松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析

アップルがヘッドフォン祭りになっているワケ (1/3)

文●松村太郎 @taromatsumura

2019年10月29日 16時00分

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 アップルは10月30日に、Beatsブランドのオンイヤーノイズキャンセリングヘッドフォン、Beats Solo Pro Wirelessを発売。日本では税抜き2万9800円で発売します。また、同日にはノイズキャンセリングに対応した新しいAirPods Proも税抜き2万7800円で発売。アップル版ヘッドフォン祭りの様相です。

 それぞれのヘッドフォンのレビューは今回、次回でお伝えするとして、まずこれらのヘッドフォンが登場する際の見所について、触れておきたいと思います。

●「WHO」部門が株価の命運握る

 今回のオーディオ製品の相次ぐ投入は、WHO(Wearable, Home and Other)部門がどれだけブーストされるのか、に興味を持っています。というのも、アップルの決算における非常にポジティブな数字を作りにくるとすれば、このWHO部門が最も期待をかけやすいからです。

 ウェアラブル製品はApple Watchによって参入しましたが、現在日本でも、iPhoneの次に売れているアップル製品はAirPodsというレベルにまで拡大してきました。AirPodsは完全ワイヤレスヘッドフォンとして他社に2年先駆ける技術を搭載し、作ったそばから売れていくような状況が続いています。

 一方、主力製品であるiPhoneは、2019年に入って前年比2ケタ減を続けており、第3四半期決算でようやくiPad、Mac、ウェアラブル、サービス部門によって決算全体を前年同期比プラスにまでカバーできるようになった経緯があります。

 iPhone 11は好調が伝わってきていますが、販売台数、そして平均販売単価は2018年のホリデーシーズンに比べて双方ともに下落すると考えられ、iPhoneだけの牽引による売上高上昇は難しいのではないか、と考えられます。

 そこでアップルは、Apple WatchとAirPodsが主力となるウェアラブル部門の売り上げを大きく後押しできる製品を投入することで、2020年第1四半期(2019年10~12月)の決算のブーストを仕掛けようとしているのではないでしょうか。

 その意味で、Beats Solo Pro、そしてAirPods Proは、アップルの株価の命運を握る重要な製品、と位置づけることができるのです。

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