次モデルでは、他メーカーが導入しているディスプレー内の指紋認証の採用を期待したいところ。個人的には顔認証も追加希望です。また、縦に長い画面なので、指紋センサーをなぞって、通知パネルを出せるような機能もあったら便利なのに……とも思いました。

右側面に音量ボタン、指紋センサー、電源ボタンを搭載。スリープ状態で、指紋センサーに指を当てると、ロックが解除された画面が表示
右側面の下に、カメラを起動して、シャッターとして使えるカメラボタンも搭載
底部にはUSB Type-Cポート。イヤホンジャックも兼ねる
上部のSIMスロットには、最大512GBのmicroSDカードもセットできる

【まとめ】高性能で使いやすい
Xperiaファンは買ってよし!

 GalaxyやHUAWEIなど、グローバルで大きなシェアを持つメーカーに比べると、ここ数年、機能面で1周遅れている印象があったXperia。ですが、このXperia 1はトリプルカメラを搭載し、まだ他メーカーは採用していない21:9の4K HDR対応ディスプレーを搭載するなど、先進性が際立つモデルに仕上がっています。一見、ヘビーユーザー向けに思えますが、持ちやすく、ウェブやSNSが見やすく、カメラも簡単にキレイに撮れるなど、操作性は万人向けと言っていいでしょう。デザインの美しさも健在です。

 XperiaのZシリーズを使っていたけど、最近は他メーカーに浮気をしていた人。約6.4型のXperia Z Ultraを愛用して、後継機を熱望していた人。そんな人には満足必至のモデルではないかと思います。筆者自身、Xperia Z5 Premium以来の「欲しい!」と思えるXperiaでした。

「Xperia 1」の主なスペック
メーカー ソニーモバイルコミュニケーションズ
ディスプレー 6.5型有機EL(21:9)
画面解像度 1644×3840ドット
サイズ 約72×167×8.2mm
重量 約178g
CPU Snapdragon 855 2.8GHz+2.4GHz
+1.7GHz(オクタコア)
メモリー 6GB
内蔵ストレージ 64GB
外部メモリー microSDXC(最大512GB)
OS Android 9
FeliCa
カメラ画素数 アウト:約1220万画素(F値1.6)
+約1220万(望遠、F値2.4)
+約1220万(超広角、F値2.4)
/イン:約800万画素
ワンセグ/フルセグ ○/○
防水/防塵 IPX5,8/IP6X
バッテリー容量 3200mAh
生体認証 ○(指紋)
USB端子 Type-C
カラバリ パープル、ブラック、ホワイト、グレー(auのみ)

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