地元の大人に諦めてほしくない!
筆者は、実際に被災地に行ったこともありましたが、ここ数年は、米国にやってくる高校生を通じて、距離はあるものの対岸である東北地方を見てきました。彼らを通じて、問題の変化や、世代の変化を感じることができます。
原子力発電所の問題は、やはり依然として大きな注目を集めており、バークレーのキャンパス内にも、「FUKUSHIMA」のスペルや「不核」という中国語の横断幕を見つけることはたやすいのです。それ以外の問題が語られなくなってきたことは、高校生も感じてきた変化だったと言います。
背筋が伸びる思いがしたのは、「地元にいる大人に諦めてほしくない」という強烈なメッセージでした。震災から5年が過ぎ、高校生たちが感じている閉塞感の一つに、地域内に漂う「諦めムード」と、その固定化があるといいます。
裏を返せば、そうしたムードを打破したい、と様々な活動に取り組み始めた若者たちが、自分たちの成長によって、活動をより効果的に前に進めようとして、米国行きを志願していたのです。
昨年までの「自分たちも、なんとかしたい」という意識は、「自分たちが、なんとかしなければ」という危機感に変わっていたのではないでしょうか。
高校生たちは、自分たちが作成した活動について、帰国してからの3週間のアクションプランを考える事が求められていました。どのように行動を起こすかという方法論を、UCバークレーで学び取っていったのです。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
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