日本時間9月10日、アップルのスペシャルイベントが開催された。今回の発表に関して、ケータイジャーナリストの石川温氏にコメントをいただいたのでご紹介する。
他社が真似できないテコ入れで一人勝ちか
今回のアップルのスペシャルイベントは、振り返ってみると「テコ入れ大会」という気がしてならない。
ここ最近、アップルとしても革新的な製品ジャンルを開拓できないなか、既存の商品群の魅力を一気に高めようという「テコ入れ」をしている感があるのだ。
ただ、その「テコ入れ」が結構、本気で、他社が真似できない領域まで振り切っているのが驚きだ。
Apple Watchのテコ入れは「エルメスモデル」。これで、いままでのApple Watchに見向きもしなかったブランド好きの人たちを虜にできるだろう。
Apple TVのテコ入れは何と言っても「アプリ配信」。いままで、日本市場ではアップルが集めた映画ぐらいしか見るものがなかったが、アプリが配信できることにより、アプリ経由で映像コンテンツが増える可能性が出て来た。膨大なコンテンツ流入が期待でき、Apple TVの起動時間が長くなりそうだ。
iPadは大型化、iPhoneは3Dタッチというテコ入れで勝負に出て来た。どちらもペンによる入力、押し込む操作性が思った以上に心地良い。
いずれも、ハードとソフトを一緒に開発する垂直統合モデルで製品としての完成度が高まっている。このままではどのジャンルでも「アップル一人勝ち」になりそうで、怖い気もする。
石川 温(いしかわ つつむ)
スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『ケータイ業界52人が語る「戦略」の裏側』(毎日コミュニケーションズ)など、著書多数。