初日は当然、混乱した
さて、コストコとアメックスの提携は16年間に渡りましたが、コストを理由に打ち切られることになりました。米シティバンクは、アメックスからコストコ提携カードのポートフォリオごと買収しており、その金額は10億ドルに上ります。
アメックスにはこの金額が、一時的な収益として計上されます。しかし毎年、6~8%というコストコ会員のクレジットカード利用がそのまま失われてしまいます。アメックスは富裕層に強く、他のブランドのカードよりも1人当たりの利用額が2倍以上とことです。あるいは、今回の提携解消によって、平均利用額が向上するかもしれません。
さて、シティバンクは、6月20日から利用できるコストコ会員証付きクレジットカードを、1100万枚発行したと言われています。この枚数が1日のうちに利用開始となるわけで、本土でタイムゾーンが4つある米国であっても、混乱が生じます。
筆者のカードも、アクティベートできず、深夜になって24時間のコールセンターに連絡して開通する、という結果となりました。ちなみに、妻のカードはそのまま使えたのですが……。シティバンクは、苦情が110万件寄せられたとして謝罪しています。それだけ大規模な顧客の大移動だったというわけです。
Apple Payも設定できたが……
さて、アメックスでも利用していたのがApple Payです。
iPhone 6以降のiPhoneに内蔵されているNFCチップにクレジットカードのトークンを設定して、指紋認証で実店舗・オンラインでのショッピングができるようになる仕組みです。
コストコ会員証付きのCiti VISAカードも、きちんとApple Payに対応していました。ただ、Apple Pay対応については、あらゆる面でアメックスのほうが優秀だったと結論づけることができます。
まず、Apple Payの設定時。Citi VISAでは、カード番号を読み込ませてからコールセンターに電話しないと、Apple Payの設定を済ませることができませんでした。そして、コールセンターは以降初日ということもあって激混みでした。
アメックスの場合、メールを利用してコールセンターへの電話の必要はなく、設定できました。こちらのほうが素早く利用開始となったわけです。
アメックスでApple Payを設定すると、Apple Payでの決済を含むすべての直近決済について、iPhoneのWalletアプリのアメックスカードの詳細表示にリストされます。また、カードを使うとプッシュ通知がくるため、ちゃんと決済できたかどうか、あるいは自分の知らないところで使われていないかを知ることができます。
しかしCiti VISAのApple Payでは、Apple Pay支払い分しか通知がこない仕組み。別に不便はないのですが、すべての決済が通知されたほうが、どちらかというと安心感があるなという印象です。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
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