本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。
UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。
フレームワークレベルで一新された「iCloud」
盛りだくさんだった今年のWWDCだが、基調講演の内容がすべてではない。基調講演はいわば"レジュメ"、今後登場する新機能や変更箇所の要点をひととおり紹介することが目的だからだ。
しかも一般向けに構成が練られているため、インパクトが弱い(ビジュアル的に訴求しない/開発者向けの)機能は軽く触れられる程度のことが少なくない。
前回も述べたとおり、開発者登録していないユーザーでもiOSアプリ「WWDC」を利用すればセッションの内容を自由に再生できるようになったため、基調講演の内容と比較するのも一興だ。
WWDC | |||
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価格 | 無料 | 作者 | Apple |
バージョン | 2.1.2 | ファイル容量 | 8.3 MB |
対応デバイス | iPhone/iPad/iPod touch | 対応OS | iOS 7.0以降 |
機能の斬新さや今後のiOS/OS Xに与えるインパクトに比して扱いが"軽く"感じられたものを挙げるとすれば、「CloudKit」だろうか。基調講演で紹介に割かれた時間は90秒程度、しかもこれといったデモは行なわれなかった。フレームワークという基盤技術であるだけに当然といえば当然だが、それでは OS X Yosemiteのパートで紹介された「iCloud Drive」の目新しさを説明しきれない。
iCloud Driveは、クラウドベースの文書保管/共有機能。OS X Mountain Lionのとき登場したクラウドベースの文書保管機能「Documents in the Cloud」の進化版であり、システムおよびアプリとの統合が進められている。クラウド上の文書をアプリから直接読み書きできることは従来どおりだが、iCloud Driveはファイルブラウザに統合され(OS X Yosemite)、しかもアプリに依存せずどのような文書でも保存できるようになった。Windowsマシンからアクセスできる点もポイントだ。
iCloud Driveに対応したアプリであれば、Apple IDごとに確保される領域に専用フォルダが用意され、そのフォルダを介して文書をやり取りできる。同期も自動処理されるため、自分が保有するiOS 8/OS X Yosemiteデバイスではいつでも同じ状態の文書を読み書きできるというわけだ。
この機能を実現しているのが、ほかでもない「CloudKit」だ。基調講演の内容だけを聞けば、iCloud Driveを下支えしているフレームワークということになるが、もちろんそれだけではない。セッションの発表内容をもとに、CloudKitの概要を知るとともにその可能性を探ってみよう。