スマートフォンはもう所有しない時代に?
フランスでは新興オペレーターのFree Mobileがレンタルサービスを展開しているし、家電のFnacもレンタルを展開している。米国でもT-Mobileなどの通信事業者が提供している。
メーカーでは、Appleが2015年9月の「iPhone 6s」「iPhone 6s Plus」の発表時に「iPhone Upgrade Program」を発表している。24ヵ月の分割条件で購入し、12ヵ月後には最新のiPhoneに乗り換えられるというものだ。
それぞれ思惑が異なるとはいえ、新機種を手に入れやすくするというのが共通の特徴だろう。逆に言えば、そうしない限りユーザーは(ハイエンドユーザーといえども)、そうそう最新機種になびかなくなっているのかもしれない。
もう1つのメリットが顧客との直接の結びつきだ。SamsungとAppleの場合は通信事業者の縛りを解放しつつ自社の端末を使い続ける関係を構築できるし、通信事業者の場合は端末の縛りを解放しつつ自社のネットワークを利用し続ける関係を構築できる。
このモデルが一般的になるのかどうか、まだ時期尚早だ。Appleの場合、おそらく今年の9月に最新のiPhoneが出た後に最初の感触がわかるだろう。
フランスでは首都パリのレンタル自転車「Velib’」の大成功にはじまり、自動車のライドシェアリング「Brabracar」など、モノと人の関係、あるいは消費の方法が変わりつつある。とすればスマートフォンでもこのような考え方がありなのかもしれない。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている