米国は「July 4th」、独立記念日の連休でした。今年は7月4日が土曜日だった関係で、前日の金曜日、前々日の木曜日から休みを取っている人も多く、お店によっては7月6日の月曜日まで休業、というところもありました。
街ではパレードやイベントが開催され、お祝いムードが盛り上がります。といっても、街のグラウンドにステージが作られてライブ演奏があったり、ホットドックやケバブなどの屋台が出て、子どもが楽しめる小さな遊園地のような遊具が並ぶ、というのが定石。近くの農場からポニーが来たりもします。
そして夜には、各都市で花火が上がります。今回のトビラの写真は、その花火の写真にしようと、アパートの屋上からカメラを構えたのですが、残念ながらサンフランシスコ周辺でおなじみの霧が深く、近いはずの花火がまったく見えないという残念な結果に終わりました。
原稿を書いている連休明けの月曜日の朝も、窓の外は霧。深すぎて細かい水滴が待っているような雰囲気になっています。午後には晴れると良いのですが。
Apple Musicがスタート
さて、先週華々しくスタートしたApple Music。iPhone/iPadのユーザーの皆さんは試されましたでしょうか?
SpotifyやPandraなどのストリーミングサービスを使ってきた筆者にとって、後出し、もとい、満を持して登場したAppleの新しい音楽サービスには期待していました。
そもそも、初期のユーザー数が増えないはずがありません。なにしろ、iOS標準の「ミュージック」アプリに統合している点で、「サービスとその名前を知って」「アプリをインストールする」という、2つのハードルが取り除かれています。同時に、3ヵ月の無料試用期間を設けている点も、多くのユーザーが「とりあえず試してみよう」となります。
アプリ自体も良くできている印象です。インターフェースも新しくなり、再生中の曲が常に画面の下から2段目に表示されていて、音楽のブラウズと再生中の曲との間の行き来も非常にスムーズです。
裏を返せば、音楽を聴きながら、「ミュージック」アプリ内を色々見て回り、良い曲を見つけたら「次に再生」に追加して行けば良いのです。
今まで、再生とライブラリ管理は「ミュージック」、音楽のブラウズと購入は「iTunes Store」と、アプリが2つに分かれていました。Apple Musicによって「購入」という動作がなくなり、再生・ライブラリ管理・ブラウズが統合されたことで、よりすっきりと音楽を楽しむためのアプリに生まれ変わった印象です。
音楽に対する2度目の喪失感
使い始めて数日間、「Apple Music症候群」とでもいいましょうか、ちょっとしたブルーな気分を体験しました。
「音楽を購入する」という概念の消失は、それまで買い揃えてきた200GBにもなる自分のiTunesフォルダへの投資が、月額980円という費用に置き換えられることを意味します。
Apple Musicの世界は、おそらく最も音楽を購入していた頃のコストを10分の1ほどに下げてくれます。それが例えば少なくとも15年間積み重なると……。いや、計算するのは止めましょう。こうした音楽に対する喪失感は2度目です。
米国に引っ越す際、手持ちのCDをすべて処分しました。デジタル化はすべて済んでいるし、なかにはビットレートが低い曲もありましたが、あの段ボール箱をアメリカに運び、保管場所を確保するほどの余裕もありませんでした。
データは残っていましたが、モノとしてのコレクションを失いました。そもそも手持ちのMacには光学式ドライブがなくなり、結局アメリカの家でもCDプレイヤーやBDプレイヤーを買っていないので、再生や取り込みの環境もなくなりました。
手持ちのライブラリの音楽は引き続き楽しんでいましたが、ここ3年ほど、そのライブラリに、以前ほどの勢いで新たな音楽が加わることはありませんでした。デジタルだけで音楽を購入する「感覚」に、まだ切り替えられなかったからです。
(次ページでは、「音楽を買わなくなった3年間を埋める作業中」)