いや、あくまでWELTは記録するだけのベルトですが、そのうち、自分の身体にあわせて自分で締まるようなベルトが出てきそうかもと思ったのです。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に出てくる、自動でヒモが締まるスニーカーのような。
そこから、「食べ過ぎると自動で締まる」みたいな機能が付いてきそうじゃないですか。西遊記の孫悟空が頭に付けていた「緊箍児(きんこじ)」のように、何か不健康なことをすると、「ビー!」と音を出してグイグイ締めてきそうな……。
単なる筆者の妄想なんですが、そうなったらなんだか怖いなあと……。まあ、まったくの取り越し苦労なのですが。
今回はKickstarter繋がりで、Kickstarterで資金を集めてアルバムを制作した、ベテラングループの新譜の紹介といきましょう。
今日の作業“中”BGM
De la Soul「and the Anonymous Nobody」
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AND THE ANONYMOUS NOBODY |
デ・ラ・ソウルといえば、ヒップホップに大きな足跡を残し、今なお現役を続けるグループ。フル・メンバーとしては12年ぶり、8作目となるスタジオ・アルバムです。
1989年「3 Feet High & Rising」でデビュー。ジャズやソウル・ミュージックだけでなく、当時はヒップホップと縁遠いと思われていたスティーリー・ダンやホール・アンド・オーツ、はてはフランス語の学習教材までを自由気ままにサンプリングする奔放な音作りが話題に。ヒップホップらしからぬキュートなアートワークも斬新だったはず。
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スリー・フィート・ハイ・アンド・ライジング +14ワーナーミュージック・ジャパン
デ・ラ・ソウルのスタイルを表す言葉として曲名にもなっている「D.A.I.S.Y.」という単語は、「Da Inner Sound, Y'all」の略だそう。De La Soulとはフランス語で「魂の」「魂から」という意味ですから、「自分たちの内面(魂から)の音なんだぜ」という自負でしょう。それにちなんで、ジャケットにもヒナギク(Daisy)の花があしらわれていたのですね。
独自のユーモアセンスも持ち味でした。たとえばシングル曲「Me, Myself And I」のプロモーションビデオは、いかにもなゴツいBボーイたちに囲まれ、学校で肩身の狭い思いをしながらそれでもラップをするという、コミカルながら皮肉にあふれる内容。
ところが、本人たちが自身のパブリックイメージに嫌気が差したのか、それとも路線に限界を感じたのか。セカンド・アルバムでは大胆な路線変更、その名も「De la Soul Is Dead」。
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Is DeadTommy Boy
ジャケットにはしおれたヒナギク。「D.A.I.S.Y.」はもうシナシナだよ、というわけです。さらに歌詞カードにはマンガが描かれており、その内容も若者たちが「デ・ラ・ソウルなんてダッセーよな〜」と彼らのレコードをゴミ箱に放り投げるという凝りよう。
自分たちのスタイルさえも自虐的にネタにしてしまう軽やかさは、ヒップホップの歴史から見てもかなり特異なもの。このファースト〜セカンドの流れを見るだけでも、彼らのオリジナリティーがうかがえます。結成から30年近くが経とうとしていますが、今もマイペースに活動中。
さてさて、話を今作に戻しましょう。制作にあたっては2015年にKickstarterで60万ドル以上の支援を集めたほか、スタジオ・ミュージシャンたちと録り貯めた200時間以上にものぼるというジャム・セッションからサンプリングするという手法も話題になっています。
スヌープ・ドッグやピート・ロックなどヒップホップ界のベテランはもちろん、ブラーのデーモン・アルバーン、トーキング・ヘッズの活動で知られるデヴィッド・バーンなど、ロック界からも豪華ゲストが参戦。
とはいえ、どの曲もリラックスしていて、ゆるい瞬間あり、タイトに締まった展開もあり。トラックもラップもクオリティーが高いのですが、メンバーたちはでしゃばることもなく、ゲスト陣やスタジオ・ミュージシャンたちの演奏に合わせ、出るところは出る、引くところは引くと、余裕しゃくしゃく。
このアルバムを一言で言うなら「程良く」でしょうか。程良くバリエーションに富んでいて、程良く落ち着いていて、程良く今どきの音も取り入れていて、程良く客演陣が個性を発揮している。枯れすぎて衰えているわけでもないですが、久々だからと出番にがっつくこともない。
正しくヒップホップのアルバムなのだけれども、楽しくてカラフル、でも派手すぎない。だから、最初から最後まで一気に聴ける。あまりヒップホップに明るくない人でも、楽しめる1枚に仕上がっています。
コジマ
1986年生まれ。担当分野は「なるべく広く」のオールドルーキー。ショートコラム「MCコジマのカルチャー編集後記」ASCII倶楽部で好評連載中!
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