この前の週末からしばらく東京に出張しています。
ぎりぎり桜吹雪を楽しむことができるタイミングでした。ゆっくり桜の花を楽しむことができたのは、渡米する年の2011年以来。とはいえ、2011年は大震災があり、どうしてもゆっくり桜を楽しむ気分ではありませんでした。
つまり「桜を見たことを覚えていない」ということを思い出し、当時の気持ちを少し振り返ることになりました。
最高気温が25度にもなる北カリフォルニア、バークレーから桜吹雪の東京へ。春爛漫、日本の最も美しい季節を楽しもう、なんて軽い気持ちで構えていたら、びっくりしました。寒いじゃないですか。最低気温3度って……。
バークレーで夏に活躍するユニクロのウルトラライトダウン、なんで持ってこなかったのだろう、と悔やまれます。
桜吹雪をとらえたカメラはどれ?
さて、今週はApple Watchの予約開始。筆者も4月10日は取材しようと思っていますが、Apple Watchの一つの評価に「iPhone依存からの緩やかな脱却」というものがあります。
iPhoneを握りしめ、画面を凝視しながら生活するスタイルを作り出したAppleが、これを緩やかに変化させようという、ということです。しかしながら、iPhoneの機能ですでに脱却しにくくなっているのがカメラです。
もちろん、一眼レフ/ミラーレス/コンパクトなどのデジカメ専用機は、素早い操作や高画素、良いレンズなど、iPhoneより優れている点は数えきれません。しかしiPhoneなどのスマートフォンが持つ、常にポケットに入っているという「機能」を前に淘汰されつつあります。
たとえば、目の前で急に起きた桜吹雪が起きた瞬間、取り出せるカメラは、ポケットの中にあるか、まさにそのとき握りしめているスマホのカメラじゃないかというわけです。
だったらiPhoneの光学性能を高めれば良いじゃないか、というアプローチを取ったのが、Olloclipなどのアタッチメントレンズ。さらに深いこだわりを持って作られたのが、今回紹介するMomentというレンズです。
気持ちがいい60mmの明るいレンズ
Momentは2014年にKickstarterキャンペーンを成功させて発売したスマートフォン向けのアタッチメントレンズです。
Olloclipは名前の通りクリップ型ですが、MomentはiPhoneそのものにメタルの板を張り付けてiPhoneカメラの周りにマウントを作り、ちょうど一眼レフカメラの交換レンズのように回して固定する方式をとります。ちょっと細かすぎて、慣れるまではうまく装着できないのですが……。
Momentには広角18mmと、望遠60mmの2つのレンズが用意されています。いずれもずっしりと重たく、小さなカメラにたくさんの光を集めてくれます。装着しても、得られる像はいずれも暗くならず、しっかりとした明るさを確保しているように感じます。
個人的にミラーレスで愛用しているのは、オリンパスPEN Lite E-PL3と組み合わせている45mm/f1.8のレンズです。静かで素早いオートフォーカスと、とにかくすっきりと抜けた写真は、ポートレートだけでなく常用したいお気に入りの1本です。
Momentの60mmには、そんな明るいポートレートレンズの良さを、iPhoneに持ち込んでくれるのです。iPhoneだとちょっと遠いな、と感じる桜の木にも迫れるし、背景もしっかりとぼけます。ちょっと夢見心ですね。
(次ページでは、「18mmの画角は動画に最適」)