アップルMacBook Proキーボードへの複雑な思い

文●山口健太 編集● ASCII

2019年12月06日 16時00分

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 アップルが発売した16インチのMacBook Proは、これまでの15インチを置き換える形でノート型Macの最上位モデルになりました。

 その画面サイズや基本性能の向上については、多くの評価が上がっています。そこで本記事では、原点回帰ともいえるキーボードを見ていきます。

■ESCキーが独立、カーソルキーも押しやすく

 新しい16インチのMacBook Proでは、見た目にすぐ分かる変化として、左上の「ESC」キーが独立。カーソルキーの形状も変わりました。

ESCキーやカーソルキーの形状が変わった

 これまでタッチバーの一部として実装されていたESCキーが独立し、テキストエディタなどESCを多用する人にとって使い勝手が良くなりました。

ESCは独立キーしたキーに戻った

 カーソルキーは左右キーの上部に空間がある凸型のデザインに戻ったことで、手探りでもキーの位置が分かりやすくなっています。いずれも改善されたというより、ユーザーの要望に基づいて、従来の仕様に戻ったといえます。

■キーボードの薄型化には限界があるのか

 最大の変化は、打鍵感が別物になっていることです。アップルが「MacBook ProにMagic Keyboardを搭載した」と表現するように、物理的な構造や打ち心地はMagic Keyboardによく似たものになりました。

Magic Keyboardを重ねてみた様子。打鍵感もよく似たものになった

 キーストロークはこれまでの0.55mmから1mmに深くなり、タイピング時にはしっかりした反発が返ってきます。その感触は2015年までのMacBook Proに近いもので、懐かしさを感じるほどです。

 細かいことを言えば、MacBook Proはキーボードを大きな金属ボディで支えており、薄い金属板で支えるMagic Keyboardとは打ち心地が微妙に異なります。しかしその使用感はかなり近づいたといえるでしょう。

16インチモデルのキーボード。使用感はMagic Keyboardに近づいた

 気になるのは、キーボードの薄型化というトレンドがどう変わるのか、という点です。MacBook Proは2016年のモデルチェンジでキーボードが大きく変わり、12インチモデルと同じバタフライ構造の採用が賛否両論を巻き起こしました。

 キーボードの薄型化には、タイピングを省力化できるメリットがあります。キーストロークが浅ければ浅いほど、指の運動量は少なくなるからです。その反面、力加減を工夫しないと指が痛くなるとか、反発がなく逆に指が疲れるとの指摘もありました。

 それに加えて、バタフライキーボードは最新の2019年モデルを含めて修理プログラムの対象になっています。日々、仕事に持ち歩くノートPCのキーボードが、いつこうした問題に直面するか分からないというのは、正直なところ不安です。

 将来的にキーストロークはさらに浅くなり、あるいは完全な一枚板になる時代がくるのかもしれません。しかしこうした現状を踏まえれば、Magic Keyboardへの回帰は妥当な判断であり、バタフライキーボードは人類には早すぎたといえるでしょう。

■13インチへの展開にも期待

 筆者の事情としては、自宅と仕事場のデスクではMagic Keyboardを、出先ではMacBook Pro 13インチの2019年モデルを原稿執筆に使っています。

 これまで筆者は2016、2018、2019とMacBook Proを買い替えてきましたが、実を言うと、現在の2019に買い替えた主な理由は「キータッチが気に入ったから」なのです。

MacBook Pro 13インチ(2019年モデル)のキーボード。これはこれで気に入っている

 2019年モデルのキーボードは改良型第3世代、あるいは第3.5世代として、改良を重ねた集大成であり、再び変わってしまうのは複雑な思いもあります。ただ、Magic Keyboardと使用感が統一される点については歓迎したいところです。

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