iPhone 6発売時に盛り上がった格安SIMの注目度も最近では落ち着き気味。これは筆者の主観だが、実際に購入に際して格安SIMを調べるにつれて、大手通信事業者のサービスがただ高いだけではなく、それぞれにメリット・デメリットがあると理解が進んだのではないかと考えている。
メリット・デメリットのひとつがやはり端末の問題だろう。大手通信事業者ならば、いろいろ制約があるせよ、MNPによる乗り換えにより旬を過ぎた程度の最上級クラスのスマートフォンが一括0円提供されることはよくある。
それに対して、格安SIMといっしょに提供される端末は、だいぶ旬を過ぎた端末か、ミドルクラス以下のものが正価で売られているという現状だ。
ドコモのネットワークを使った場合、端末の種類によっては周波数帯の対応の問題でエリアが制限される場合もあり、格安SIMのデメリットが目立ってきてしまう。
この連載で使用する端末は、基本的に元の事業者の端末を手持ちだったり中古入手で利用してきた。それは、中古入手にはリスクもあるが、コストパフォーマンスを考えれば現実的に中古入手がかなり満足度の高いからだ。
ドコモのネットワークの格安SIMで使える端末
基本的にはドコモ印の端末を使うことが手軽でおすすめとなる。対応周波数帯や確実性、格安SIMを入れていてもドコモが販売した端末なので、修理などはドコモのお店でアフターサービスを受けられることなどから比較的安心して使うことができる。また、格安SIMでは未サポートだがおサイフケータイが使える点もメリットが大きい。
過去にドコモを使っていたなど、手持ちの端末があればそのまま使える場合もあるし、中古も市場には豊富。他人が使ったものはイヤだと考えている人もいるが、実際には未使用のまま中古に回る端末もあり、そういったものを入手すれば新品と変わらない。
ただし、問題はドコモ機の場合はiPhone以外はテザリングに制限がある。ドコモのspモードに接続したときにだけテザリング利用ができるようになっているため、テザリング利用はできないと思ったほうがよい。
反対に一般的なSIMフリー機の場合、周波数帯の対応に不備があることが多い。ドコモの広いエリアを実感するたには必須のFOMAプラスエリアやLTEの800MHz帯は広く世界で売られている仕様の端末では未対応の場合が多い。
SIMフリー版のiPhone 6やASUSのスマートフォンの一部のように対応しているものもあるが、新品でも格安な端末では対応周波数の面で不利になると考えたほうがいいだろう。
auのネットワークで使える端末
3Gの時代のauのネットワークはドコモと完全に別方式で端末の互換性はなかったが、「4G LTE」になってからはドコモと同一の方式でサービスが行なわれている。
auのネットワークを使った唯一の格安SIMの「mineo」では、データ通信に3G方式を提供せず、LTEのみでサービスが利用できる仕組みのため、LTE対応のSIMフリー端末で周波数帯が合致していれば使える可能性が高い。
ただ、auの広く充実したエリアは以前のCMでも強調しているように800MHz帯の充実によるところが大きいため、2.1GHz帯しか合致した周波数帯がない通常のSIMフリー機ではエリア面で相当な不便を強いられる。
auの2.1GHz帯といえばLTEは2.1GHz帯しか対応しないiPhone 5でさんざん不評だった周波数帯。今は改善されており、人口カバー率で91%まで達しているが、800MHz帯の充実に遠い。
つまり、auのネットワークを使う格安SIMは、mineoが動作確認したauのLTE対応端末とmineoが提供する端末以外は実用性が乏しいと考えたほうがいいだろう。
なお、mineoの場合はiPhoneの利用に現在制限がある。iOS 8以降にアップデートすると使えなくなってしまうのだ。最初からiOS 8で登場したiPhone 6/iPhone 6 Plusは当然ながら利用できない。
Android機に限るが、auのLTE端末であればテザリングもスマートフォン利用も可能。これはドコモのネットワークを使う格安SIMにないメリットだ。未サポートながらおサイフケータイも使えるため、欲張りな使い方を想定している人にはメリットが多いだろう。
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