Windowsと同じく端末の種類を広げていくUbuntu
最後はUbuntu陣営。今年最も勢いづいていたといえるかもしれない。というのも、端末がやっと今年2月に発売されたばかり。発売時期こそ予定どおりではなかったものの、後発のメリットを生かしてUbuntuはマーケティング戦略を練りに練った。その狙い通り、欧州向けに展開しているフラッシュセール手法では毎回売り切れ。この戦略の立役者でCanonicalのモバイル部門トップ、Cristian Parrino氏は満足顔だ。
Firefox OSがローエンド、Jollaがハイエンドであるのに対し、Ubuntuはミッドレンジからハイエンドを狙う。まもなく中国市場、その次は米国市場に拡大する計画で、米国ユーザーがAndroid、iOS、Windows Phone以外の選択肢にどのように反応するのかが興味深い。
Canonicalの場合、残り3つとは異なり、デスクトップ、サーバー向けに開発してきたOSをモバイルに拡大するアプローチとなる。モバイルは同社のコンバージド戦略からみると一部にすぎない。MWCではモノのインターネット(IoT)戦略なども発表しており、Microsoftが「Windows 10」でIoT、モバイル、デスクトップとさまざまな端末に対応するOS、そしてアプリ(Universal Apps)を掲げるのと同じといえる。
このように、今年のMWCでは4種類の新しいモバイル向けOSから商品が登場し、それぞれの個性が明確になってきた。スマートフォンが成熟に達しつつある中で4つの勢力がどのようなユーザーに訴求していくのか、AndroidとiOSが独占を強める中でチャンスはあるのか、今後も注目していきたい。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている