肌寒い曇り続きの北カリフォルニア。東京でかかった風邪が長引いていて、天気も相まって何ともうつむき加減の1週間を過ごしていました。
夕方少し日が射すと、街の人たちの表情も緩んできますが、海から吹き付ける冷たい風はいかんともしがたいわけです。
サンフランシスコや対岸のエメリービル(ピクサーのスタジオがある街)にユニクロができましたが、薄くて軽い折りたためるダウンコートは、年間通じて重宝しますね。UTや日本製の生地を使ったジーンズも人気があるそうです。
さて、そろそろ1ヵ月がたとうとしているApple Watch生活。最近ちょっと楽しいことがありますので、ご紹介しましょう。
Apple Watchのバンド交換は楽しい
Apple Watch、残念ながら順調にキズが増えております。毎日身につけるものだから多少仕方がない部分もありますが、やはりステンレスの磨きはキズが目立ちます。
こればかりは仕方ないと思いつつ、他の時計を見ると、バンドのアダプター部分や、ケースの外周の形状などで、キズが目立ちにくい形状にデザインされていたりするものもあり、「腕時計のデザイン」の経験の差が出ているようにも感じます。
もう一つ、こちらはApple Watchが優れている点が、バンドの交換のしやすさです。
工具を使わず、ボタンで磁石を押してロックを解除する非常に凝った仕組みになっています。Appleからも、レザー、メタル、エラストマーの素材で様々なバンドが用意されていますが、素材や色がすべて揃っているわけではありません。
そこで期待されるのがサードパーティーによるバンドのリリースです。Appleはバンドやアダプターの仕様を公開し、Apple Watch向けのバンドを作ることを奨励し始めています。
それ以前に、独自にアダプターを作っていち早く交換バンドを売り始めたのがMonowear。出発点はKickstarterのプロジェクトでした。
黒いレザーと、ナイロンのバンドを取り寄せて、早速使い始めています。
薄くしなやかな純正のミラネーゼループに対して、厚手でしっかりとした黒いレザーバンド。フォーマルに合わせても良さそうな雰囲気は、1本持っておきたいところです。
一方、スポーツや炊事をするときに金属やレザーだと気になる水気。あるいはいずれも、少しカジュアルさが足りません。純正スポーツバンドも選択肢にありますが、ちょっとスポーツウォッチ過ぎる印象。そこで、Monowearのナイロンバンドは、カジュアルで水気も気にならない、最良の選択と言えるでしょう。
30秒もかからず交換でき、朝選んでも面倒さはありません。あるいはジョギングに出かけるときに付け替えても良いでしょう。複数のバンドで違ったシーンや雰囲気を楽しむ、というのはApple Watchらしい使い方と言えるのではないでしょうか。
純正バンドはニューソン仕様
2014年に、ジョナサン・アイヴの盟友で日本でも著名なデザイナー、マーク・ニューソンがAppleに入るというニュースが話題になりました。
ニューソンは1980年代、日本のIDEEでデザイナーとしてキャリアを積み、その後パリ、ロンドンへと拠点を移して今日に至ります。欧州に移ってからも日本企業とのコラボレーションは続いており、味の素のビンやKDDIの携帯電話、talbyなどは記憶に新しいところです。
そんなニューソンは、時計を過去、2回作っています。1回目はPODと呼ばれるもので、100本を自分の手で組み立てて、大変苦労したそうです。そして2回目は、IKEPOD(アイクポッド)という時計メーカーの立ち上げ。
ブランドを離れてからも、2007年にはニューソンがデザインした新作「ソラリス」は、ニューソンらしい角を落としたセラミックの正方形に、しっかりとした厚みを備え、表と裏の双方の文字盤を配置した二面相の時計です。
しかも、Apple Watchで代表的なバンドとなったミラネーゼループに、特別なバックルをつけて、表裏どちらでも使いやすいよう工夫しています。こちら、お値段70万円前後です。
また、200万円近くになるメインラインの「メガポッド」などを見ると、シリコンとピンで構成されたバンドが付属してきます。穴にピンを差し込み、余ったバンドを内側に滑り込ませる仕組みは、5万円以下のApple Watch Sportに採用されているものと同じです。
これらを見ると、Apple Watchが新鋭の時計らしく仕上げる際に、ニューソンのデザインが影響していることがうかがえます。同時に、アクセサリのエコシステムで製品が発展する要素には、ミニマルを追究するアイヴとAppleらしさが垣間見えるのです。
(次ページでは、「アイブとニューソンの協業と趣味の違い」)