5Gスマホ 日本メーカーは機能勝負

文●石川温 編集● ASCII

2020年01月10日 16時00分

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 今年もIT業界はラスベガスで開催のCESからスタートした。

 昨年の2019年、CESを取材するにあたり「5Gをテーマに回ろう」と決めていた。アメリカでは2019年から5Gの商用サービスが開始される計画であったため「どんな製品やサービスが見られるのか」とワクワクしながら会場に乗り込んだところ、見事に肩透かし。5Gスマホなどの形跡はなく、展示はほとんどなかった。ベライゾンが基調講演で5Gについて語ったのだが、目新しい話は乏しく、期待はずれに終わった2019年のCESであった。

 2020年も5Gを目当てにしていたところ、5Gで重要なポジションにいるはずのクアルコムが、まさかの「ブース撤退」ということになっていた。クルマ関連の記者発表会やブース展示はするものの「5Gなどの通信関連のブース展示からは撤退し、大きな発表はすべて2月にスペイン・バルセロナで開催されるMWCまでにとっておく」とのことだった。

 「やはり、2020年のCESも5Gは盛り上がらないのか」とあまり期待せずに会場を歩いていたら、予想外に5G関連の展示を発見することができたのだった。

●ファーウェイも5Gスマホを展示

 アメリカでは2019年4月より、5Gサービスがスタートしている。そのため、サムスン電子やLGエレクトロニクスでは、5G対応のスマホが展示してあった。

 面白いのが、あのファーウェイがブースを構えて、5GスマホであるHUAWEI Mate 30 Pro 5Gを展示していたのだった。

 ファーウェイといえば、昨年、アメリカ・トランプ政権より禁輸措置を受けて、アメリカ市場から締め出されてしまっている。アメリカ企業はファーウェイとの取引が禁じられている。そのため、グーグルがファーウェイと打ち合わせすらできない状態であり、mate30 Pro 5GはグーグルのサービスであるGoogle Playなどを搭載できておらず、ファーウェイ独自のプラットフォームでアプリを配信している。

 CESのブースに展示されているHUAWEI Mate 30 ProもGoogle Playは存在しない。

 当然、アメリカで売ることすらできない。しかし、なぜ、ファーウェイはCESでブースを構えて端末を展示しているのか。

 どうやら、ファーウェイとしてはCESに来ている「アメリカ以外の人たち」に知ってもらいたいという狙いがあるらしい。CESには世界中からIT企業の関係者やバイヤーなどが多数詰めかけている。特にファーウェイにとってみれば、南米なども重要なエリアとなる。モバイル業界以外の人はスペイン・バルセロナで開催されるMWCには来ないが、CESには参加する。そうした、MWCなどでリーチできない人向けてにCESで展示するという意味合いがあるようだ。

●シャープは8Kカメラが訴求材料

 今年のCESでは、特に日本(日系)メーカーの存在感が目立っていた。

 シャープは数年前には経営不振により、CESの出展から撤退していたが、ここ最近、復活を遂げ、今年は8Kを中心とした展示に注力していた。

 そんななか、シャープは、現在、8Kカメラを搭載した5Gスマホを開発中だとアナウンスした。具体的な製品化の時期などは言及されなかったが、おそらく、日本で5Gがスタートする今年の春あたりがターゲットになっていそうだ。

 シャープでは、8Kテレビを強力にプッシュしていることから、5Gスマホにおいても、8Kカメラを訴求材料として使っていくようだ。

 今回、シャープは、dynabookブランドで8Kの映像編集が可能なパソコンも発表。8Kの撮影から編集、表示までを一気通貫で提供していく方向性を示していた。

●ソニーはプロ向け映像機材で5G展開

 また、ソニーでは、同社の強みとなっているプロ向け映像機材の連携で5G展開を目指していく。プロスポーツ中継のカメラに5Gスマホを設置し、映像の伝送をケーブルではなく5G回線でやってしまうという試みだ。

 確かにスポーツ中継では、高画質の映像をリアルタイムに届けるニーズが高い。また、ゴルフやモータースポーツの中継では、ゴルフ場やサーキットに何十キロものケーブルを敷設しなくてはならない。そうした面倒臭さを一気に解消するために5Gスマホによる映像伝送が注目されているというわけだ。

●京セラはガテン系向け5Gスマホ

 今年、CESに初出展した京セラは5Gスマホとルーターを展示していた。

 京セラはアメリカ市場でスマホを売っているのだが、特に警察などの法人向けの需要が高いという。アメリカで人気なのが、日本国内ではau向けに提供しているトルクのような頑丈なスマホだ。警察や工事現場など、ガテン系の職業で、壊れにくく、いざ壊れた場合でも安心したサポートを受けられるとあって、京セラの引き合いが強いのだという。

 京セラでは5G時代においても、スマホやルーターなどをそうした現場に提供することで、大きな販売台数は見込みなくても、きっちりと「指名買いされるメーカー」という道を選ぶようだ。

 ここ最近、中国メーカーは「5Gスマホでも安価」という製品を次々に発表しつつある。日本メーカーにとって、5Gスマホで中国メーカーと価格競争をしていては勝ち目はない。そこで、機能に特化した5Gスマホや、5Gスマホと連携するソリューションを提供することで、5G時代を生き残っていくつもりのようだ。


筆者紹介――石川 温(いしかわ つつむ)

 スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)など、著書多数。

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