メディアファイルの再生機能
メディアファイルの再生機能も重要だ。iOSには各種メディアファイルを再生/プレビューするフレームワークが用意されているため(参考)、JPEGやMP4ムービーといった主要フォーマットは難なく再生できるが、WMVやMKVなど対応しないフォーマットも多い。オーディオファイルもM4A(コーデックはAACやALAC)はOKだが、OggやFLACは非対応だ。
iXpand syncで注目すべきは、メディアフレームワークに「MobileVLCKit」を利用していること。その名が示すとおり、MacやWindowsなど多くのOSで動作するメディアプレイヤー「VLC」のモバイル環境向けコアであり、WMVやMKV、OggやFLACなどVLCがサポートするフォーマットの大部分をサポートする。簡単にいえば、VLCの再生機能がアプリに含まれているのだ。再生した音はAirPlay/Bluetoothスピーカーに出力できるので、楽しみ方も変わらない(iOS標準の「音楽」と別管理にはなる)。
ハイレゾ品質(96kHz/24bit)のFLACを試してみたところ、特に支障なく再生できた。iPhone内蔵DACの仕様上、出力時には48kHz/16bitに丸められてしまうが、普段はUSBメモリーとして高級オーディオコンポで聴くハイレゾ音源をiPhoneでも再生したい、という用途には使える。容量がかさむハイレゾ音源なだけに、外部メモリーに保存しておくという使い方はアリだろう。
iXpand syncの気になる点は?
気になる点もある。ひとつは、バックグラウンド再生に対応しないこと。音楽を再生中にアプリを閉じると、そのまま再生が止まってしまうのだ。MobileVLCKitがiOS標準のフレームワークほどにはこなれていないのか、ビデオ再生の開始直後に途切れてしまったり(H.264/フルHD/30fpsのムービーでテスト)、FLACの再生時に曲名やアーティスト名が表示されない問題も確認できた。
MacはもちろんiPadとのデータ受け渡しに利用可能
ともあれ、内蔵ストレージに乏しいiPhoneにとって外部メモリーが「手もとにあると心強い存在」であることは確かだ。データ転送速度に優れるうえ、MacはもちろんiPadとのデータ受け渡しに利用でき、セットアップの手間もかからない。ただ、iPhone/iPadで使う場合は専用アプリが不可欠であり、その完成度に使い勝手が大きく左右される、という点は念押ししておきたい。