フィンランドのNokiaは好調!
インフラ事業は3年ぶりの成長
携帯電話としてのNokiaブランドの運命は風前の灯火だが、インフラ事業としてのNokiaは健在だ。そして、デバイス事業をMicrosoftに売却した後のフィンランドNokiaは第3四半期、前年同期比でプラス成長となった。2011年以来3年ぶりとなる。要因は足かせになっていたデバイス事業を売却したこと、コスト削減、そして北米や中国でインフラビジネスが好調だったことがある。
整理しておくと、Nokiaは端末のほか、インフラ(ネットワーク機器)、マップサービス「HERE」などを持っており、Microsoftが買収したのはデバイスとサービス事業部。残りはフィンランドで事業展開を継続している。そして、Microsoftへの売却が発表されて以来、Nokiaの株価は140%上昇しているとのこと。
1月にヘルシンキを訪問した際に話をした20代の女性は赤のLumiaを手に、「やはりNokiaのブランドにこだわりがある」と話していた。このようにフィンランド人にとってNokiaは国の誇りであったことから、端末事業としてのNokiaがなくなることは残念なことだろう。そしてMicrosoftがリストラコストも合わせて引き取ってくれたことでNokiaが再出発できるという見方に変わっているようだと、地元経済紙Helsingin Sonomatの記者は語っていた。
10年前には絶頂期にあったNokia、あのときの誰が現在の姿を想像できただろう。そしてNokiaが経験していることは、どの企業にとっても対岸の火事ではないように思う。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている