富士通、世界初のスマホ内蔵可能な薄型冷却デバイスを開発

文●行正和義/ASCII.jp

2015年03月13日 15時44分

薄型ループヒートパイプ試作品の外観

 富士通研究所は3月12日、小型・薄型の電子機器に適用可能な薄型冷却デバイスを世界で初めて開発したと発表した。

ループヒートパイプの構成

 送風ファンや水冷ポンプが内蔵できないスマホやタブレットなどの薄型電子機器では、熱伝導率の高いシート材料を用いて熱を移動させているが、発熱量の大きな部品では熱伝導だけでは十分な熱移動ができないという問題があった。

蒸発器のエッチングパターン

 新たに開発したのは厚み1mm以下というループヒートパイプ。密閉されたヒートパイプ内部には冷媒が封入されており、吸熱側で冷媒が気化/放熱側で凝縮して液化することで熱を輸送する。デスクトップパソコンのクーラーやノートパソコンなどでも一部利用されている冷却装置だが、富士通研究所では厚さ0.1mmの銅薄板を裏表2枚、内層4枚の計6枚を一括成形。従来厚みが必要であった蒸発器も0.6mmと薄型化されている。

薄型ループヒートパイプをスマートフォンに適用した場合の利用シーンのイメージ図

 従来の熱伝導シート材料や薄型ヒートパイプに比べて約5倍の熱量移動が可能となり、CPUなどの低温動作とともに機器内に熱が蓄積されることも防ぐことができる。金属板のエッチングを用いたパターン形成によって製造できるため機器ごとの配管レイアウトに対応しやすく、スマホやタブレットなどのモバイル機器や通信インフラ、医療機器やウェアラブル機器への展開を検討してゆくという。

薄型ループヒートパイプによる熱輸送の様子(赤外線サーモグラフィ画像)

mobileASCII.jp TOPページへ

mobile ASCII

Access Rankingアクセスランキング