6月18日にAmazonが予想通りにスマートフォンを発表した。その名も「Fire Phone」。「Kindle Phone」ではないことに驚いたが、次に価格がハイエンドレベルである点に意表をつかれた。日本での提供予定は不明だが、Fire Phoneの戦略を分析してみたい。
初のAmazonのスマホはハイエンドだった
Amazonがスマートフォンを開発中というウワサは、3年ほど前から流れている。当時は”Kindleフォン”としてだった。とうとうベールを脱いだ「Fire Phone」はどのようなものかというと、一口にいうならハイエンドだ。OSは独自の「Fire OS 3.5」、CPUは2.2GHz動作のクアッドコアプロセッサーであるSnapdragon 800、RAMは2GB、画面は4.7型のHD液晶で13メガピクセルのカメラを搭載する。
だがFire Phoneの差別化はこのあたりのスペックではなく、ショッピングマシンとしての機能とコンテンツマシンとしてのクラウドサービスのように見える。前者はモノ、文字、音など目の前にあるものをカメラを使って認識してその商品に関する詳細情報をAmazonデータベースから引き寄せることができる(もちろん、その後ワンクリックで購入できる)「Firefly」が実現している。
Amazonの筋書き通りであれば、ユーザーはFireflyボタンを押すことでGoogle検索ではなく、Amazonを検索に利用することになる。Amazonはショッピング体験をさらに快適にすべく、無料での翌日配達、音楽と動画ストリーミングサービスや電子書籍をバンドルした有料サービス「Prime」の1年分(99ドル)を無料にする。
クラウドサービスはこれを補完するもので、Amazonから入手したコンテンツ、Fire端末で撮影した写真や動画を無料でクラウドに保存できる。
つまり、Fire Phoneはスマートフォンというよりも、Amazonのサービスを利用することが主眼で、ついでに電話機能もある端末と考えるべきだ。Fire PhoneでAmazonはAT&Tと独占契約をしており、価格は2年契約の場合が199ドル。SIMフリーでは649ドルとなる。
これらに加えて、独自センサーシステムを利用して3Dライクな表示と利用を可能にする「Dynamic Perspective」、最新のKindle Fireで米・英国などで導入して話題となった技術サポートサービスの「Mayday」などの特徴がある。アプリはKindle同様に「Amazon Appstore」を利用、直前にアプリの数が24万に達したことをアピールしている。