アップル本気 スマートスピーカー「HomePod」日本登場実機レビュー

文●ジャイアン鈴木 編集●飯島恵里子/ASCII

2019年08月13日 09時00分

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アップル「HomePod」3万5424円

 アップルはスマートスピーカー「HomePod」を日本では夏に予約受付を開始と公表した。2018年2月9日からアメリカ、イギリス、オーストラリアですでに販売を開始していたので、およそ1年半ほどの遅れでようやく日本でも利用可能になる。実機をもとにした、おさらいを兼ねたレビューをお届けしよう。

HomePodのパッケージ

シンプルさを突き詰めたようなプロダクトデザイン

 HomePodは、アップルが開発したスマートスピーカーだ。アップル自身はニュースリリースや製品公式サイトで「ホームミュージックスピーカー」または単に「スピーカー」と表現しているが、音声アシスタント「Siri」を使って、音楽を再生したり、ニュースや天気などの情報をチェックしたり、スマートホーム機器をコントロールする機能を備えている。

HomePodには電源ケーブルが直結されている。電源ケーブルの長さは実測約180cm。パッケージにはほかにマニュアルのみが同梱されている
マニュアルは、クイックスタートガイド、HomePod情報、Apple製品1年限定保証の概要で構成。オマケのステッカーも含まれている

 HomePodの本体サイズは高さ172mm、直径142mm、重量は約2.5kg。今回はスペースグレイモデルをテストしているが、このほかにホワイトモデルも用意されている。前述の通り電源ケーブルは直結されており、電源ボタンは存在しない。

本体前面。高さは172mm、直径は142mm
本体背面。実測約180cmの電源ケーブルは本体に直結されている。電源ボタンは用意されていない

 シンプルさを突き詰めたようなプロダクトデザインだ。ただし上部にはタッチ対応の円形ディスプレーが用意されており、中央タッチでSiriを起動したり、ボリュームアイコンが表示されているときには音量を調整できる。

本体底面にはアップルのロゴマークが隠されている
本体天面はタッチ対応の円形ディスプレーが配置されている
電源ケーブルを含めた本体重量は実測2505g
上部に高偏位ウーファー、中央に6つのマイクロフォン、下部に7つのビームフォーミングツイーターが内蔵されている。ツイーターにはそれぞれ専用のアンプが搭載されているとのこと

シンプルな外観から想像つかないほどのテクノロジーの集合体

 HomePodのデザインはシンプルだが、その中身は外観から想像つかないほどのオーディオテクノロジーの集合体だ。高さ172mm、直径142mmのコンパクトボディーには、上部に重低音を担当する上向き配置の高偏位ウーファーが、下部には7つのビームフォーミングツイーターが配置。そして中央には6つのマイクロフォンが内蔵されている。



 6つのマイクロフォンは音声認識の際にノイズキャンセリング機能に利用されるため、大音量で音楽を再生していても、大きな声を出さずにSiriに話しかけられる。またこの6つのマイクロフォンは「空間認識機能」で部屋の形状を認識し、壁や天井の反響なども考慮に入れた立体音響を実現するという。設置すると約9秒で空間を認識し、約15秒で環境に合わせた音の最適化が完了するとのことだ。

 なおプロセッサーには、アップルが開発した「A8チップ」が採用されている。元々は「iPhone 6/6 Plus」に搭載されていた、2コア、1.4GHz動作のSoC(システムオンチップ)だ。最新世代のプロセッサーではないが、スマートスピーカーには十二分以上のパフォーマンスを備えている。

HomePod天面のディスプレーに白い光が点滅してからiPhoneを近づけると、設定を促す画面が表示される

非常にシンプルなセットアップ。トータルで10分もかからない

 セットアップは非常にシンプルだ。HomePodの電源ケーブルをコンセントに挿してから、iPhoneを近づければ設定画面が表示されるので、あとは画面の指示に従うだけ。しかもiCloudやWi-FiはiPhoneの設定が流用されるので、アカウントやID/パスワードの入力は不要だ。

設定は、HomePodを設置する場所の指定、Siriの使用言語の選択、HomePod経由でiPhoneを操作する「パーソナルリクエスト」の使用の有無、利用規約への同意、アカウント設定だけ。iCloudのアカウントやWi-FiのID/パスワードを入力する必要はない

 HomePodを設置する場所の指定、Siriの使用言語の選択、HomePod経由でiPhoneを操作する「パーソナルリクエスト」の使用の有無、利用規約への同意、アカウント設定と、ボタンをタップしていくだけで設定が完了する。HomePodの内部的な設定作業に数分かかるが、電源を投入してからトータルで2分かからなかった。

この画面が出れば設定は完了だ
2台目以降のHomePodを設定する際には「ステレオのペアとして使用」という項目が現われる
2台目のHomePodを左右どちらに設置するか選択する。ペア設定はこれで完了。距離に応じた最適な音響設定は自動で行なわれる

 なおHomePodは、複数台設置可能だ。複数台設置した場合は、部屋ごとに異なる音楽を再生したり、同じ音楽を同時に再生することも可能だが、2台のHomePodをペアに設定してステレオ音響効果を高めることもできる。ステレオ再生する場合には、2台目以降の設定時に現われる「ステレオのペアとして使用」を有効にして、左右を指定するだけでOK。もちろんあとから、「ホーム」アプリでペア設定可能だ。

岡崎体育氏の楽曲「ポーズ」を再生中の最大ボリュームは97.1dBA。最大ボリュームでも音に破綻がないのはすごいが、よほど厳重な防音設備が施された部屋でなければご近所トラブルになることは間違いない

身体の表面にピリピリとした圧を感じられるほどの重低音

 HomePodのサウンドでとにかく印象的なのが、重低音の迫力。ボリュームを上げていくと、身体の表面にピリピリとした圧を感じられるほど。ボーカルの伸びやかさも印象的だ。ボリュームは最大音量だと、一軒家でも隣家に迷惑になりそうなレベルで、感覚的には20畳ぐらいの部屋のオーディオシステムとしても使えると思う。

1台でも立体的なサウンドを楽しめるが、2台設置するとステレオ感が強調され、定位もより明確に感じられる

 アップルの音楽ストリーミングサービス「Apple Music」で、結構たくさんの曲を聴いていて気づいたのが、各楽曲の音質の差。時折アレレと思わされる曲があった。とは言えこれは元の音源に原因があるのだから仕方がない。

 現状、明らかな不満点として指摘しておきたいのが、音質を調節する「イコライザー」が用意されていないこと。HomePodは曲ごとに最適な音質に調節しているとのことだが、やはり人それぞれ音には好みがある。iOS端末からAirPlayで再生する際に、ミュージックプレーヤー側でイコライジングすることは可能だが、HomePod単体では不可能だ。iOS端末の「ミュージック」アプリにはイコライザーが付いているのだから、今後のアップデートでHomePodにも実装してほしいと強く希望したい。

iPod発売以来のハードウェア、ソフトウェア技術がふんだんに搭載

 HomePod日本発売の前に、アマゾンやグーグルはスマートディスプレーを投入しており、スマートスピーカー自体は主戦場ではなくなった感がある。しかしHomePodにはiPod発売以来にオーディオメーカーとして培ってきたハードウェア、ソフトウェア技術がふんだんに盛り込まれており、スピーカーとしての基本性能は群を抜いている。

2台のHomePodを異なる場所に設置すれば、それぞれで違う音楽を流せるし、同じ曲も再生できる。またHomeKit対応のスマート家電をHomePodのSiri経由で音声コントロール可能だ

 音楽を聴くことを主目的にスマートスピーカーを探しているのなら、ぜひApple Storeなどで展示されているHomePodを試聴してみてほしい。


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