日本時間10月17日に発表された「iPad Air 2」/「iPad mini 3」。今回の発表に関して、角川アスキー総合研究所 取締役主席研究員の遠藤諭氏にコメントをいただいたのでご紹介する。遠藤氏は、タブレットが売れていない日本において、タブレットの代表格であるiPadが薄く軽くなった点に期待しているという。
新iPadに期待する−−中身(コンテンツ)のない世界の恐ろしさ
4スクリーンという言い方があります。テレビ、PC、スマートフォン、タブレットの画面のことで、「Watch」(鑑賞)、「Process」(生産)、「Access」(利用)、「Browse」(閲覧)の4つの使い方に代表されているわけです。ところが、日本はタブレットが売れていなすぎる。
北米ではすでにタブレットが飽和という話もあるのに、日本人はスマホばかりピコピコやっていて10%台の普及率しかない。スマートフォンの用途別利用率は、動画配信8.4%、ゲーム18.4%に対して、タブレットは動画配信4.0%、ゲーム4.6%。スマホは“ゲーム向き”、タブレットは“コンテンツにも使う”ものと言える。
スマホだけ使っている日本人は、ゲーム、ニュース、ソーシャルと刹那的、反射的なことに時間を費やしていて、ジックリ読ませる、堪能させるコンテンツについて新しい部分が開拓できにくい環境にある。
教育や子供に関係するカテゴリでも傾向がある。角川アスキー総研の調査では、小学生のタブレット利用率はなんと24%と高い。この部分では、タブレットは着実に定着してきているともいえる。BBCでは、アフリカの教師不足の地域でやむをえずタブレットを導入、それが思いのほか効果がでたので、英国に逆輸入したいといったニュースも流れていた。
文字どおり中身(=コンテンツ)のない世界というのは、長期的には日本文化の敗北につながるのではないか? 日本でタブレットが売れない理由は、ニワトリたまごの関係で、その上で遊べるアプリや日本語コンテンツの量にもよるのではあるが。そんな意味でも、タブレットの代表格iPad Airの新モデル、薄く軽く使いやすくなったのはありがたい。
遠藤 諭(えんどう さとし)
角川アスキー総合研究所 取締役主席研究員。『月刊アスキー』編集長、アスキー取締役などを経て、2013年より現職。スマートフォン以降に特化したライフスタイルとデジタルの今後に関するコンサルティングを行っている。『マーフィーの法則』など単行本もてがけるほか、アスキー入社前には『東京おとなクラブ』を主宰。著書に『計算機屋かく戦えり』など。『週刊アスキー』にて巻末連載中。
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