末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢

Amazonが「Fire」スマホ事業を縮小、ハード事業の行方は? (2/2)

文●末岡洋子 編集● ASCII.jp

2015年09月02日 11時00分

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Fire Phoneはなぜ売れなかったのか
これまで使っていたのと同じスマホを購入するのが現実!?

 Fire Phoneが売れなかった理由はさまざまだろう。Fire Phoneの特徴、そしてAmazonのマーケティングからも、Amazonでのショッピングやコンテンツサービスのための端末であることを最優先に設計されたことがわかる。

 Amazonが予想していたほど、人々はAmazonマシンとしてのスマホに興味を示さなかったのかもしれない。あるいは、3D表示システムなど価格帯や機能とのバランスが良くなかったことも考えられる。この価格帯に興味を示すAmazonユーザーは、こういった新機能を使いこなさないのかもしれない。あるいは、スマホというパーソナルな端末がAmazonマシンになることに意味を見出さなかったのかもしれない。

 スマートフォンは黎明期を脱し、コモディティーとなった。AndroidはPCでいうところのWindowsだ。対するAppleのiPhoneは、市場を分け合ってはいるが、iPhoneユーザーがAndroidを選択肢に入れることはあまりない。先日、iPhoneユーザーの男子学生数人と話す機会があったが、彼らはSamsung以外にAndroidのメーカー名を挙げることすらできなかった。次のスマホは、iPhoneの新製品を買うか、見送るかであり、Androidにはほとんど関心を払っていない。

 個人的には、Androidの柔軟さを利用してAmazonのFire Phoneのようにさまざまな(既存メーカー以外から)スマートフォンが登場するもありかなと思っていたが、ユーザーはどうやら保守的で、奇抜さよりも同じような機能を持つ無難な端末(スマートフォンメーカーが提供する製品)しか選択肢に入れないのかもしれない。Fire Phoneの失敗から、今後のスマートフォンのトレンドが少し見える気がする。


筆者紹介──末岡洋子


フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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