振り込め詐欺を知っていても被害に
対策は「両親宅に自分の電話番号を大きく張り出す」
「手口として目新しさはないものの、犯行が徹底しているのが昨年の振り込め詐欺の特徴」とまとめた三上氏。日頃からそれらの手口に気を付けていれば心配はないのかと思いきや、そういうわけでもないようだ。
三上 「被害例を見ていくと、騙される以前から振り込め詐欺の存在を知っていた方は沢山いるんです。それでも、『自分が騙されるとは思わなかった』ということでお金を振り込んでしまう。
警察は振り込め詐欺の啓蒙に物凄く力を入れていますが、こういう事例がある、と詐欺の手口を広く周知しても、『私だけは違う、関係ない』となってしまう方は意外と多いんです」
では、具体的にどのような対策が考えられるのだろうか。
三上 「現在は、ハードウェアで物理的に詐欺を防ごうという動きが出てきています。たとえば高齢者が多い秋田県大仙市では、被害を防ぐための『特殊詐欺等撃退装置』を貸し出していますね。
どういう装置かというと、まず着信前に『この電話は振込め詐欺などの犯罪防止のため、会話内容が自動録音されます』とアナウンスを流して警告します。実際に声紋分析可能な品質で録音を行ないながら、万が一のときには機器中央部の赤いボタンを押すことで、警察署などに自動で連絡できる仕組みになっているんです。
また、電話番号をリスト化して怪しい番号からの着信をブロックするスマホアプリなどもいくつか出ていますね。これらを利用すれば、詐欺被害に遭う可能性を下げることができるでしょう。
それ以外の対策ですが、もっとも効果があるのは着信をいったん全て留守電にしてしまうことですね。要件が入ったときだけこちらから折り返せばいいので、かなり効果があると思います。
2つ目は、必ず親から息子に電話を折り返す習慣をつける。詐欺では必ず『電話番号が変わった』などと言われると思いますが、無視して元の番号にかけなおすことですね。
3つ目は主に高齢の親御さんを持つ息子さんへのお願いですが、両親の家を訪れて、大きめの紙に自分の電話番号を書き、電話のそばに貼り出しておいたり、事前に親子のルールを決めておくなど、親御さんが被害に遭わないよう、自分から働きかけるようにしてあげてください」
対詐欺電話用スマホアプリが
携帯キャリアから提供始まる
三上氏からは詐欺電話用ハードウェアの話が出たが、携帯電話キャリアからも対策アプリの提供が始まった。
まず昨年12月に、KDDIの「auスマートパス」契約者向けに、詐欺電話・迷惑電話のデータベースを活用して不審な電話番号の着信からユーザー(=両親)を守るAndroidスマートフォン用詐欺電話・迷惑電話防止アプリ「マカフィー セーフ コール for au」。
そしてNTTドコモでは、不審な電話番号を自動判別し、詐欺・セールスなど迷惑度や危険性が高い着信に対しては、赤や黄色の画面表示で警告する「あんしんナンバーチェック」が3月23日からスタートしている。
マカフィーの詐欺電話・迷惑電話対策テクノロジーを活用したサービス「あんしんナンバーチェック」をNTTドコモから提供中
三上氏の話にもあった通り、『自分(の家族)だけは大丈夫』という考えは危険だ。被害に遭ってからでは遅い。転ばぬ先の杖として、家族とのルール決めのほか、上記のようなアプリも活用することで振り込め詐欺を防ぎたいものだ。