Xiaomiは収益性の高いハイエンド戦略でも成功するか?
そもそもXiaomiが目指すところはなに?
XiaomiとHuaweiは同じ中国ベンダーながら、さまざまな点で対照的だ。Huaweiはグローバルブランド、そしてハイエンドモデルを目指しており、チップ、インフラ、それにサーバーなどのITインフラも事業にもつ総合ICTベンダーだ。
対するXiaomiは製品はコンシューマー向けに限定しており、オンラインの直販のみ。地域は中国が中心で、拡大戦略もインドなど中国と同じような購買意欲の強い国に絞り込んで拡大している。間もなくブラジルにもローンチ予定だが、2014年時点で日本市場へ参入の予定はないとのことだった。
Xiaomiのやり方は独自で、期間を限定したフラッシュセールで盛り上げる。HuaweiもXiaomiにならったWeb直販のみのモデル「Honor」を投入して成功を収めている。Xiaomiは自分たちのユーザーを”ファン”とよび、ファンミーティングを行なっている。
これも他社が取り入れており、Huaweiのデバイス部門で日本と韓国を統括する呉波(Oliver Wu)氏によると、同社も中国で同じようなファンミーティングを展開しているとのこと。ファンミーティングモデルが中国以外でも受け入れられるのかはやや疑問だが(HuaweiのWu氏は日本でも同じようなファンエンゲージ施作を打っていくようだ)、中国では間違いなく重要なマーケティング活動なのだろう。
Xiaomiが何を目指しているのかはまだわからない。昨年、Xiaomiの共同創業者の1人に”自社をたとえるならGoogle? Apple? Amazon?”の三択できいてみたところ、”強いて言うならAmazon”という答えが返ってきた(関連記事)。
ある香港のジャーナリストは「Xiaomiはスマホベンダーではない」と語る。確かに同社はスマホ、タブレット、ウェアラブルといわゆるスマホベンダーが展開する製品を持つが、これに加えて、TV、空気清浄器なども揃える。このジャーナリストは、スマホを入り口にXiaomiが目指すのは「スマートホームベンダーだ」と分析してくれた。ここもHuaweiなど既存のスマホベンダーとは一線を画すところかもしれない。
マーケティングが独自であり、予想される時価総額は450億ドル――非公開企業としては最大規模といわれることからも、Xiaomiは世界的にメディアの注目を集めるが、スマートフォンでみると一時期の急成長はひと段落したようだ。
上記のStrategy Analyticsのデータをみると、シェアは2014年第4四半期の16.2%をピークに下降線が出来つつある。同社は5.7型液晶のハイエンド機種「Mi Note」を発表しているが、最上位機種は3299人民元(約6万4000円)と安価というには程遠い。
Xiaomiの成長をけん引しているのが廉価モデルの「Redmi」機種であることを考えると、今後どのように高マージンのハイエンドブランドに成長していくのかは課題となりそうだ。
Appleは当初ウワサされていた廉価版ではなく
大画面とゴールドのカラバリで中国市場に食い込んだ
その高マージン・ハイエンドモデルで中国でも成功しているのがAppleだ。同社は2015年になってから中国に4店舗のApple Storeをオープン。同国でのApple Storeの売上高は倍増している。
2013年に廉価版iPhoneの噂が出た背景の1つには、中国市場で廉価版が必要なのではという考えがあったからだが、Appleは価格競争に陥ることなく、色(ゴールド)や大画面などで中国ユーザーのニーズに応えつつ、ハイエンド/プレミアムブランド戦略を貫き、現時点ではそれに成功しているといえる。
こうやってみてみると、Samsungが中国市場のトップ争いに登場していない点が気になる。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている